|
|||||||||||||
新春特別企画、ZDPメンバーが1年の活動を振り返る『ZDP座談会』。日本がWSC連覇を達成した2011年を振り返ります。ご意見・ご感想・苦情は、こちらからお寄せください。 目次 【WEMGPタイ】 木村:ZDPに記事ある? S:今探しているけど・・・無いね(笑)。開催決定という記事はあるけど、結果が無い。 佐川:タイ・パタヤサーキットの大会っていつでしたっけ? 籾井:震災の直後ぐらい。良くあの時期にやりましたよね 木村:タイだから震災の影響は関係ないんじゃないの? 籾井:とはいっても、日本から参加していたチームもいたわけですからね。 S:日本からはミツバさん1チームだけの参加で、タイから6チーム、合計7台しか走っていない。 木村:ミツバだけ57LAPして、2位は35周。 池上:2位のタイチームは意外と走っていますね。 木村:2位のパッタルン テクニカルカレッジ、3位のタイニチ工科大は、2007年に我々がバンコク大会に出場した頃は中日本自動車大学の旧車を使っていたチームですね。4位のアユタヤ テクニカル コマーシャルカレッジは古河電池の熊谷さんの斡旋で東海大や神奈川工科大に見学にも来ていましたよ。優勝記録は65kmで競技時間は1時間30分かな。WEMGPとして7台しか走っていないのに、24Pはおいしくないですか?2011年WEM GPを振り返ってみると、このタイが無かったらGP戦はどうなっていたのでしょうか。2011年WEM GP戦で、ヨイショットミツバ79P、エンドレス74P、first step AISIN AW 69Pなので、ミツバさんはタイが無かったら、チャンピオンになれないですね。 S:でも、はるばるタイまで出かけて行ったのだから、まあいいんじゃないですか。 籾井:震災直後にがんばって行ったという事に異論は無い。 木村:(株)ミツバ のトップページからリンクされているお知らせにもGP戦優勝が報告されていますよ。年間成績では、タイ以外にもセントラルサーキットでも優勝しているけど、秋田で8位、菅生で13位なのに、GP戦チャンピオンというのは、秋田3位、菅生優勝、セントラルサーキットとNATSで4位のエンドレスに申し訳ないでしょう。 池上:今年2012年の大会は、いよいよ本コースで開催されますね。前回はカートコースで、狭いところくねくね走ったけど、今年は本コースで楽しいんじゃないかという噂。 【WEM秋田】
BackNumber〜2011春2 https://www.zdp.co.jp/2011/2011spring2.html 木村:東北で震災があっての、東北自動車道の通行止めもようやく解除になった頃、開催そのものをどうするかという話がありました。しかし、震災復興とは正常な状態に、いち早く戻す事だということで、自粛の雰囲気にのまれて中止というのはダメで、開催できるのならば復興の為にも開催しよう、ということになった。 池上:籾井時代到来。 籾井:ありがとうございます。でも、今年はたいしたことしていないんですよ。ほぼ持って行っただけ。 木村:あまりそんなこと言うと、皆に嫌われちゃうよ。 籾井:嫌われると思って、あまり言わないようにしていたんだけど、昨年の改良点は、辻岡君がモータコントローラの新型制御部を作って、僕がリフロー半田付けで取り付ける新しいFETでPower部を作って、一緒の箱に入れたぐらい。ところが、練習走行をしているとき、突然異音がして、そのコントローラが100Aぐらい流してしまうんですよ。慌ててメインスイッチを切って止まって大事には至らなかったけど。 木村:すごいなー、FT-4Lで、100Aも流せるんだ。
池上:スターター回せるくらいだから、それくらいいけるんじゃないの? 籾井:キャパシタも並列に入っていますからね。メータで見ましたよ、100Aという表示を。これでPower部が死にました。それで、予選は前年と同じFETとコントローラに戻して無事完走。 木村:それは冒険だなあ、リフロー半田付けが失敗してPower部は壊れたけど、制御部は問題ないと判断したんだから。 籾井:そのときは、そう判断しました。ところが、その後のEne-1の準備をしていたときに、制御によっては、FETを壊すモードがあるということが発覚して、辻岡さん(東海大OB)、これはどうなっているんだと(笑)。 木村:あれ?じゃあ、秋田の本戦ではたまたまそのモードに入らず壊れなかったということ? 籾井:今考えると冒険だったけど、なんとか走れました。
S:2位はアイシン。タキオンとの差は1kmぐらいで良い記録ですね。エンドレスは83kmで3位。ここが少し開きすぎている? 池上:エンドレスは意外と空力が良いんですかね。リボンGo!の投影は小さくなさそうだけど、トレッドが狭いから床下が小さくて、地面と干渉する範囲が少ないからなのかな。 池田:その可能性はある。 木村:エコノムーブは底面と地面の関係は今後の課題ですね。どのあたりが良いのか、まだよくわからない。 池田:CFDソフトのFLUENTの人に『床をちゃんと計算したい。』と聞いたら、うーんと、うなっていたよ。出せないわけではないけど、相当計算しないとダメらしい。 S:去年新車はBIZONが出走していましたが、6位。 池上:BIZONの田村君に聞いた範囲では、軽量化を狙いすぎて剛性が無いといっていた。 池田:だって、フロント何にも無いんだから、そりゃ無理も無いだろう。 籾井:前輪から後輪にかけても床板以外にシャーシとなる板が無いから、確かに剛性無さそうだけど、それだけであんなに悪くなるのかな? 木村:それは池上さんのマジカルでんちくんことキットカーも、剛性なくて記録が伸びなかったことが証明しているから。 池上:いや、あれは剛性が無いといっても、トップチームに比べればという事だから。そんじょそこらの車よりはあります。 木村:池上さん去年記録はいくつでしたっけ? 池上:行っていませんよ。初欠席です。その頃私は自分を犠牲にして、東海大のソーラーカーを設計していたんですから。覚えていないなんてひどいですね。 木村:うわ、自爆ボタンを押してしまった。 籾井:とはいうものの、池上さん的には、良い口実ができたんでしょ(笑)。 池田:BIZONの新車は、タキオンと違って、フロントの部分の前も平らのままで閉じていないいでしょう。上の構造物も弱いから、タイヤがキャンバーやトーの方向に動いてしまうんじゃないかな。 池上:以前、栃木富士産業のテストコースでミツバさんとスーパーエナジー、BIZONで車体を持ち寄って、同じモータを乗せ換えて比較テストをした事があった。そのときBIZONの旧車が一番転がりが良くて、どうもモノコックの剛性が効いているんじゃないかという結論になって、田村君はよくわかっていたはずなんだけど。俺様モードに入ってしまったのかな。 木村:軽さを追求するあまり、それを忘れてしまったのかな。 池田:田村君の場合、整備性を追求するところがあるから。そこは接着しちゃっていいじゃん、というところも、わざわざバラせるようにしちゃうんだよ。策士策に溺れているんです。
木村:秋田と言えば、昨年は間に合わなかったトシヤンは、今年は間に合うかな。 籾井:blogでは、2年越しの新車もいよいよローアーのモノコックが焼き上がったみたいですよ。本格的なプリプレグですからね。 http://blog.livedoor.jp/toshiyan2/ 池上:作業場も広そうだし、うらやましいな。 池田:今年に期待ですが、山形は寒いから樹脂作業は大変なんですよ。 佐川:東海大はどうしちゃったんですか? 木村:燃料電池部門でまたまた燃料の水素を使いすぎてしまって、記録上は7000mもバックされてしまいました。 佐川:燃料電池はレギュレーションが難しいから。 木村:一応台湾製の燃料電池は新調しまして、前年と同じ型番なのに、届いてみたら、形が違っていて、少し大きくなっていたんですよ。
池田:あのメーカーは、燃料電池そのもののメーカーでは無く、入れ物のメーカーなんでしょ。燃料電池本体は上海のメーカーのものだから。 佐川:行く前までは、勝気満々でしたよね。『今年はいけるんだよ』と。 木村:燃料電池の性能は向上しているので、行けると思っていたんだけど、実際走らせてみたらおかしい。100Wに迫る恐ろしい程のパワーを投入しているはずなのに、ラップタイムが上がらないんですよ。 池上:車の性能が悪くなっているとか? 木村:それも考えにくいんだけど、90Wぐらいは余裕で発電しているのに、ラップタイムが上がらないんですよ。 佐川:それはドライバーの伊藤樹君が・・・ 木村:今年は東海大OBの菊田君にお願いして、折り返しの練習もやってだいぶ良くなって、去年は行けるかと思ったんだけど、ダメでしたね。もう限界ですね。 S:どっちの?車体?人? 木村:両方かな(笑)。次は、ファラデーマジック3ですね。 佐川:今年のレースに出るのならば、そろそろ動いていないと間に合わないのでは・・・
籾井:(ファラデーマジック3の設計・製作が修論の)東海大院生の徳田君は何しているんですか? 池上:3は本当は一昨年の秋にできている事になっていたんじゃないの? 木村:そうだよ(笑)。徳田君は、ヤマハ発動機に内定しているんですが、卒業させちゃってよいのかなー。 池上:ダメなんじゃないですか? 籾井:せめて、設計が完了次第卒業という事にしないと。 佐川:ファラデーマジック2が卒論の菊田君も、そうでしたね。 木村:動いてなんぼの工学ですが、菊田君は製作途中に見切り卒業で、卒業後の春の秋田で、ファラデーマジック2を完成させましたね。 S:そんなやりとりを、震災の直後サウジアラビアに出かけていた木村さんと、Facebook経由で連絡とっていましたね。 木村:菊田君の実家は気仙沼の大島で、建物は津波に流されたけど、ご両親は無事でなによりです。 佐川:結局、大潟村のコースとかは地震の影響は無かったんですよね? S:そうだね、ソーラースポーツラインは地震の影響に関わらず、路面がうねっているけどね。 【ソーラーカー秋田と鈴鹿】 BackNumber〜2011鈴鹿http://www.zdp.co.jp/2011/2011suzuka1.html S:去年は秋田のソーラーバイシクルと鈴鹿が同一日程でしたね。 木村:池上さんは行っていないんですか?意地でも行くとか言っていたような。 池上:鈴鹿にいたじゃないですか。その翌週は、Tokai Challenger(2011)を作っていましたよ。 木村:だけどEne-1 GPに、スポンサーのPanasonicが来るというから、じゃあ、車体製作は学生に任せて、そっちは私が行かなくちゃと・・・・ 池上:あ−、一生懸命言い訳している。 S:秋田のソーラーカーでは、玉川大が優勝ということになっていますね。 木村:その件で、大学に質問がきまして、『玉川大はソーラーカー日本一と言っていますが、東海大は日本一ではないのでしょうか?』。 池上:ボクシングの世界チャンピオンが、日本チャンピオンじゃないような感じですかね? 木村:「ソーラーカー研究日本一の玉川大」のような内容で、小田急線の中吊り広告あたりに、見出しがあったそうなんですが。 佐川:東海大も小田急線沿いですね、中刷り広告出したら良いのに。 S:今年の鈴鹿決勝(ドリーム/チャレンジクラス)は従来の8時間2ヒートが、5時間1ヒートになってエネルギーマネージメント的には不確定要素が減った代わりに、タイヤ戦略が面白かったですね。最後は芦屋が久々の優勝。 池上:最後は盛り上がりましたね。先に芦屋がスローダウンしたと思ったら、実はOSUの方がエネルギー的に苦しくて翌周のS字が登れなくて勝負あり。芦屋大チームの野村君的にはしてやったりと。昔の藤田先生の体制ならばこういう負け方はしなかっただろうな。 S:芦屋大が使用していたバッテリーは、サイクル寿命は犠牲にしても、とにかく容量重視の製品のようですね。 木村:結局のところ、電池は酸化還元反応で電気を充電/放電しているわけだから、同じ重量でより容量が大きいと言うことは、体積の膨張収縮がより大きいと言うことなんです。 S:チャレンジクラスは、MAX SPEEDが3連覇ですね。 池上:・・・以上(笑) S:エンジョイクラスでは、今大会唯一の初出場となった えこっくる江東 がクラス5位。480Wクラス総合で10位でしたね。 池上:車体製作は手伝いましたが、本番はノータッチでしたよ。 S:私一応江東区民ですが、区の広報誌に江東区の2011年10大ニュースとして、ソーラーカーが取り上げられていました。今年以降も参戦を続けて、目標は2013年WSC出場になっているようです。エンジョイクラスで優勝した平塚工科高校は、パンクしても2位オリンパスに1LAPの余裕。 木村:平塚工科は、バッテリー的にはまだまだ余裕がありそうですよ。エネルギー使い切っていないと言っていましたから。 【Ene-1】 BackNumber〜2011Ene-1http://www.zdp.co.jp/2011/2011ene1.html S:キャパシタ万歳。 木村:キャパシタ使っちゃダメだよと、言っていたのに、大会側が・・・ 池上:こうなると、予言していたのに。 木村:キャパシタ伝道師の私が、あえて使わないほうが良いですよと言っていたのに。 S:でも、一般的な表舞台にキャパシタの存在はそれほど出ていないですよね。 木村:そうだけど・・・わかるでしょ、エンジニア的には。 池上:スポンサーの某社の人も、技術のわかる人はイヤがっていて、広報はイイネーという感じ。 木村:だからキャパシタ無しのクラスKV-2クラスが良かったね。紀北工業高校生産技術部の藪下先生はしてやったり。体重制限が無いから、ドライバーの女の子の体重が軽いのもよかったかな。 池上:体重は効くね。この間まじめに計算してみたけど、ドライバーの体重で10kg軽いとかなると、車体だけではどうにもならない。KV-3の車両重量35kgっていうのも、よくわからないな。 籾井:Ene-1は参加するべく準備をしていました。100km/hで走ると言うから、旧型モスラに菅生用の強力モータを載せて、前方の視界を確保するために、前輪を14インチ化したり、かなりの大改造をしていたんだけど、結局、間に合わなかった。 木村:がんばりすぎだよ、20インチのままでも良かったのに。 籾井:事前の試走会の情報で、視界が悪いとか聞いていたから。ビビりすぎていたのかな。 池上:菅生よりは楽だと思うよ、鈴鹿はスピード乗せてくコーナーが多いから。 木村:でもビビるくらいで良いと思う。だいたい、あの小さなエコランカーで100km/hなんて、出してはいけません! 池上:(BIZONで鈴鹿を走ったドライバーの)小堀義昭君を、スゴイかもと思った。 S:ラップで5分だから、ソーラーカーとほとんど変わらないタイムですよ。モニターでみていても、結構早かった。 木村:レギュレーションは、次回見直されるんじゃないかな。 池田:そういえば、Ene-1は特殊電装の西村さんが何かごにょごにょしているみたい。こちらは、乞うご期待! 【WEMGP菅生/セントラルサーキット/NATS】 木村:あれ? 菅生も誰も行っていない。 S:すいません、また記事にもしていない。 木村:優勝はエンドレスのリボン号、2位に仙台工業高校 佐藤先生、3位は宇都宮工業高校。 籾井:アイシンさんも出ていませんでしたか? 木村:アイシンはたぶんトラブルじゃないかな?2周の記録。ミツバが6周で13位。 池上:雨でしたよ、たしか。 木村:セントラルサーキットは、ヨイショットミツバ優勝おめでとう。 池上:おめでとう〜。 木村:NATS優勝は、first step AISIN AW? 池上:おめでとう〜。 籾井:反省しなければいけないのは、僕もそうでしたけど、結局秋田しか出ていないんです。国内の大会にもっと参加しなければ。 S:だれも行っていなくても、せめて結果だけでも載せておかないと、結果が風化してしまってダメですね。すいません、今年はがんばります。参加された方は、結果だけでもZDPに教えていただければ幸いです。 BackNumber〜2011WSC1 http://www.zdp.co.jp/2011/2011wsc.html 木村:今から1年ぐらい前の話、レギュレーションが変わった件もあり、太陽電池が決まっていなかった。お金が集まるかも微妙な状況だったけど、シリコン系太陽電池で高効率なPanasonicのHITならば勝負ができそうなので、当たって砕けろということで、2月ぐらいにお願いをしに行ってみたんですよ。これで断られたら2011年は出なくても良いか、というくらいでした。ちなみに後でわかった事ですが、2003年に私が応用物理学会の編集委員時代に、今回ご協力いただいた、三洋電機の津毛さんに、HIT太陽電池について原稿依頼をしていました。 http://www.jsap.or.jp/ap/2003/ob7207/cont7207.html WSC2011参加チームへのHIT太陽電池の供給については、オランダ勢からも三洋に打診があったようですが、結局オランダ側がスペックの差からサンパワーを選択して、断られたと聞いています。 佐川:スペックは、いつもながらの日本人の控えめスペックで、海外メーカーに見劣りしたからですかね? 木村:いや、日本の表記は普通で、よそが良すぎるんですよ(笑)。 池田:日本以外の国では、嘘はついていないけど誇張をしていないところは一つも無い、というのが普通だからね。 木村:それはもともと、サンパワー勢は変換効率22.6%で、当時HITは21.6%だったから、1%の差はあったんですけど、皆がサンパワー使ってセルについての技術的競争が無く、ワンメイクになってしまうのもどうかと思って、日本チームならば、やはり日本のHITを持って行くしかないと、思っていました。 S:HITは昔、Jonasunも使っていましたね。あの頃の印象として、確かに曇りに強かったというのは残っています。 木村:こうしてセルが決まった後も、モジューリングして車体に搭載した状態で、勝たなければいけないということで、帯に短したすきに長しと、太陽電池モジュール設計のパズルが始まるんですよ。 池上:さんざんパズルやりましたね。池上案はこれだ!とか、皆で案を出しながら。最終的には、学生の竹内案になりましたね。 木村:最終的にはメインは30mm幅に。これは偶然なんだけど、Nuna6と同じサイズになったんだよね。 池上:だってー、そりゃ難しくて説明が面倒だもの。
木村:それは困るよ、半導体屋としては。上の図もだいぶパワーアップしてまして、最新のバージョンは電極も書き入れてみました。こうして、セルはHITに決まったんだけど、お金が無いんですよ。その頃、東レさんがスポンサーとなって、これでカーボンと樹脂の提供をいただけることになりました。 池上:東レさんとつながりのある童夢カーボンマジックさんも破格でボディー製作をしてくれることに。これでだいぶ楽になりました。 木村:楽だったの? 池上:いや、今回はデータをすべて3DCADで渡さないといけなくなったから、それはそれで大変だったかな。 木村:空力も少しは進歩させようとして、池上さん的には試行錯誤をやってみたものの、どんなにやっても、前の形を超えられない(笑)。 池上:簡単に言うと、薄くしてみても無理している割には大して良くならなくて、総合的に考えた場合犠牲の方が大きいというか。 S:最終的には、幅と高さを50mmずつ。 木村:それはHITによるセルの面積縮小が大きいかな。 S:結局2011年の車体製作は、車体の主な設計を池上さんがやって、ボディーのシャーシ製作は童夢。それを学生達が車体としてくみ上げる、という分担だったんですね。 籾井:Nuonは製作過程のビデオが公開されていて、製作過程は全部自分たちのガレージで作っているのはわかったけど、設計をどこまで自前でやっているのかは不明ですね。池上さん的な人物がいて設計をやっているのか、どうなのか。
木村:少なくとも、金集めの部分では、あの元宇宙飛行士の彼(http://en.wikipedia.org/wiki/Wubbo_Ockels)がスゴイ。集金力が高いと思う。 池上:じゃあ、木村さんも宇宙飛行士になって、ヨットに乗って何かを語らないと。 S:日本で言ったら毛利さんみたいな人ですよね。 籾井:設計の部分まですべて学生でやっているのならば、本当にスゴイと思いますね。 池上:Nuonは、ミシガンよりもきっちり設計していますね。中の設計は3Dでやっていますよ。 木村:3Dで設計しているところは、3DのCGムービーが出せるんですよ。Nuon, Twente,UMICOREあたり。 S:じゃあ東海大も出したら? 木村:そこがねぇ(笑)。学生達には出して良いと言っているんだけど。 籾井:3DCGつくるのならば、もっと車をがんばれと言いたいけど、盛り上がり的には必要かな。 木村:主力の車体を製作するチームと、OB主体の広報等の後方支援のチームとしっかり分かれていれば、ムービーもできるんですよ。我々で言えば、東海大OBの辻岡君あたりがムービーを作ってくれれば良いんだ。
池上:車体の製作は、比較的淡々と進んだかな。超短期間でしたが。7月後半頃に童夢から納品されてきたパーツを、学生とほぼ夏休みでくみ上げた。 木村:辛かったのは、今年エアコンが作業場所に設置されたんだけど、電源管理の為、スイッチを入れることができなかったことかな。震災の影響といえば、日本ケミコンの福島工場がやられてしまったことで、アルミ電解コンデンサーが入手不可ということがありました。 池上:そういえばTokai Challenger(2009)が、なかなか帰ってきませんでしたね。たとえばキャノピーサイズを小さくするのにも、実機で確認すればすぐ済むところを、それが無いから、ベニヤでモックアップ作ったり、大変でしたよ。本当はゴールデンウィーク前に日本に帰ってくるはずでしたよね? 木村:2月にサウジアラビアで開催されるジャナドリア祭に展示されるために旅立ったのは良いけど、国王が腰痛でアメリカに行ってしまった為に、ジャナドリア祭が3月に延期で1ヶ月遅れ。さらに、日本から帰ってくる途中、他の出品物に通関上問題があって、巻き沿いで足止め。結局、無理を言ってソーラーカーだけシンガポール経由で空輸で戻してもらったけど、日本へ戻ってきたのが7月になってしまった。 池上:トラッカーは、その空輸で帰ってきたTokai Challenger(2009)から移植したんだけど・・・ 佐川:8月後半の秋田試走で、○○君が逆接して壊しちゃって、慌てて小山高専の鹿野先生や河西さんに直してもらったり。 木村:それ以外車体は比較的順調で、軽くなったけど、安定度が増した。 籾井:空力って良くなったんですか? 池上:ボディーは、両側25mmずつ狭まって、リアのスパッツはかわらないけど、フロントのスパッツはそれぞれ22mmぐらい細くなった。キャノピーも小さくなって、全体では5%ぐらい良くなったかな。 木村:こうして、Tokai Challenger(2011)は生まれましたが、またもやぎりぎりの為、空輸でオーストラリアへいざ。
■予選 木村:予選では、まさかのモーターコントローラストップ。それまで普通に動いているのに、さて、これからタイムアタックするぞ!というときに、コントローラが止まってしまうんですよ。 池上:しかも、ピットレーンの出口でコースインするぞ!という時に、止まる。 佐川:あれは焦りました。一回戻してチェックしても、テストすると動く。悪いところがわからない。 木村:それで、電気に愛される愛されないというか言う話が出てくるんですよ。佐川君が操作すると動くけど、他の人が使うと佐川君が作ったコントローラが落ちるというのが、南アフリカでもあった。 池上:WEMでもファラデーマジック2ではモーターコントローラは正常に動作するのに、同じものを マジカルでんちくんに載せると動かないとかあったし。 木村:なので篠塚さんが電気に愛されていないからだとか、旧コントローラに戻すとか、ならばこのまま佐川君で予選も走ってしまおうか等、いろいろありましたが、結果はまさかの・・・ S:ブレーキを踏みながらアクセルを開いて、ブレーキを放してスタートするというラリードライバーとしての習性が、ミツバのモータコントローラ的には、ロック状態だと判断して、出力が止まってしまう。 佐川:それ、一応、事前に何度も言っていたんですけどね。 池上:篠塚さんとしては、アクセル踏んでいるつもりは無く、足を乗っけている程度のつもりだったんだろうけど。元はといえば、私が作ったアクセルのゴムが弱かったのが悪かった。実際レース中、足アクセルなんて予選ぐらいでしか使わないから、まあいいやと思って、そのままにしていたのが、失敗だった。 籾井:リミッターがかかると言うことは、結構な電流が流れないとかからないんじゃないの? 佐川:いや、最初の誤操作チェックのときは、そうでもない。 池上:速度ゼロで少し流れているだけでも、数秒たつと落ちる仕様になっている。 木村:その安全機能が、仇となってしまいました。仇じゃないか、無いと困るから。 池上:走り出した後は、コーナーリングで篠塚さんがんばってくれましたね。モーターのセッティングは2009年に比べて遅くなっているのに、ラップタイムは2009年とほぼ一緒。
木村:予選トップの Twenteは、右フロントをコースにこすりつけながら、トップタイム出していましたね。 籾井:なんであれが速いんですか? 木村:ねえ。オーロラといい、なぜかフロント一輪が、ヒドゥンバレーサーキットでは、速い。 佐川:芦屋さんも予選は狙っていたみたいですけど、いまいちでしたね。野村さん曰く、芦屋大ドライバーの三瀬さんがビビっていたからだと。 木村:それは自分が作った場合、怖くて攻められないんですよ。ミシッとかいうと、これ以上攻めちゃいけないと、設計者はそう思うんですよ。 池上:野村君が走れば良かったんだ。 木村:逆に、ここで壊したら元も子もないと、慎重になるんですよ。 池上:まぁぶっつけ本番だしね。 S:よく言うよ(笑)、芦屋大は東海大より先に秋田で試走していたのに、人のこと言えないじゃないか。 池上:失礼しました。うちは2年前より走っていなかったか。それを十分テストした気になってました。 佐川:ミシガン大なんか、モックレース(模擬レース)をやってもまだ時間が十分にあったから、車体をもう一台作ってしまったくらいですから。 S:サーキットのピット前で甲羅干ししているのに、ピットの後ろにさらにもう一台置いてあって、びっくりした。 池上:ホームページ見ていてシャーシが2台あるのはわかったけど、アッパーまで二つあるとは思わなかったなあ。 S:それでは、そろそろレース当日の話にしますか。
■1日目 木村:スタート当日は事前の天気予報ではサンダーストームとなっていて心配はしていたんだけど、現地の人に聞いたら、地元の気象台はいつもああいう予報をするけど、雷雨になんてなったことが無いと言っていた。 S:気になってレース前からこまめに現地のレーダーを見ていたけど、かなり広い範囲のほんのごく一部で、しかも朝晩のごく限られた時間でも降ると、全体では雨という予報になってしまうらしい。結果、スタートは良い天気でしたね。レース中もその後4日目までは、スチュアートハイウェイを高気圧が覆うから問題無いけど、5日目は前線がサウスオーストラリアに迫りそうだからどうなるかな、という感じでしたね。 木村:スタートして、 Twenteはダーウィン空港手前で止まっていたのでパス。ニューサウスウエルズは、信号待ちで抜いたかな。 池上:なんだこいつら?って感じでしたね。 佐川:起伏が激しいところだったからかな。でも勘弁してくれよと思っていました。 木村:しばらく我慢しようかと思っていたけど、我慢しきれなくなって、オーバーテイクレーンのあるところで、佐川に君に追い抜きの指示をかけました。 佐川:だってその頃、ミシガンとNuonの2台はほぼテールトゥーノーズ状態だったし、先生との事前のブリーフィングでも、サポートカートソーラーカーはセットで1台と見なすと言っていたから。で、抜いてから、違うよと言われても・・・。 木村:そんなに無理しなくても(笑)。まあ、抜けちゃったから、いいんだけどね。 S:そのままの差でキャサリンまでなだれ込んできましたね。ミシガンとはほぼ同着、Nuonは1分差。
池上:奴らついてきたんだよな。 木村:でも、相手が行くのならば、ついて行くしかないだろう。 池上:まあねぇ(笑)。 S:キャサリンまでの間では、まだ性能差は、はっきりとわからなかったかな。 木村:わからなかったけど、抜いた後速度落とすのは、ちょっとおかしいかなと思いつつ、こっちが先行すると付いてくるから、まだわかりませんでしたね。 池上:ただ登りでスピード下げてしまうところとか、走らせ方はちょっと素人っぽいかなと思った。 木村:横風が強いからふらついてスピード出せないのかなとか、ミシガン大は、早くも下向き観音開きのパカパカスパッツが、横風を巻き込んで走りながら開き始めたから、そのせいかと思ったり。 佐川:キャサリンまでの間、3位を走行していたのは1時間ぐらいでしたかね。 S:2台を抜いてトップに立ったものの、結局1日目は最後まで縦列状態でしからね。 木村:最後のオーバータイムを使ってミシガン大は、東海大とNuonの前400mに出た。この日は東海大はNuonと同じ場所でキャンプとなりましたが、Nuonのキャンプサイトは同じテントが整然ときれいに並んでいて、うちとは違うなあと思いました。 S:そしてトレーラの上に、大きな発電機とシャワー付きのプレハブ小屋があって、その中でPC並べて動画編集やっていたり、うらやましい。 木村:Nuonは巨大なスピーカーを積んだ街宣車がいて、うちの起床時間を聞かれて、日の出の前30分だと答えたので、朝に大音量でやられるのかと思ったら、鳴らさなかったね。 佐川:いやNuonの街宣車は、400m先のミシガン大の方に行っていて、ミシガン大の街宣車と威嚇しあっていたらしいですよ。 S:右翼の街宣車のようですね。1日目レース終了後、東海大は充電台が準備できなくてイライラしているときに、あの街宣車で大音量で音楽流されて、誰かあいつを止めろ!と、怒っていましたね。 佐川:パナソニックの津毛さんだったかな。 木村:あれは第一線級のチームにあるもので、うちに無いものですね。東海大チームも、次回はそろえた方が良いですかね。 佐川:初日は給油事件もありましたね。 S:出発前の給油を菊田君あたりがしくじって、各車満タンになっていなくて、ジェリ缶やコントロールストップでは無いガソリンスタンドで途中給油をする羽目になった。最初は燃費の問題かと思ったけど、給油の問題だったとは。 池上:指令車が給油するために、伴走車にオブザーバーを移して、ソーラーカーの後ろを走行してもらったりしたっけ。
■2日目
木村:8時に走り出して付いてくるかと思ったら、少し距離を開け始めるんですよ。とはいえ、コントロールストップで会うから、30分までは離していないですね。 S:テナントクリークでNuonと10分差。ミシガンとはさらに3分差。その後、その先のWauchopeでブッシュファイヤにより道路閉鎖で、レース中断。 池上:2日目になってようやく、差が広がりはじめて、ようやくこれから引き離しにかかれると思ってきたところだったのに。振り出しに戻るだよ。 S:Nuonは事前にコースクローズの情報と展開を事前に仕入れていて、テナントクリークでの10分差を4分差に縮めてきたんですよね。 佐川:結局バッテリーが十分な東海大は充電がすぐ終わってしまって、翌朝の充電は微調整ぐらい。なのに、Nuonもミシガンも、日没や翌朝もパネルを立てて全開で充電。 池上:あのとき止められた時点でビール飲んじゃえば良かったな。 木村:おいおい! 一応、1時間ぐらいでレース再開になるかもしれないとも言われていたんだから。 S:WSCのレギュレーションで、レース中のビールは禁止じゃなかったですか? 池上:昔は書いてあったね。最近は書いていないんじゃないかな。 S:わざわざ明文化してありましたね。 池上:書いてあるということは、オーストラリア的に、日中ビールを飲むのは普通なんですよ。 木村:でも、Nuonとミシガンは、ストップ後の2日目、走る気無かったですよ。午後になって道路閉鎖解除の後も、このまま走ったら危険だと大会本部に抗議していた。まあ、それはごもっともなんですけど。 S:東海大は充電止めて電気捨てている訳だし、バッテリーが少なかったら、今日は充電して明日再スタートを切る方が有利ですね。 木村:うち的には、『え?突破できないの?』という感じでしたけど。バロークリークを過ぎて、デビルズマーブルのあたりまではいけたと思うんだけど。でも、Nuonもミシガンもバッテリーが無いから、山火事で燃えている区間に止まってしまうという事だったのかな。 池上:大会的にも、先頭の3チームだけ先に行かせるという訳にも、いかなかったんじゃないのかな。 木村:とにかく、このレース中断で位置的には同じでもエネルギー的には勝っていた状況が、帳消しになってしまった。 池上:日本でインターネットでレースを追いかけていた会社の人は、予選5位で初日二日も前回大会のように引き離せていなかったのを見て、東海大は調子が悪いと思われていたらしい。 木村:そんなぁ・・・ぶっちぎりがいいの? 池上:たしかに! S:僕はいつも通り過ぎるだけの宇宙人の町:ウィクリフ・ウェルに初めていけたから、まあ、それだけでも良かったかな。
■3日目 木村:再スタートしたら、煙たくて火は燃えているし、竜巻はあるし。 佐川:目は痛いし。 S:でも東海大が走った時刻は、まだましだったんじゃないの?
木村:デビルズマーブル近辺まで行ったら、だいぶ調子が良くなりました。消費が少なくなってスピードが出るんですよ。どうしたのかと思ったら、標高が上がって空気密度が下がることで、空気抵抗も減っていたようです。 佐川:先生は、そう自分に言い聞かせていましたよね。 木村:だって、そうじゃないと、また計器が狂っているということで、心配になるから。そしてアリススプリングスのコントロールストップに到着。 S:アリススプリングスでは、2位Nuonとの差は24分まで広がりました。
木村:アリススプリングスの後、今度は風が強すぎてサンドストームが来るんですよ。午前中は煙で黒かった空が、午後は砂嵐で白い空に変わりました。
■4日目 木村:4日目のクーバーピディでも、追いつかれること無くリードを保っていました。この頃から天候が下り坂になり始めて、曇るかと思ったけど、意外ともちましたね。 S:グレンダンボでは、結構雲出ていましたね。 木村:でも発電は結構していたのと、追い風のおかげでスピードはキープできたかな。 S:その後グレンダンボ出発後、4日目の最後に、最終的には70km/hまでペースを落としてしまいます。
木村:それは、充電と宿泊に適したキャンプ地が先には無いということで、予定の場所に到着するための時間調整で、速度を落としました。 S:それを後続のNuonは、東海大はバッテリー切れではないかと推測して、色めきだつんですよ。 池上:喜ばせちゃったんだ。 木村:最終的には25km差までつめて、明日は晴れると、レース後わざわざプレッシャーをかけに、Nuonは東海大のキャンプ地まで言いに来ましたよ。
■5日目 木村:前日の晩と5日目の朝充電できないのは織り込み済みでしたが、走り始めたら意外と天気が良かったんですよね。なので、100km/h超のペースで逃げるしかない。 S:とはいうものの、その時点でNuonは85km/hぐらいだったので、追いつかれる程ではなかったですが。 木村:前日Nuonはバッテリーをほとんど空っぽまで使っていたようで、天気にかける背水の陣で臨んでいたんでしょうね。スタート時は24km差で実質15分差ぐらいだったのが、ポートオーガスタでは、24分差でしたね。 佐川:バッテリーの電圧がどんどん下がっていくので、不安になって、大丈夫ですか?と、何度もこのペースで良いのか先生に聞きましたよ。ほとんど法定速度上限いっぱいでしたから。 木村:計時点の前に、立体交差があって、あの坂道で後続チームはずいぶんと止まってしまっていたらしいね。東海大は、天気に影響されず全開で走行し続けゴール。終わってみれば、2位Nuonとは1時間以上の差で、日本チームとしては'93-96ホンダ以来の2連覇。
佐川:これ言っても良いのかな。正直、最初の2009年優勝した時の方が、うれしかったかな。木村先生も、2009年の方がビデオとか見ていても、うれしそうでしたよね。 籾井:優勝して当然という雰囲気もあったんじゃないですか? 木村:そこまではないけど、1回目は優勝目指して挑戦した結果、表彰台に登れればいいやという感じでしたが、2回目は優勝を狙って優勝できるかという挑戦だったから。 S:前回よりも、直接対決でしたからね。 木村:前回はスタートまで全くマークされなかったのが、今回はスタート前からマークされていたというのがうれしかったかな。 佐川:前回は、『東海大?しらねーよ』、という感じでしたからね。 池上:前回、我々を知っていたのは、Aurora代表のデイビッドと大会主催者のクリスさんぐらいでしたからね。 木村:あとプリンキピア大チームOBでNASA勤務のイケメンソーラーカーオタクのシッドも。オブザーバー達は知っている人は多かったかな。 池上:それは大昔の早稲田やBE-PAL時代から知っている人が多いからね。 【WSC他チームをいじる】 ■MIT 木村:あの赤いウレタンのタイヤ、見た? 籾井:ソリッド? 池上:台車並のタイヤだよ。実際に転がしてみれば、小学生でもわかるのに。 籾井:大丈夫かMIT? 木村:逆に言えば、ミシュランタイヤが手に入らなかったからかもしれない。 池田:これ、ハイウェイ走って良いの? 籾井:でもこれ、作るの大変ですよ。うーん。 木村:車体形状がマンタ型では無くなって改心したから、実車を見るまでは警戒していたんだけど。池上:あんな順位だけどゴール地点では喜んでいましたよ。ホント喜べるのかな。 籾井:このタイヤで走れること自体は、結構スゴイかも。 木村:MITは出場チーム中唯一のNGMで、3WSも付いていましたよ。
■スタンフォード 佐川:ここもパネルの発電がスゴイという前評判でしたが、サスペンションアームのおにぎりが・・・ 池上:薄いけど、空気抵抗は良くなさそうだな。 木村:サンパワー社長のスワンソン博士が、スタンフォード大教授だったんですよ。
■ミシガン 佐川:ミシガン大の教授は、東海大の事をチート(ズル)だと言っていました。 池上:とかいっても、ミシガン大だって、どこかの企業に協力してもらってやっているのにね。 木村:そうだよ、超恵まれた環境でソーラーカーを作っているのはどこのどいつだよ、と言いたい。だいたい、あのトレーラーやTカーまで作れる予算のあるチームにチートだと言われても、困るよね。佐川君も、言い返さないとダメだよ。
池上:あんな余裕、うちには無い。 木村:ここのWSCレース中チームに同行するOBや父兄?の応援団だって凄い。総勢100名ぐらいいるんじゃないか?
■芦屋 木村:国内的は パナソニック vs 東芝 の太陽電池バトルでもあったので、動向は注目していました。 東芝 - http://www.toshiba.co.jp/sis/h-solar/wsc/index_j.htm 池上:4位は考えられる順位で最高の順位だったんじゃないかな。(と、上から目線の池上) 木村:少なくともCFDをやらずにTwenteやスタンフォード、MITに勝っているのは凄い。 籾井:うちのお母ちゃんも同じ事言っていた。 池上:それは作り方からしょうがないんですよ。NCで削らず、板を曲げてつくるとああなるんですよ。 木村:でも、もう少しシャープなスタイルにしてもよかった。正直、チーム沖縄と見た目の印象があまり変わらないんだけど。 池上:あ〜、言っちゃった。
■Twente 池上:Twenteはなぜ予選だけでなく、本戦も早かったのだろう。 木村:CD値が小さかったんですよ。あとは、ミシュランタイヤの転がり抵抗。 池上:低速戦だったからじゃないの?と、野村君に言ったら、1,2日目はそれなりに飛ばしていたらしい。 木村:93ドリームみたいに、厚翼でも、CD値が良かったんじゃないかな。あとは、エネルギーマネージメントが巧みだったのかも。前回の車両は空力悪そうだったから、鍛えられた電気班がいて、エネマネをがんばったとか。
■UNSW/オーロラ 木村:ニューサウスウェルズは、ギネス記録もとって、てっきりホンダの93ドリームが積んだグリーンセル(PERLセル)とか積んでくるかと思った。2011年のレギュレーションが発表されたとき、オーストラリア勢は、グリーンセルで勝負してくると思っていたんだけど。 池上:ニューサウスウェルズは、前回と何も変わっていないんじゃないの? S:多少パーツは新しく作り直しているみたいですが、基本一緒でしたね。 木村:太陽電池のレギュレーション変更でオーロラにチャンスがあるかと思ったけど、デイビッド亡き後で戦力ダウンなのかも。
■チーム沖縄 池上:チーム沖縄は、よく走れたと思いますよ。正直、車体が出来上がらないと思っていました。 木村:でも政治力はありますよ。噂では野村商会を使わずに、芦屋より良いSunpowerを手に入れているらしい。そしてミシュランタイヤも確保。 池上:あれは番組の編集の都合だからですよ。でも、全部合わせても10名ぐらいかな。 木村:神奈川工科大の先生や懐かしのキレンジャクの南出さんも参加していますよね。 池上:沖縄の報告書送られてきました?カラーのパンフレットできれいなやつ。 木村:うちも毎年作っていますよ。池上さんのところには、送られてこないと思うけど。 池上:え?知らない〜。
■ユミコア 木村:まずは、反射式太陽電池ですかね。発表したときはシリコンでしたが、おそらくスポンサーの都合が大きかったのではないかと。なぜならユミコアは化合物太陽電池の材料を作っている会社ですから。東海大も、反射式を考えたんですけど、どうやってもダメ。まあまあ走れて、理論上85km/hぐらいはいけたかもしれない。でも、曇天になると焦点ができないから、曇天にはめっぽう弱い。 S:ならば、今回の後半の天候は最悪ですね。 木村:結局重くなりますよね。さらに、透明なカバーで覆わないと空気抵抗が増えてしまうんだけど、覆ったとたん中は温室になる。さらに朝夕の斜めに入射がある場合問題があって、ユミコアの使っている反射板だと、昼間は良いけど、朝夕は反射板からの日射がかけてしまって、効率が悪い。 池上:作っているものは凄いんだけど、勝負はどうでも良いのかと思いました。 S:ドライバーが凄かった? 池上:そう、ジャッキーイクスの娘。 池田:現役のレーサーで、ルマンやドイツツーリングカー選手権を走っていますよ。 木村:良いチャレンジではあったけど、リチウムイオン電池を燃やすのはダメですね。 S:レース終了後もバッテリー交換して自走して、結果に抗議をだしたり。 木村:いつまでも暫定がとれないから、発表を躊躇した大手メディアもありましたよ。 池上:それはfacebookでプロフェッサー木村からちゃんと抗議しないと。『困る!』と。 木村:あのバッテリーは、ミシガン大から借りたとか言う話も聞きましたよ。 池上:え?貸し借りってアリなんですか? 佐川:ミシガンは車も2台あるから、バッテリーぐらい予備も貸せるんじゃないですか? 池上:とにかく、困ります。 木村:ユミコアの電池がPanasonic製でなくて良かった。Panasonicにはユミコアに電池は出しちゃいけませんと、忠告しておかないと。 池上:相変わらずサスアームは無垢でした。2009年のダメダメ設計のまま。問題の本質がわかっていない。 木村:インターネットで公開されていたドキュメンタリー番組では、リタイヤしてトレーラーで運ばれちゃったけど、気を取り直してもう一度、戻ってスタートしたみたいな感じでしたよ。『俺たちはもう一度走らなければいけない』とか言う感じで。
池上:無茶苦茶だなあ。 木村:これで2大会連続、ほぼリタイヤですね。 池上:2007年大会での2位は幻ですよ、あれは奇跡。直近の2回が現実ですよ。ステアリングが壊れても、シャコ万で押さえて走ったりしてるんだ。レベルは高校生以下ですよ。 木村:でも明らかに、空力は考えています。母体はフォン・カルマン流体力学研究所ですよ。 池上:そんな名前にだまされちゃダメだ!(笑) カルマンさんはすばらしかったかもしれないけど、それが伝わっていないんですよ。 木村:いや、そうはいっても、カルマン流体力学研究所ですから・・・ 池上:ほら、それしか言えない。車体形状も今回は結構普通じゃないですか。前回は、まだがんばっていたのに、今回は普通の形状でしょう。 木村:でも、悪くはないでしょう。 池上:まあね。次回チーム沖縄は、この車体をまねして作ったら良いかなという感じ。 木村:またそんな事言って・・・、俺様なんだからもう・・・。 【その他の話題】 ■ZDP SHOPカタログ 池田:本格的なものを2000部作成します。これをZDP SHOPで実費配布にします。 佐川:このためだけにも講習会に行ってしまうかも。 S:将来は、サイクルショップTAKIZAWAのように送られてくるようにならないんですか?
■ファラデーマジック3 木村:ファラデーマジック3は、一応図面みたいなものはありますよ。一応外皮も内部も設計上はあります。 籾井:いけそう? 木村:戦えるレベルだと思います。かなり外観は、タキオンに似てますから(笑)。徳田君には、もう少しタキオンに似てない方がいいな〜、とは言ったんだけど。 池田:伸ばしたらしょうがないじゃん。 木村:一応今はタキオンより3mmぐらい短いんだけど(笑)。今、徳田さんが卒業をかけて作っていますから。ちなみに、電気電子システム工学の卒業なので、電気が通っていないのは少し危ないんですよ。 池上:電気のネタがない修論? 木村:うちの学科専攻として、どうやってまとめるんだ? 池上:それは木村先生が悩むんですか? 木村:そこは本人も解っているはず。最初に言っていましたよ、ここは電気電子工学専攻だから、電気を流さないといけないんだぞ、と。 池上:じゃあLEDを、乾電池で1個つけておけばいいんじゃないですか? 籾井:図面ができたとして、ファラデーマジック3を作れる人は、東海大にいるんですか? 佐川:東海大の先輩としては、辛いですね。 池上:教えれば大丈夫ですよ。逆に言えば、教えないと無理ですね。 木村:自らもっと学んで成長して欲しいところです。教えられるより、自分で考えた方が学習効果が高いし、面白いでしょ。
■OSU 木村:OSUは2013年のWSCを目指すらしいですよ。須藤君が、東海大のソーラーカー見せてくださいと電話がきましたから。ソーラーカーは当分日本にいないと言っておきましたが。 S:とりあえず今は、1月10日から開催される 2012 INTERNATIONAL CES で、ラスベガスでしたっけ。
■漫画・小説 木村:漫画:『曇天・プリズム・ソーラーカー』は元々短期連載だったので、無事終了して2巻刊行されましたね。 S:続編でオーストラリアへ行ったり、映画化したりしないんですかね。小説:ライジング・サンは読みましたか? 木村:私は全部読みましたよ。モデルは東北○○大学っぽい雰囲気ですね。 池上:気になったのは、鈴鹿で優勝すると教授になれて、オーストラリアで優勝したら学長に昇進? S:ならば木村さんは、もう学長になれますよ。 佐川:どこで読めるんですか? S:雑誌ではなく、Webで見られますよ。 WEB文蔵 http://www.php.co.jp/bunzo/
■CM S:前回シャープがCMを放映したように、PanasonicではCMを流したりしないんですか? 木村:ノーコメント! 池上:ノーコメントということは、何かやるんですか? 木村:ノーコメント!! 佐川:もうすぐ見られるんですか? 木村:ノーコメント!!! 追記(2012/01/07): 今年も、よろしくお願い致します。(ZDP一同) |
|||||||||||||||||||||||||||||||
|