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BackNumber〜2004新春座談会

新春特別企画 - ZDP座談会

2004/01/01 22:30

ZDP座談会が帰ってきた。1年の活動を振り返り、ZDPメンバーが言いたい放題の、あの座談会が7年ぶりに開催。7年間の沈黙を破り、ZDPメンバーが語る2003年のレース裏模様と、オフレコぎりぎりの最新情報をお伝えします。

目次



【舞洲】  

BackNumber〜2003春1 http://www.zdp.co.jp/2003/2003spring1.html
キムヒデの舞洲レポート http://www.zdp.co.jp/2003/20030401.html

木村:東海大学は出たけど、ZDPは出ていないね。

池上:私はとりあえずお手伝いで参加して、14インチのサンプルが見られたくらいかな。

池田:関西でもう少し大会やってもらいたいね。

S:でも、来年はもう無い。

池田:来年は、湖東だね。

木村:湖東のコースは、ガードレールが、かなりドライバーの視界を隠すらしい。

池田:湖東は、エコノムーブだけじゃなくて、ソーラーカーのレースもあるらしい。
大会スケジュールに予選は書いてあるけど、決勝の予定が無かったりかなり不思議。

池上:なんでもバトルロイヤルレースがあるらしい。

S:何それ?

池田:50mぐらいのコースで行われる、スピード競技の事かな?
静止状態からスタートして停止線で静止するまでの間で、最高速を測るらしい。
最高速を計測する区間は、7mぐらいだったと思ったけど。


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池上 敦哉
ヤマハ発動機(株)勤務。ZDPチーフエンジニア。でんちくんシリーズを設計。
【WEM秋田】

BackNumber〜2003春2 http://www.zdp.co.jp/2003/2003spring2.html
キムヒデの2003WEM秋田レポート(前半) http://www.zdp.co.jp/2003/20030510.html
キムヒデの2003WEM秋田レポート(後半) http://www.zdp.co.jp/2003/20030511.html

池上:ミラクルでんちくんは、性能的に考えれば本当は4位でも5位でもよかったんだけど、まさか優勝するとは思わなかった。ここで勝ってしまったものだから、その後の大会で4位5位だとなんだか悔しく感じるように・・・。
負けても悔しくないように、ベニヤで作ったのに。

籾井:欲がでてきたんですね。

木村:アイシンさんとスバルさんは最初から出ていない上に、レース中にも、強豪がことごとくいなくなった。
あの時点で、ZDPピットは、何か凄いことなっていると思った。
だって1-2-3が、ピットにいた3台で並んでいるんだもの。

籾井:その中で、スーパーモスラは、最後倍電圧で飛ばしている最中にあのアクシデントが。

木村:勝利に徹するつもりだったら、倍電圧なんか使って攻めなくとも、後続との距離が確認できていれば、それをキープしているだけで良かったのに。

籾井:今にして思えばそうだったんだけど。あのとき渋谷さんは『もっと飛ばさないと、バッテリー余っちゃうよ』とか言われてつい・・・。
禁句のチェッカー前の『優勝』という言葉も、渋谷さんが口にしていたし。

木村:もう少しで、籾井君が優勝するところだったのにね。

籾井:パンクでスピンして後ろを向いた状態で、しばらく抜かされなかったから距離はあった。
パンクした箇所は、コーナーでもなく、ただの直線だったのに。
今回はペースがあんなに速いとは思わなかった。前半のペースだとバッテリーがあまり気味で、後半ペースを上げるハメに。
最後に全速で走るのではなくて、最初からもう少し速いペースで走るべきだった。
タイヤは、もうミシュランは使わない。IRCに変えてからはパンクはないので、来年もこれでいきます。

木村:来年もスーパーモスラは強豪でありつづけることは確かだね。来年はどこら辺の車がマーク対象かな?

籾井:つばさ52号とかスバルかな。つばさ53号は、先に行かれたらあきらめます。設計思想が違い過ぎるし、あれはまねしたいとは思わないから。

木村:ミツバさんは、最初のトラブルが無かったら速そうだったよね?その後のラップも速かったし。

籾井:そうですか?
止まっていたんですから。予選ではちょっと先いかれましたが、実力はスーパーモスラと互角と思っています。
それよりもスーパーエナジーとかが使って来るという噂の、14インチタイヤが、気になります。

S:ミラクルでんちくんは、図面もダウンロードできるようにして、ベニヤ板も切った状態で組み立てキットを発売しようと言う話もあったんだけど・・・。
図面公開や、技術レポートはどうしたんですか?夜な夜なチャットしていないで、お願いしますよ。

池上:すいません。

籾井:組み立てキットはGHが大変そうだね。池上さんは大変そうじゃないけど。

木村:あれ、キャノピー作れないだろう。あんな大きなアクリル板は手に入らないし、温められない。

籾井:ベニヤでんちくんを、作るのが簡単だというのは、どうも納得いかない。
あれ、シャーシやボディーの部品をつくるの、むちゃくちゃ大変ですよ。
組み立てるだけの池上さんは楽だろうけど。GHの大嶋君とかがすごく大変そう。

木村:CG号で成功したからできる作り方でしょう。

籾井:CG号でキャノピーの製作技術を確立させて、GoHan号でシャーシのベニヤ板を試して、それをあわせたのが、ミラクルでんちくんだから。
学生が簡単に作れますというモノではない。

池田:でも、豊橋の大会では、ミラクルでんちくんのようなキャノピーでアッパーボディーを作った車が流行っていたよ。0.5mmのペット板をフリーブローで作っていた。
ベニヤで箱を作って、熱源はカセットコンロ。つばさ53号は型成形だろうね。


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池田 信
本職は『流しのレーシングカーデザイナー』。現在は(株)デコに勤務し編集業の傍らZDP事務局を担当。
【WSR】

BackNumber〜2003WSR http://www.zdp.co.jp/2003/2003wsr.html

木村:雨にやられましたね。あれはソーラーカーのレースじゃなかった。
よく見るとEVエコランの経験があるチームが最後まで生き残っていた。

S:ジャンクヤードは、あの天気はだいたい予想していた。
3日目にあれほど雨が降った事と、降り出した時刻が早かったのは、ちょっと予想外だったけど。

木村:東海大学も、あの雲で発電しないといっても、100-200Wは出るかと思っていたけど、雨降るような雲の下では、まったく発電しなかったね。

池上:OSUのSunPowerでも、発電無かったのかな?トンカチの時は、曇天でも意外に発電していたような気がする。
あと勝負のポイントとしては、ミツバモータが良くも悪くも、影響していたかな。
今回のようなレースの場合、雨用モータが必要だったかも。

S:ガメラは防水対策がイマイチで、最後は計器類が全滅だったから。

池上:あのびしょ濡れの状態で、動いていたのがすごいね。
レース後に確認したら、モータとトラッカーは大丈夫だったけど。

S:ジャンクヤード的には、あの順位でよかったんだよね?

木村:ZDP的には、もう1周行っておくべきだったでしょう?

池上:そうだね。

S:たとえ最後の1周で止まったとしても2位か3位。正直、1位以外はあまり大差無いしね。

池上:とりあえず、失うものは何もない。電池を深放電させて、電池が泣くだけだから(笑)。

S:そうはいうけど、あれで止めておいて、結果として1位にならなくて、よかったんじゃないの?

池上:OSUの藤田先生に、嫌われなくてよかった。

S:ガメラがOSUを抜いて優勝したら、藤田先生は、新車を池上さんにあげるって言ってたんでしょ?

木村:惜しかったなあ。東海大学も欲しかったなあ。

S:OSU modelSに、東海大学のステッカー張って走らせたいの?

池上:もらえたら、黄色くしてジャンクヤードにしちゃうかな。

木村:メンコのように、今度はオーロラと勝負して、勝ったらそれを頂戴って。

池上:そういう使い方があったか。やっぱり勝っておきたかったな。(笑)

S:そういえば、来年の鈴鹿の日程だけど、FIA発表の日程は7/25だけど、鈴鹿サーキット発表の日程では、7/25はバイクの8耐が入っている。
で、ソーラーカーの8耐はどこへいったかというと・・・7/31-8/1という事になっている。

FIA公式スケジュール http://www.fia.com/Calendrier/Calendrier2004.pdf
鈴鹿サーキットスケジュール http://www.suzukacircuit.co.jp/ms/race/index2.html

WSRの開催がここ2,3年の通り、8月最初の日曜が含まれる週末だとすると、両大会の日程が重なる事に!?
一応正式ではなく、暫定ということにはなっているけど、これってやばいですよね・・・

池上:鈴鹿とWSRが重なっても、私は例年通り鈴鹿の大正園で焼き肉食べます

木村:それは暗に秋田には行かないぞという、意思表示ですか?

池上:だってさあ、やるのかなジャンクヤード?

木村:ジャンクヤードは、もう目標ないでしょう?

池上:去年だって殆どやめるつもりでいたけど、ドライバーの若松君と海んちゅがやりたいっていうから。
来年はチームヨイショットミツバあたりで出てもらうか・・・

木村:あとは鈴鹿のEnjoyクラスを、ガメラで強引に走るかどうか?

池上:それは怖い。モノコック作り直しならやってもいい。

S:ガメラの鈴鹿バージョン?

池上:高剛性、低重心。大量のバッテリーを積むために、子持ちシシャモのような車で。

木村:レース時間も4時間だし、時間も悪いから日射を当てにしないででっかいエコノムーバみたいな車にして、太陽電池を捨てた方が速くない?

池上:でも貼ってもいいでしょ?どうせトレッドも必要でアイポイントも必要だから、ガメラのような形になるでしょ。

籾井:僕もキムラさんのイメージに近い。格好悪いけどカートのように人が乗れば、アイポイントもクリアできる。


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木村 英樹
東海大学電子情報学部 助教授。
工学博士。
【筑波】

BackNumber〜2003夏2 http://www.zdp.co.jp/2003/2003summer2.html
キムヒデの2003WEM筑波参戦レポート http://www.zdp.co.jp/2003/20031001.html

籾井:ミツバさんに先駆けて、コアレスをとりあえずデビューさせたことが良かったかな。
まだ良い結果は出ていないけど。

木村:まわりの関心だと、来年の5月の秋田にコアレスを投入するのか気になるかな。

籾井:それはね、自分でもわからない(笑)。
試験走行やって良い方を使うから。でも、コアレスは、アモルファスよりも1kg重い。

木村:特電はモータ単体で1.5kg弱。

籾井:モスラ用に作ったDDモータは、ホイルがついた状態でアモルファス5kg、コアレス6kg、菅生用7kg。
将来的にはコアレスの方が良いんだろうけど、今は???

木村:あとはCG号が、なぜか優勝。

池上:これで私は作った車両は、全部優勝。絶対に優勝しないと思っていたCG号さえも・・・

木村:いろいろな方にお世話になりましたが、やっぱり最後は池上さんのおかげです。

池上:俺、何もしていないよ。

木村:悪運で雨を降らせてくれたじゃないですか(笑)。
実は前の週に、余目の大会でがやはり雨で練習になっていたのが良かった。おかげで雨対策はばっちり。
最初の2,3周は曇って見えにくかったけど、そのあとは、タイヤの跳ねた水が、流水となって内側のくもりを取って、見えやすくなってきた。
タイヤカバーをしっかりとつけなかったのが良かった。でも、筑波は来年開催されないんだよね。残念。


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籾井 基之
(株)本田技術研究所 勤務。
モスラシリーズを設計。
【豊田】

BackNumber〜2003秋1 http://www.zdp.co.jp/2003/2003autumn1.html
2003 WEM in とよた キムヒデ技術レポート http://www.zdp.co.jp/2003/20030908.html

籾井:やっと優勝ができた。
ミツバさんとアイシンさんがパンクしたのは、悪霊池上さんの予定通りという感じだった。
あー、やられちゃったのかなって。

池上:そんなつもりは、全くありません!

木村:アイシンさんがパンクした時、池上さんは自分が何を言ったか覚えています?

『よし、あと2台!』

そのとき前を走っていたのは、籾井君と、東海大のファラデーマジックだった。

池上:言っていないよ〜

木村:いや言った。複数の証言がある!すげー、怖かったよ。

池田:普通は、『あと2台抜く』なんだけど・・・


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ZDP Webmaster 編集長。
【WSC2003】

BackNumber〜2003WSC http://www.zdp.co.jp/2003/2003wsc.html

S:今回記事にするために各チームのサイトとかでスペックを調べたりしたんだけど、上位陣は、どこも衛星グレードの太陽電池を搭載しているんだよね。驚いた。凄い時代になった。

木村:世界的にはもう、衛星グレードのガリウムヒ素のトリプルジャンクション太陽電池がないと、勝負にならない。日本だけが取り残されている。一応¥5000万くらいで、1台分の太陽電池が買えるらしいね。

S:以前に比べれば安いんだろうけど、日本で買えるチームは殆どゼロだね。
オーロラあたりは、月面探査や火星探査の余りセルを搭載しているでしょ?
日本でも宇宙プロジェクトが、がんばってもらわないと、余りセルすら手に入らない。

木村:そもそも日本には、衛星グレードの高効率セルの絶対量が少ないからダメだね。
でも技術はあるから、あとは国家プロジェクトとして、高効率セルを開発してレースに使用するくらいの事をしてくれないと、本当に世界に置いて行かれてしまう。


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【白浜】

BackNumber〜2003秋3 http://www.zdp.co.jp/2003/2003autumn3.html
キムヒデの2003白浜レポート http://www.zdp.co.jp/2003/20031110.html

木村:2輪のつばさ53号が最後まで走るとは。あとは、亀吉さんが、まさかアモルファス特電をつんでいたいたとは。忘年会まで知らなかったよ!

池上:亀吉さんに、プロトタイプの特電アモルファスを出す件は、白浜の週に西村さんから、特電アモルファスのプロトタイプがあるんだけど、どこにモニターしてもらったら良いですかという話があった。
で、池田さんとは木曜日ぐらいに、亀吉さんにモニターをお願いしようという話をしていたのに・・・
なぜ大会に間に合ったの?

池田:だって直接宿にモータを発送したんだもの。 それで、亀吉さん宿で載せ替えやったみたいよ。

籾井:でもなんで亀吉さんを選んだんですか?微妙に争いに絡みそうなところに、わざわざ?

池上:特電を使っていてそこそこ上位に食い込んでいるチームを選んだ。
ミラクルでんちくんは空力的にも勝っているから、亀吉さんには負けないと思っていたんだけど・・・

木村:甘い。
でんちくんは、負けちゃったじゃないですか。東海大学なんかは、亀吉さんには毎回背水の陣でむかっていますから。
今回は白浜ごときの平らなコースにも、ちゃんと菅生と同じようにシミュレーションをしましたよ。
その結果、平らに見えるあのコースでも、下っているときは回生がかかるとか、登っているとき電流をやたら喰うということがわかりました。

池上:最初私がテストランをして、走り方を考えて、その結果をドライバーの海んちゅに指示したんだけど、キムラさんは、シミュレーションの結果から、もう既に同じ内容を指示してますって言うんだもの。走らずにそれを指示するなんて、すごいなあと思った。

木村:人間は必要な能力は開花せざるをえないんですよ。オレ、体でかいからファラデーマジックには乗れないんだもの!
乗れない以上は、自分で電流計見られないから、乗った気持ちになって指示ができるようになれないと。

池上:さすがです。

木村:それだけ、気合いをいれていたんですよ。個人的にも、好きな大会ですから。

池上:ミラクルでんちくんにとって、白浜は、コーナーリングがきつかった。
バラストの影響がすごく大きいんだよね。白浜のドライバー標準体重は、他の大会に比べて10kg軽くなる60kg。
ドライバーのうみんちゅが乗った状態で、秋田のレギュレーションにあわせてドライバーの重量が70kgになるようにバラストを敷くと超低重心になる。
大潟村のコースでは、大会本部前の折り返しを、全開で回れるらしい。俺が乗ると36km/hでかなり危ない。

籾井:それは、うちも全くいっしょ。

池上:それを、海んちゅは40km/hオーバーで行くって言うんだから・・・。
レース中、折り返しの出口で、でんちくんがずいぶんアウトにふくらむももんだから、携帯でもっとインに寄れっていったのに、寄れないって言うから話を聞いたら、どうも全開で曲がっているらしい。白浜は、大潟に比べてバラストが10kg少ないから、コーナーでインが浮くっていっていた。

S:そりゃ、車体1台分以上の重量だもの、効くでしょう。

池上:来年の大会からレギュレーションが変更になって、バッテリーへの充電がOKにすると、発電機をみんな回すようになって大変そう。
渋谷充電をやると、温めも必要になるし・・・

木村:渋谷充電は、非常にエネルギーの犠牲が多いやり方なんです。電池から最大限のエネルギーを取り出すために、盛大にエネルギーを使って温めたりと。
エネルギー利用という面からは、バッテリーエコランは、ソーラーカーよりも、かなり悪どいですよ。
鈴鹿のEnjoyクラスだって加温した方が良いと思うけど、そこまでやるチームは見たこと無いもの。


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【菅生】

BackNumber〜2003秋3 http://www.zdp.co.jp/2003/2003autumn3.html
キムヒデの2003菅生レポート http://www.zdp.co.jp/2003/20031115.html

池上:でんちくんは3位だったけど、最高であり最低かな。キャパシタ充電用に用意した新型の浪越コントローラが不調で、練習の時も予選の時もヒューズが飛んでしまった。
結局、予選中に急遽前年と同じコントローラに載せ替えて、なんとか走った。

木村:ちょっと練習不足でしたね。悲しいラップチャートがあるんですが、ばらつきが多くて、見るに耐えない結果です。

池上:海んちゅが・・・度胸はいいんだけどなぁ。

木村:ミツバさんのでんちくん用アモルファスDDモータの性能は良かったよね。データがおかしいんじゃないかと思うくらい。キャパシタも過去最大の搭載量でした。

池上:モスラが満足に走れなかった原因は?

籾井:モータのセンサーエラー。思いっきり進角しているような状態で坂を登っていた。
ただそれを言うと、実は秋田用も、コアレスも、全部ずれていたんだけど・・・

木村:よくわからないけど、菅生は電流(=磁束)の値が大きいからでしょう? 秋田はそこまで電流を流さないし。

池上:キャパシタ無しにもかかわらず、アイシン精機はがんばっていたねFPXシリーズって、回生だけで、そんなに充電できるんだ。

S:FPXシリーズは、元々無停電電源(UPS)に使用するような電池だから。かなり酷なレートで使用できる仕様になっているはず。

池上:それにしても、大会として菅生はつらいね。上位数台と、その下との差が広がりすぎ。


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【いろいろ】

・2003 WEM GP戦 インパクトのあった技術

木村:2003年のWEM GPの新技術を振り返ると、2輪、アモルファス、14インチタイヤ、。池上さん的にはベニヤの実用化か?
もう無いと思っていてもこれだけ出てくるんだから、来年は何が出てくるんだろう。

籾井:2輪のつばさ53号は、まともに走らないと思っていたのが、走っちゃった。

木村:常識が二つ破られた。一つは2輪で低重心なのは走らないという常識、もう一つは速かった。

籾井:いや、走られちゃったら速いとは思っていた。

木村:白浜のビデオ見たけど、53号はすごい角度で曲がっている。秋田も完走したらどうしよう?怖いでしょ?

籾井:怖いけど、秋田を走りきれるか。どちらかというと52号の方が怖い。2台体制でくるでしょう。

木村:ZDPも2台体制じゃないか。WEMシリーズ戦で見るとZDPは2勝できている。

籾井:ZDPで何勝といわれても、あんまりそんな気しませんね。僕が1勝、池上さんが1勝という感じ。

S:ZDPを皆誤解しているかもしれない。WEMでは実質チーム池上とチーム籾井の個人チーム2チームが、ZDPと名乗っているだけだから。

池上:ZDP SHOPの売上が、でんちくんやモスラの製作費用に還元されているかというとそういうことは全くない訳で、エントリーフィーも含めて手弁当。

S:還元されているとすれば、唯一www.zdp.co.jpを借りているサーバ台(年間7万円)ぐらいかな。

池田:ZDP SHOPの売上げは、(株)デコの借金返済につかわれちゃっているし(笑)。

籾井:そのあたり、ZDPという集団は、皆に誤解されていますね。

S:まあ、説明しにくいのも確かだけど。


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・特電アモルファスモータ市販化

ZDP SHOP http://www.zdp.co.jp/shop/

木村:特電アモルファスの誕生は、例のベルギービール飲みながら話をした時がきっかけ。
最後は市販化するという話は当初無かったけど、流れ的にはしょうがないかな。

池田:手間もかかるし進めたくは無かったけど、いつの間にか流れでそうなってしまったようです。
でも、特殊電装の西村さんとしては頭の中に、プロトタイプを作った翌年市販化という考えは持っていたみたい。

籾井:コアの材料は?

木村:日本ケミコンの子会社の岩手エレクトロニクスから来ている。

籾井:カットは?

木村:特電がやる。1回の作業で、2,3台分を切り出すんだけど、それに20時間もかかるらしい。

S:1年で何個売る予定なの?

池田:西村さんは、1年で5個売れないんじゃない?と言っていた。

S:忘年会で某チームが2台注文していたから、あと3台か。

木村:あとは名城大学さんあたりが買ってくれないかなぁ。可能性としては、特電やマクソンユーザーが流れてくるのでは。
秋田一発なら新型ミツバDD、他のレースにも出たければ特電アモルファスかな。

籾井:すでにミツバDD使っているところは、構造的に特電+ギアを入れるのがつらいかもしれませんね。

木村:でもうちのファラデーマジックは、それをやっているよ。でも取り付けには苦労した。モータの位置が、タイヤより後ろだったり、チェーンが逆回りだったり。

池田:新型ミツバDDはアナウンスが無いけど、どうしちゃったんだろう?


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・14インチタイヤ

池上:14インチは、定着した技術としてはまだでしょう?

池田:春の講習会で見たときは、まだダメだと思ってた。

木村:14インチタイヤの採用が、吉とでるかどうか。まだ去年14インチを採用した車は、あまり結果を残していないけど、来年はどうかな。

籾井:皆気にしていないかもしれないけど、14インチタイヤはパンクが怖い。あの14インチタイヤは、パンクしやすいって。

木村:私、国内のレースではソーラーカーも含めてパンクしたことないし。

籾井:14インチの最初はあれほどパンクしていたのに忘れたの?
シーズン後半は、チューブを変えてパンクしなくなったといっているけど、それは、チューブが貫通しないでいるだけで、タイヤは貫通しているんだから。
本当は貫通しちゃいけない。でもあの14インチタイヤは、異様に薄いから貫通しちゃう。

木村:特に最近の秋田は路面があれてきているから、14インチは跳ねるだろうね。

籾井:タイヤでは吸収できないですよ。

木村:その辺を考えると、だれか結果を出してくれないと、14インチを採用しずらい。

池田:タイヤの負荷能力そのものでいうと、直径と幅をかけたもののルートで効いてきますから。でもどちらかというと、直径の方が効くはず。

籾井:14インチタイヤが20インチタイヤに比べて性能が同じといっているのも、幅広リムを使って、やっと同じと言うレベル。
その幅広リムを20インチでやったら、20インチの方がもっと性能が出る。
転がり抵抗の数値は、試験台のレベルでの話だから、荒れた路面を走行するときのギャップのロスとかは全く考慮されていない。
14インチが20インチと同等と言うことは、あり得ない。

池上:実は14インチ仕様のでんちくんを、テストしてみようと思っている。

S:もう1台、新しく作るの?

池上:金かけないよ、俺は。

木村:それは言い訳けだから(笑)。で、作るんでしょ?

池上:あ、いや、14インチのテスト用車両みたいなモノを・・・

池田:じゃ、やっぱり作るんじゃん。

池上:だっていろいろ考えるよりも、その方が早いんだもの。秋田にテスト行って往復するだけで4万円かかるし。

S:またベニヤ板?

池上:そう。3日ではできないけど、4日あれば作れる。

木村:テスト用車両っていうくらいだから、秋田には出ないんだよね?

池上:いや、結果が良かったら出るよ。

木村:それじゃただのテスト用じゃなくて、やっぱり新車じゃないか。

池上:ミラクルの次は、名前は何にしよう。

池田:イリュージョン(錯覚、幻覚という意味)とかどう?

S:あたまにつけると格好悪いから、でんちくんイリュージョンかな?
で、本当に作るの?

池上:いや、作ろうかなと、思っているところ。

木村:抱えている仕事を考えると、果たして作る余裕があるのか疑問。

池田:仕事って?

籾井:大同メタルさんの車ですか?

池上:内緒。あとそれ以外にもう1台。

池上:14インチタイヤは、予想よりは早く熟成してきたかな。

池田:今台湾で14インチホイールも探しているから。

木村:14インチの新車といえば、成蹊大学さんの新車が14インチだったんだよね。

池上:後ろは20インチだから、後ろ全然見えないんだよね。その場で指摘したら、いやなオヤジと思われるから黙っていたけど。

木村:でもその車は、白浜でミラクルでんちくんの後ろ走ってましたよ6位ですからね。
文句言っておいて、抜かされるというのはやばいですよね。成蹊大学さんは、ミツバ製DDのノーマルであの順位。
それを考えると、池上さん的には、かなりやばい戦いだったんですよ。

池上:うーん、そうだったか。


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・来シーズンのファラデーマジック


木村:東海大のファラデーマジックは、第2集団のトップレベルにはいると思っている。ミラクルでんちくんも、その第2集団に含まれる。
このあたりとは互角に戦えるのは、練習走行や昨シーズンの結果からわかっている。
個人的には、同じ神奈川県勢として亀吉さんには負けるわけにはいかない。
だから、亀吉だけにはアモルファス使ってもらいたく無かったんだけど・・・。

池田:亀吉さん、アモルファス特電来年使うかわからないんだよね。新型ミツバDDを買うらしいよ。

木村:そんなところに、なんでアモルファス特電を、試供するかな!
うちは、エコノムーブでは特電と心中する覚悟で、開発から関わっているのに(笑)。

池田:東海大オリジナルは作らないの?

木村:機が熟せば・・・正直言って、まだそれほどレベル高くないですから。あっ、でも新車の方は考えてますよ。


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・教えて池田さん!

木村:池田さんから見た場合、エコノムーバの車両でバランスが良さそうな車はどの辺ですかね?

池田:うーん、むつかしいな。良くできていると思うのは亀吉ですね。でもちょっと太りすぎカナ。

木村:確かに、亀吉さんは結果も出しているしいいんですよね。亀吉さんのどこがよいかわかれば、いい車体が作れる。トレッドは480mmもある。あれを削ってくれば・・・

池田:でもあれを削ってしまうと、コーナーリングが速いという良いところがスポイルされてしまう。

籾井:あれが良いのならば、菅生にもってきたスパッツを切った旧型モスラも良いということになる。

木村:意外にいいんじゃないの?

池田:僕も、旧型モスラのスパッツを切った形は良いんじゃないかと思っている。

木村:キャンバーがついてしまうのでどうかな?

籾井:キャンバーはあまり関係ないかも。豊田でもそうだったし。

池田:ついてないに越したことはないけど、それほど大きな影響にならなかった。それよりも空力面や、コーナーリングスピードのメリットの方が大きかった。

籾井:スーパーモスラは、横転防止にもなった。

木村:ファラデーマジックは、白浜にスパッツにバラストを入れた低重心バラストを採用したけど、これで重心がぐっと下がって、意外によかった。

池田:あとは、ホンダエンジニアリングさんのオルカですね。
今皆14インチをフロントに使うことばかり考えているけど、ミツバさんが後ろに使ってきたように、空力の面と加速時のGDスクエアの面から後ろに使うことを真剣に考えた方がよい。そのメリットは大きい。

籾井:モータも小さくなるし。

木村:でも、フロントの20インチもつらい。

籾井:空力的には、前で膨らんでも、後ろで絞れば問題ない。

池田:基本的に視界の問題と、切れ角が大きくとれるという事かな。

籾井:いや、パンクですよ。どんなに速く走ろうと、パンクしちゃだめなんですよ。

池田:シングルウォールだけど14インチで32mm幅というリムを見つけたんだ。FさんやYさんにおくりました。
Fさんはそれを真っ二つに割って、55mmにするらしい(笑)。

木村:来年は20インチでも、幅広リムでいかなくちゃならないか。

池田:20インチのリムは、39mmのを今台湾に発注している。

S:なんで池田さんが発注しているんですか?ZDP SHOPで売るんですか?

池田:そう、売っちゃう!100本発注済み!

S:エーッ!?、そんなに!?

池田:1チーム5本買うんなら20チームだから、すぐ売れるでしょ。
20インチのリムだと、もっと太いトライアル用のがあるけど、重いし、リムに肉抜きの穴があいていて、空気圧があげられないんだよね。
これが一本¥7500−する。今頼んでいるのは、もっと安く売れる予定。

S:リム発売の件は、オフレコですか?

池田:いや、某BBSに書いてあるので、オープンです。

木村:そういう情報を集めるのに、苦労している人が多い。

池田:でもBBSとか読めば、全部書いてあるじゃん。

木村:そうはいうけど、特にWEM関連のBBSは数が多すぎて、とても全部は見られませんよ。

池田:FAQの形でまとめた方が良いのかな?
地方の大会しか出ていない高校の先生とかだと、WEM関連のホームページは全然見ていないから、どうしてそんなレベルの話を今しているの?という人もいて(笑)

S:最近webmaster宛やshop宛にも、いろいろ質問がきますね。

池田:shop宛のメールはまだ良い方。電話はもっとすごいよ。
電話をかけてくれるのはとてもありがたいんだけど、『モータを変えると成績あがりますか?』とかいきなり聞かれる。
そうなると、一人池上さん状態で、まずは1時間、初級講座をすべて説明しないとならない。
トップチームと比べて、20%も周回数が違うチームに対して、モータを変えて成績良くなりますかと聞かれても、『なりません』としか答えられない。

木村:それは商売的には『なります』と言わないと。

池田:えー、そんないい加減な。

木村:なるならないという点で言えば、なりますよ。

籾井:まあ、悪くはならないな。

S:でもその前にやることはいっぱいあるだろうに。

池田:たしかに5%は良くなるけど、20%は良くならないでしょ。

木村:でも、そういうチームはギヤ比も効率が良いところを外して走ったりしているのだから、全域で効率の高いアモルファス新型にかえれば記録がのびる。

池田:まあそうだけど、それ以前に、そういうチームは、ドライバーが電圧計を見てどれくらいバッテリーが残っているかわからないんだから。
まずはそれから始めないと。

木村:その点では、うちもだいぶ進化しました。2002年はドライバーが自分で考えるのが怖くて、全部ピット任せで走っていたのに、最近はピットと相談しながら走れるようになった。

池田:質問してくれる人には教えているんだけど、アマチュア無線の山岳運用のページがあって、そのページに鉛バッテリーの容量の話が詳しく書いてあるので、参考にしてもらっている。あとミツバさんのページを見てもらえばいいかな。


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・・・ この後も話は続きましたが、とりあえず乾杯ということで。



来シーズンも、よろしくお願い致します。(一同)

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