|
|||||||||||
|
「やぁ、みんな元気かい?」今回は、キムヒデ初参加となる「2003 WEM in とよた」でしたが、やはり各チームともいろいろな工夫をしてくるなど、情報が山盛りでした。これでも、ほんの一部ですがどーんと紹介しましょう。 first step AISIN AW情報
時間経過とともに電池電圧が低下するのに対して、速度を一定にするなら24V-24VのDC-DCコンバータを使うというのが通常の発想だ。しかし中を見せてもらうとなんと24V-3.3VのDC-DCコンバータが入っていた。入力と出力が絶縁されているタイプのイータ電機工業製DC-DCコンバータを利用すると、自分自身の電池電圧にDC-DCの出力を上乗せすることができる。これにより、モーターに入力される電圧が3.3Vほど高くなり、その結果、速度を上げることができるのだ。「入力部分をバイパスするダイオードは、ダイオードでもいいのですが、私たちはMOSFETを使ってロスを押さえるようにしています。」とのこと。青い発泡スチロールで囲まれている部分にはコンパレータが入っているそうで、MOSFETのゲート電圧を制御しているようだ。「24Vの部分は効率が100%なので、3.3Vの部分を担当するDC-DCコンバータの変換効率が多少低くても、この方法であれば全体の変換効率は高くなるというメリットがあります。これが24V-24VのようなDC-DCコンバータを使用した時との差ですね。」とのこと。なるほど、ここにミラクルでんちくんが中盤以降に抜かれる謎が隠されていたのか・・・。例えば、電池電圧が23Vのときに、88%の効率のDC-DCコンバータを使用したとして計算すると、(23*1+3.3*0.88)/(23+3.3)=0.985となり総合では98.5%と高い効率となる。私は、この新らしい技に思わず感動してしまいました。次に、つばさ52号のリアステアと53号のフロントステアの写真を撮っておいたので載せておきましょう。つばさ52号のリアステアはいろんなところで紹介されている?ので、細かいことは想像にお任せしましょう。要約するとホンダのプレリュードが採用していた機械式4WDと似た動きで、舵角が小さいときは同相、大きくなると逆相に動作する。とよたのコースでは、すこし右へステアを切っているのですが、そのときのリアタイヤは、ちょうど正面を向いたくらいの位置になるのではとのこと。したがって、とよたのコースでは3WSの効果は他のコースに比べると薄れそうだ。その反面、フロントタイヤのネガティブキャンバーは、常にカーブしているとよたのコースに向いているのかもしれない。一方、53号のフロントサスは、本来片持ちになるところだが、強度や剛性に配慮して、両持ちとなるように貫通シャフトを入れた構造にしたとのこと。とよたのレースでは、補助輪を使う状態で走行するが、左右に接地したときにドライバーの頭が車内で左右に振られ、かなりつらいそうだ。この辺の対策は今後の課題らしい。とにかく、first step AISIN AWは意欲的に何か仕掛けてくる、有力チームのひとつであることを改めて実感した。
タイヤ&モーター情報
一方、スーパーモスラの籾井君は長年使用してきたミシュランタイヤからIRCへタイヤを変更。「少しでもパンクのリスクが下がれば、と思っていろいろ流れている情報をもとに変えてみました。」とのこと。確かに、スーパーモスラも今回は最後まで走りきり、優勝にこぎつけている。モーターは秋田用に製作したアモルファスコアDDモーターのままで、とよたのコースには少し速すぎるようだ。これに対してミツバは秋田用のアモルファスコアDDモーターの巻線をとよた用に巻き直し、低速セッティングに振ってきたようだ。しかし、残念ながらスーパーモスラと同じIRCタイヤを装着していたHyper USO800は、途中でパンクしてしまう。これは、ラテックスチューブに穴が開いたのが原因のようだ。ミラクルでんちくんも予選前にラテックスチューブを装着したもののスローパンクにおちいり、ウレタンチューブへ戻しているだけに、タイヤ種類だけでなくチューブの材質や構造などにも検討を加える必要があるようだ。なお、一般の自転車が使用しているのは、ブチルゴム系のチューブだそうで、丈夫なのだが転がり抵抗が大きくなりやすいそうで、トップレベルのEVエコランカーチームで使用している例はほとんど無いといっていい。
これに対してミラクルでんちくんやファラデー・マジックはミシュラン製の20インチエコラン用タイヤを採用している。とくにファラデー・マジックは、まだ出場数が少ないものの予選・本戦を通じてデビュー以来一度もパンクを経験したことがないので、ミシュランで耐久性に問題があるとは考えていない。転がり抵抗についてもトップレベルの水準にあると考えている。そして、両者に共通しているのが特殊電装製アモルファスコアDCブラシレスモーター&チェーンドライブ。粗い路面のとよたのコースについても、ほぼベストセッティングできた。なお、おなじみの電気二重層キャパシタは、フラットな周回コースで加減速がなくほぼ一定速度で巡行することや、タイトなレーススケジュールのためプリチャージする時間が与えられていないことから、今年のとよたに関しては搭載を断念した。
籾井基之ポートレート
澁谷充電はすごいのか? その他
最後は、今回も優勝争いの中心にいながらパンクで残念な結果に終わってしまったfirst step AISIN AWの中村さんとヨイショット!ミツバの齋藤さんのツーショット。もしかすると、生け神様のミラクル運=怨念パワーの生贄にされてしまったのかもしれません。この2台のパンクの後、生け神様はさらに「よし、あと2台!」とつぶやき、チームメンバーでさえ容赦なくターゲットにしそうな勢いでした。スーパーモスラのエネルギーマネージメントを担当した澁谷さんは、池上さんがいるZDPピットには一度も姿を見せず、池上さんの怨念パワーが届かないように離れていました。これが、今回の籾井君優勝の決定的な要素になったのかもしれないですね。(もちろん、このあたりは実話ですがジョークです。)テクニカルな話ではありませんが、レースの世界には運や精神力といった要素も多いのが実情のようです。こういうことは、学校の教科書にはまったく出てこない生のエンジニアリングの面白い部分だと思いませんか? 私キムヒデも、筑波サーキットで優勝した運を再び呼び込むために、運転をしないのに優勝したときと同じレーシングスーツを着て、ピットでエネルギーマネージメントをしていたのでした。きっと次回の白浜にも、同じ姿でレース会場に登場することでしょう。
|
|||||||
当サイトに関するお問い合わせはこちらから。 Copyright(c)1995-2003 Zero to Darwin Project All rights reserved. |