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WSC大会10日目最終日。1987年の第1回大会からWSCに連続参加の、スーツケースに入るソーラーカーで有名な独デトレフ・シュミット氏は、本日午後、アデレード市内のゴール地点ビクトリアスクエアに到着。1987年から16年、参加7回目にして、ついにダーウィン-アデレード3000km完走を果たした。 ドイツの技師シュミット氏のソーラーカーHelioDetは、スーツケースで運べる折りたたみ型。1987年第1回大会から、スタートの日が近づくと彼は休暇を取って、分解したソーラーカーをスーツケースと手荷物にまとめ、それを持ってダーウィンへと旅立つ。彼は現地でソーラーカーを組み立てると、その車で大陸縦断の旅へと出発する。 第1回WSCから連続参加の記録を持つのは、シュミット氏と今大会2位のAuroraチームだけ。シュミット氏のこれまでの自己ベストは、1999年のクーバーペディーの北60km地点、走行距離2200kmで、完走はまだ1度もなかった。 今回シュミット氏は、彼の娘を含む、今大会全チーム中最も少ない、4人のチームで参加。太陽電池の変換効率を15-16%と、前回よりも2%変換効率を向上させたセルを搭載したHelioDet6で、ついに3000km完走を果たした。 WSC大会本部は、本日アデレード市内で行われた表彰式でSpirit of the Event賞をシュミット氏に贈った。(s)
2003 WSC最終結果
関連リンク:
優勝したNuon Solar TeamのNunaIIは、前回優勝のNuonの設計を根本的に見直し、空力向上と軽量化をはかり、月探査計画 SMART-1にも搭載された、変換効率24.5%超の最新型3層構造ガリウムヒ素太陽電池を搭載した新車。前回大会に、同チームが記録した平均速度91.8km/hを大幅に上回る、平均速度100km/h、全行程3010kmの30時間以内完走を目標に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の技術支援の元、オランダのデルフト工科大学と、エラスムス大学の学生達が製作した。Nuonはオランダのエネルギー(電力、ガス、水、熱の供給)会社で、チームのメインスポンサー。 現地時間16:08、NunaIIは、アデレードのビクトリアスクエアに到着。本大会2回連続の大会総合優勝と、新記録を祝った。
2位のAuroraは、Angle Valeを17:07に通過。自らの記録を46分更新した。Auroraは明日、ビクトリアスクエアまで自走し、08:40頃に到着する予定。MITはさらに20分後で、本日のレースを終了した模様。(s) 関連リンク:
オランダNunaIIは、最後のメディアストップ:ポートオーガスタ(スタートから2719km)に本日12:18に到着した。2位Auroraは75分遅れ、3位のMITはさらに18分遅れの13:51に到着した。MITは、ポートオーガスタ市街に入るところで、信号に引っかかり停車するために急ブレーキをかけた際、2輪にダメージを与えてしまい交換を余儀なくされた。 心配されていた天候は、気温は低くなっているが、風も雲も無いソーラーカーの走行には絶好の状態。ゴールまでは残り279km。トップのNunaII、ビクトリアスクエア到着は16:15頃の予定。Auroraが今日中にゴールするには、残りのコースを平均90km/h以上で走行しなければならない。(s) 関連リンク:WSC2003公式サイト http://www.wsc.org.au/latestupdates.htm 追記(2003/10/22 17:30):
2位争いはAuroraとMITの熾烈な争いとなっている。朝08:30過ぎ、Auroraが出発した1分後にMITはスタートを切る。MITは明日の天気を見越してバッテリーを温存する作戦をとり、一旦はペースを押さえる。しかし、やがてそのペースでは押さえすぎだという事に気がつき、105km/h巡航にペースを上げ、先行するAuroraを追う展開に。アリススプリングスから550km離れたキャドニー・ホームステッドでは、MITはAuroraを抜き、数分先行して到着する。しかし、ここでMITのリヤタイヤにパンク。交換作業をするが、新しいホイールがモータに入らない。この作業に手間取り、MITは手痛い14分のロス。対するAuroraは、メディアストップ出発直後に、タイヤ交換を実施。これで少しはMITも時間的に救われたかと思いきや、不幸にも先ほど変えたのとは別のタイヤがパンク。この交換作業でさらに4分のロス。このごたごたにより、MITはAuroraに置いて行かれてしまい、レース終了時には、2位Auroraと3位MITの差は12kmと、昨日よりも差を広げられてしまう。明日の天候は、この2台の勝負をどのように決着させるのだろうか。 4位の二人乗りGEMINIのクイーンズ大は、キャドニー・ホームステッドの60km北で今日のレースを終えた。5位Bochum/London South Bank Univ、6位Principia College Ra V。7位Southern Taiwan University、8位The SA Solar Car Consortium、9位青山学院大学は、本日16:12に中間地点のアリススプリングスを出発している。 参加22チーム中現在も走行を続ける最も遅い車は、本日夕方にテナントクリークへ到着した。WSCでのチャレンジは、参加チームの数だけ存在する。光のエネルギーだけで3000kmを完走するという事も、過酷なチャレンジに他ならない。(s) 関連リンク:WSC2003公式サイト http://www.wsc.org.au/latestupdates.htm
NunaII、Aurora、MITの3チームは曇り空で朝日からの充電ができないまま、レース開始の8時を迎えた。Auroraは昨日レース終了直前にMITを抜き、今朝はMITの2分先から、さらに先を行くNunaIIを追ってスタートした。 曇りがちだった空も、10時頃には晴れて日射が回復。10:35、NunaIIが、3番目のメディアストップ:テナントクリーク(スタートから985km)に到着。Aurora10:57着、MIT11:04着。 朝から吹き続いている横風に耐えながらも、その後は各車とも走行距離を伸ばす。結局そのままの並び順のまま、アリススプリングスにて、本日のレース終了時刻を迎える。 トップのNunaII、アリススプリングのメディアストップへ16:36到着。2位Aurora17:04着、3位MIT17:05着。AuroraとMITの差はわずか1分。3台が並び、このまま今日のレースを終了するかと思われたが、NunaIIはメディアストップで義務づけられている30分の停車時間が終了すると、17:06にメディアストップを出発。そこからすぐのハンバーガー屋:ハングリージャックまで走り、本日のレースを終了した。 2日目の全結果はWSC公式サイト参照。
Auroraは、バッテリーを使い果たしてしまったのか、アリススプリング直前に65km/hで走行していたとの情報も。 明日の大会三日目、トップ争いの舞台は、サウスオーストラリアへと突入する。(s) 関連リンク:WSC2003公式サイト http://www.wsc.org.au/latestupdates.htm
キャサリンでの順位は、トップがNunaIIで11:35着。2位にMIT Tesseract。Auroraはスタート前と途中1回のパンクにより出遅れ、NunaIIに遅れること約8分でキャサリンに到着した模様。 各チームのWebサイトに掲載された情報を総合すると、トップ3車の発電量と重量は、NunaII:2200W/257kg、Aurora:1600W/194kg、MIT:1800W/180kg。 コース上の天候は、本日の舞台となるノーザンテリトリでは所々雲が見られるが、おおむね良好。明日以降先頭集団が走る内陸部の天候は問題なさそうだが、アデレード沖に接近している寒冷前線の影響により、レース終盤アデレード近郊で天候が悪くなる可能性が高い。(s) 関連リンク: 追記(2003/10/20):
オーストラリア縦断ソーラーカーレース:World Solar Challengeが、まもなく開幕する。Darwinスタートは10月19日で、その前の週から車検や予選をかねたスタビリティチェックが、Darwin市内で予定されている。今年で第7回目を迎える同大会には、11カ国の28チームがエントリしている。エントリーの台数は若干寂しい感はあるが、熱い優勝争いは今回も目が離せない。 優勝候補の筆頭は、オランダNuon SolarCar TeamのNunaII http://www.nuonsolarteam.com/。 前回優勝車から車体重量を30kg減の250kgへ、3層構造のガリウムヒ素太陽電池も前回よりさらに変換効率を向上させた新車を投入。万全の体制で大会2連覇を狙う。 これに対して、前回大会ではセルの性能差にやられた1999年大会優勝のオーロラhttp://www.aurorasolarcar.com/(右写真)も、今回はNunaと同じく衛星グレードのガリウムヒ素太陽電池を搭載して、リベンジに挑む。 北米の大学チームでは、今年7月に開催されたAmerican Solar Challenge2003 にて4位入賞のPrincipia College Ra V http://www.prin.edu/solar/や、4輪二人乗りで同大会7位のカナダクイーンズ大のGEMINI http://solarcar.queensu.ca/が、やはり衛星グレードのEMCORE社製3層構造ガリウムヒ素太陽電池を搭載する。 車体製作が間に合わずASCへの出場をあきらめWSC2003出場に専念した、Eclipse V http://eclipse.etsmtl.ca/eclipse5/も、サイトに掲載されている仕様によると、なかなか侮れない。 WSC1999にて、平凡な市販セルと平凡な鉛電池を搭載した車体ながら、総合8位に入賞したマサチューセッツ工科大学・ソーラーカービーグルチーム:MIT SEVT http://web.mit.edu/solar-cars/www/も、今回は衛星グレードの太陽電池を搭載したISF5000クラスの新車Tesseractを登場させる。 英London South Bank大Mad Dogチーム http://www.lsbu.ac.uk/solarcar/ の新車HansGO(MadDogIV)は、独Bochum大と共同で製作され、Gocherman 協力の下、変換効率28%以上の多積層ガリウムヒ素太陽電池を搭載する。 地元オーストラリア、シリコン太陽電池最高峰の技術を持つUNSW Greenセル搭載のニューサウスウェルズ大 SunswiftII http://www.sunswift.com/ も健在だ。同チームのページには、大会中継のページも用意されている。
今年の鈴鹿で新車をデビューさせたOSU大阪産業大学ソーラーカープロジェクト http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Race/1025/ は資金不足。今大会に仮エントリーをしていた玉川学園TSCP http://tscp.tamagawa.ac.jp/ は、年内に行われる予定の燃料電池車によるオーストラリア縦断デモランに専念するため、WSCへの出場を辞退している。 また今大会では、新たにGreenfleetクラスが新設される。このクラスは低公害高効率化技術のデモンストレーションを目的としたクラスで、タイム等スピードを競うクラスではない。第1回大会の1987年からWSCに参加している豪ノーザンテリトリー大でも、このクラスで出走するであろう、新しいコンセプトのEV http://desertrose.ntu.edu.au/を製作しているが、現時点で大会本部発表の公式エントリーリストには掲載されていない。 WSC2003は10月19日(日曜日)、現地時間午前8時に、Darwinをスタートする。(k&s) 関連リンク:WSC大会公式サイト:http://www.wsc.org.au/
追記(2003/10/09): 追記(2003/10/12): 追記(2003/10/15):
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