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二玄社発行のカーグラフィック2003年11月号が10月1日に発売されたのを記念して、ZDPのWEBサイトでも記事をアップすることにしました。限られた誌面で紹介しきれなかった部分にスポットを当てて紹介しましょう。WEM筑波リポートはCG誌の方でお楽しみください。CG-KAIなので、ずばり「CGは買い」です。 CG Project発動 自動車雑誌の老舗であるカーグラフィックが40周年を迎えるにあたり、カーグラフィックチームとしてエコノムーブに参戦し生きた記事を書こうということで、CG号の製作が始まった。製作はGHクラフト社やマキシム社の協力を得て行われた。下の写真はGHクラフト社で行われた製品積層の様子。CG誌のバックナンバー2002年5、6、7、12月号に製作記事と大会出場の記事があるのでそちらも参考に見てね。
こうした、修行を積み重ねることで「勝負運」というものが育まれるような気がします。 余目での模擬練習走行 さて、話は2003WEM筑波の大会の1週間ほど前にさかのぼります。WSRも終わって間もなくの8月7日にCG号は東海大学湘南キャンパスの中で、地元平塚市の子どもたちを対象とした「夏休み科学教室」で、ソーラーカーとともにデモンストレーション走行をしていました。そして、その日のうちに、山形県余目町に移動するというハードスケジュールをこなしました。この町にあるカートソレイユ最上川は、東北一大きいカート用サーキットで、テクニカルなコーナーが続く全長約2kmのコース。このコースでは高校生を対象とした「全国電動カート創作コンテストinあまるめ」が毎年開催され、今回のゲストとしてお呼ばれしていたからです。CG号は走る教材としていろんなところで活躍しているんですね。このコースなら筑波サーキットの練習にも十分なりそうです。ところが大被害を出した台風10号が接近して雨が振ってしまい、その中でCG号はデモ走行を始めることになりました。そして間もなく、雨で中は水浸しになる!!、水滴で前が見えない!!ということを体験しました。やがて、コーナリングに慣れていき、ウェット路面でのドライビングがうまくなってくのが実感できる。しかし、タイムアタックに入ってから第2コーナーを過ぎたところで、モータートルクが突然消える。どうやら雨しぶきがコントローラ内に入って故障してしまったようだ。雨対策の重要性を身をもって体験してしまう羽目におちいる。高校生を前にして恥ずかしい反面教師になってしまった・・・。ついでに関係ない話に脱線しますが、ここ余目町は亀の尾という酒米を開発したことが有名で、地元の鯉川酒造は亀の尾から作った純米吟醸酒「阿部亀治」を作っています。町役場の方に飲ませていただきましたが、生っぽくフルーティーな味わいでコクがあり、大変香りもよくおいしかったでお勧めです。こちらの方はありがたく身をもって体験させていただきました。大学に戻ってからは、翌週の筑波に向けて、上下の雨ガッパ、水滴が消える超親水性コート「ハイドロテクト」などを準備し入念な雨対策を行ったのでした。余目での経験が、筑波に生かされたと思います。重たい体重の方は、鈴鹿、秋田、余目と毎週の遠征で勝手に落ちていき、あまり苦労せずにダイエットでき、こちらも準備OK。
キムヒデ、筑波参戦計画 エコノムーブを実際に運転して、計測データでは得られないフィーリングをつかもうという理由で、参戦計画が練られた。やるからには少しでも上位を目指そう。ということで、木村英樹、内山英和、澁谷秀樹の3人が結託してCG号でエコノムーブを盛り上げようとHIDE3というチームを結成した。内山さんはミツバのSCRプロジェクトメンバーとしてモータには精通しているし、澁谷さんは電気化学屋としてバッテリー鍋奉行として君臨しているので心強い。さらにCG号の設計者であり、ミラクル運を発揮中の池上敦哉師匠にも参謀として入閣してもらうことにした。 CG-KAI号の特徴
昇圧回生ブレーキが使えるようになると、次は電気二重層キャパシタの出番です。今回は、バッテリーと並列になるように日本ケミコンの12.5V-100Fのキャパシタを2直列にして接続しました。モーター電流の平滑化と回生ブレーキによる充電電流の緩和という2つの目的をいっぺんにカバーしてもらうことにしました。回生ブレーキは、雨でスップしやすい第1ヘアピンへへ進入の際に、速度調整を行うためにときどき使用しました。むしろ、速度差が少ない車がコーナー手前に多くいるときや、黄旗が振られているときに、回生ブレーキが役立ちました。また、第1コーナー付近の登りでは、モーター電流が増加するのですが、そのときはバッテリー電流の負担を減らしてくれたと思います。 筑波のピット情報
どどーんと、アップにしてみますが、中の様子がわかりますか? 中で銀色に見える部分は、ネオジウム鉄ボロンの超強力な永久磁石が裏側に貼り付けてあるバックヨークですね。また、よーく見ると樹脂で固められた巻線が間に入っているのがわかります。このコアレスモーターは、オーストラリアのソーラーカーチームAuroraが使用しているモーターと構想(原理)は同じようですね。次は、スーパーエナジーさんのところに行ってみましょう。こちらは、だいぶ直径が大きめのモーターが付いています。ソーラーバイシクル用かな? パワーがありそうなモーターですねぇ。気になるミツバのHyper USO 800は秋田で登場させたアモルファスDDモーターをほぼそのまま持ってきた様子です。
いつも怪しいチームTGMY Ashidaさんのところはどうかな? やっぱり予想通りコテコテですね。浪越エレクトロニクスのモーターコントローラーがなぜか2台も入ってますね。電気二重層キャパシタもいっぱい積んでいるし・・・。倍電圧?などの切り換え動作を行いそうな制御回路も入っているようです。何をやっているか説明してもらいましたが、ドライバーとしてレースに出てたら、忘れてわかんなくなっちゃいました。次回のお会いしたときにまた教えてください。 キムヒデ筑波サーキットを走る ここではキムヒデ的?な内容を中心にまとめましょう。 8月16日の早朝に東日本橋の池上ビルを出発し、筑波サーキットへ向かう。秋田や、大阪にくらべればあっという間の移動時間だ。コンビニで食料を調達してサーキットへ入る。でも、気温が低く、走行中にトイレに行きたくなったら大変なので、ドライバーである私は食事も水分も取らずに我慢することにした。車検を終えて、練習走行中のタイムアタックに挑む。とりあえず、良いポジションをキープするためにピットアウトしましたが、雨の影響で前がよく見えません。それでもなんとか3分15秒のラップをたたき出し、3番グリッドを手に入れました。こんな天候なので、これ以上速く走る車は無いだろうと思いましたが、TGMY Ashidaの内海くんとHyper USO800の齋藤さんにやられてしまいました。予選くらいしかCG-KAIには見せ場が無いのに・・・。ポールポジションだけでも欲しかったところだったのだが・・・。でも気を取り直して、澁谷さんにしっかりと充電してもらった電池で本戦に臨むことにしましょう。スタート時刻が迫り、ピット内で電池を保温ボックスに入れているときに、グリッド上でインタビューが行われていました。カーグラフィック編集局長の阪さんが「レースですからCG号は当然優勝を狙います。」との勝手なコメントが放送で流れる。「そんな訳、いくらなんでも無いでしょう!!」とピットで思わずつぶやいてしまいました。グリッド上でバッテリーやキャパシタをセットし、雨水を拭いたり、なんやらかんやらで、ごたごたしましたが時間内にグリッドに並ぶことができました。いよいよレーススタートです。よく見えないので確認できないけど行っちゃっていいの?という感じで横を見ると、内海君もスタートしていない。数台抜かれたところで、そろそろいいかと遅ればせながら一緒にスタート。こんなことでは先が思いやられる。序盤は東工大が飛ばしていたらしいですね。とりあえず、ミツバさんとスバルさんは先に行っているようだ。黒い車はみんな一緒にしか見えないので、もう何が何だかわかんない。
雨による水滴で前がよく見えないときは「奥義!首振りの術」を用いて、視界を確保する。この奥義は短時間にアイポイントをずらすことで、水滴で見えにくくなった視界をよくする技だ。計測器の世界でいうと、積算処理に似た効果として理解できる。つまり水滴による散乱のためにノイズが出た視界を、見る位置を変えながら測定した(見た)結果を重ね合わせることで、普通では見えないものがだんだんと見えてくると言う理屈だ。しかし、この奥義の効果については池上さんくらいしか同感してもらえなかったのところが寂しかったなぁ。この奥義を極めると、ビデオのモザイク消しにも効くらしいという話です。でもやっぱり、細かいのもが見えにくいことには変わりなく、ピットから手を振ってもらっていることにすら気が付かない。そんなことは、さておき水滴の影響で電圧計の表示がおかしくなり、続いて積算電流計の表示もおかしくなってしまった。残ったのはスピードメータとアナログ電流計。これだけあれば、まだ十分に戦える。平均5A程度になるように走行した。あれっ!?ミツバさんがスローダウンしている。スーパーモスラもフロントウィンドウを開けて走行しているものの、よく見えていないようでペースが遅い。 あっちに比べれば、こっちはこの程度の視界でも天国なんだろうなぁ・・・。
ピットの様子はこんな感じ。雨に濡れないでうらやましい限り。レース中は、バッテリーを使いすぎないかハラハラドキドキでしたが、なんとかゴールまで余裕を持ってたどり着きました。しかし、寒さで唇は紫っぽくなるし、体は震えて風邪をひきそうでした。まさに「雨ニモマケズ風邪ニモマケズ」です。2時間を過ぎたところで、酒呑乃童子の泰ちゃんと微妙な位置関係でチェッカーフラッグを受ける。周回数は36LAPで、天候が悪い中で昨年のCG号の記録である33LAPを見事に更新。キムヒデ運転手、エコノムーブ初出場にして初優勝を達成。自分でも、ちょっとできすぎかなと思います。池上さんも、自分のミラクル運が怖くなっているようでした。レースの後は最近のZDP儀式にのっとり、帰りのファミレスでは優勝記念ビーフステーキをおごらされる羽目になってしまったのでした・・・。(k)
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