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おまたせしました。新春特別企画、ZDPメンバーが1年の活動を振り返る『ZDP座談会』が、2年ぶりに復活。今これをいわずに、いついうのかという旬のネタから、裏話まで、さらにパワーアップしてお届けしましょう。 ご意見・苦情は、こちらからお寄せください。なお、いただきましたご意見は、本サイトで記事に使わせていただく場合があります。 目次
木村:やっと喋れるぞ!去年の正月は、編集のSが副業で忙しくて時間がとれず、その後も、籾井君の新車製作で時間がとれずと流れましたが、今年は復活だね。 S:去年は仕事でひどい目にあったけど、今年は正月を休めて幸せだよ。 池上:皆さん、お待たせしました。大会の会場に行っても、『今年は、なぜ座談会をやらなかったんだ?』と、会う人会う人に、いわれたね。 木村:別に毎年やっているワケでは、ないんですけどね。 S:さて、それではまず、ワールド・エコノムーブの初戦、タイからいきましょうか。
BackNumber〜2008春1 http://www.zdp.co.jp/2008/2008spring1.html 木村:みんな、コースアウトとかスピンを勝手にしてくれて、東海大的には、普通に走っていたら、普通に優勝しちゃったという大会でした。 池上:たしかにそうだね。でんちくんも予選の時、ギヤ比のセッティング間違って、遅い状態で走ったんだけど、気がついたら2位。 S:予選はいいとして、池上さん、本戦どうしたんですか? 池上:モータコントローラが壊れた。スタート3分前までグリッドに並んでいたんだけど、どうにもならないから、そこで撤収。 S:予備はなかったの? 池上:モータとコントローラのセットでは予備を持っていたんだけど、気がついたのがグリッドイン直前だったので、それに載せ替える時間もなかった。 S:わざわざタイまでいったのに。 木村:その頃は、まだ東海大学製のモータコントローラが安定していない時期だった。自分たちのファラデーマジック2のモータコントローラでさえ、いつ動かなくなるかわからないような状態だったけど、なぜか僕と石井君がセットで取り扱うと、うまく起動する。 S:バック・トゥ・ザ・フューチャーのビフの車のようですね。 木村:それで決勝では、1台しか動かなかった。動けば優秀なモータコントローラなんだけどね。 S:で、2位BIZON、3位ミツバ。 池上:それでも決勝は、比較的安定したレースだったかな。予選は、他車とからんだりしてスピンやコースアウトが多かった。最後残り5分で、うちもスピンしてコースアウト。前の車をインからかわそうとして、インをしめられちゃった。 木村:それで縁石に乗り、亀の子になってグリップを失って、スピン。 池上:これで終わりかと思ったら、そこにオフィシャルで参加していたIちゃんが颯爽と登場。 木村:ドライバーとバッテリ込みだから、車重は80kgぐらいあったかな。 池上:あとで本人にも聞いてみたけど、『あれ?持ち上がっちゃった!』と、本人も驚いていたらしい。 S:マーシャルとして、すばらしい活躍ですね。
木村:普段から男性にも負けない力仕事をこなしていたから、という事にしておこう。 池上:タイはサバイバルレースだった。 木村:今年はやたらコースアウトが多かったな。四角形に走るコースなんだけど、速度がまあまあ出ちゃうから、アウトにふくらむ。そうすると意外にラインが細い。だから、比較的遅い車と同じペースで走っているとつらい。それと関係なく、一瞬で抜き去れれば良いんだけど。 池上:あと、食べ物がおいしかったね。 木村:そう、カニカレーがうまかった。小泉元首相や皇族も行ったシーフードのお店「ソンブーン」が良かった。今回も、滞在中2回もいった。 S:いいなぁー。来年の大会は、3月25,26日で確定らしいけど、年度末でしかも平日。 木村:タイのモータショーに合わせて、この日程にしたらしい。うちは、前日が卒業式で学会もかぶっちゃうんだけど、なんとか調整して行きますよ。 池上:水木か・・・、せめて週末どちらかに寄せてもらえれば。社会人にはつらいなぁ。ミツバさんは仕事でいけるのかな? 『その日程では出られない』と、案が出たときに大会本部側には言っていたんだけど。 木村:学校だって卒業式と重なりますよ。強い日本チームが参加できないと、大会は盛り上がらないんじゃないのかね。 【秋田】 BackNumber〜2008春2(WEM) http://www.zdp.co.jp/2008/2008spring2.html
籾井:まずは、新車が間に合わなかった事について、必死に私を手伝ってくださった皆様〜GHの田村さん、池田さん、若松君、東海大の皆様、辻君〜に、この場をかりて、お礼とお詫びを申し上げたい。 池上:そう、大会前に、若松君から涙声で電話がかかってきた。 木村:うちも、佐川君が人を集めていた。 籾井:携帯で大勢に声を掛けてくれて、ある日なんて、『四谷にお花見にいかない?』って、東海大のメンバーをさそっているんだよね。 木村:車名はタキオン。光より速い想像上の粒子。 S:でも、まだ現実の世界でも観測されていない。そこに、かけていたの? 籾井:いや、車名は画数で選んだ。 池上:銀座の母にでも、聞きに行ったのか? 籾井:ネットでちょこっと調べた程度ですよ。あと言葉の意味で、速そうで、科学っぽいかんじで。あんまり遅そうだとイヤじゃないですか 木村:『こだま』とかだと、ちょっと遅そうだよね。 籾井:木村さんの提唱する『かっこわるい車名はダメ』もクリアできる。 S:で、大会では、記録はついに90km越えですか。ファラデーマジック2とは、つばさ54号との一騎打ち。 木村:すごかったね。つばさはラップタイムがめちゃくちゃで、ファステストが7'33とか。昔は8分を切るという事も異常だったのに、もはや平均で8分を切らないといけない時代に。 池上:こぇー、もうドライバーできないな。 木村:行くしかないという感じでいったけど、なんとかなっちゃったという感じだね。でも、一番すごいと思うのは、ミシュランの20インチバイアスタイヤで89kmを超えた事かな。アイシンは、今年、気になる存在ですね。 S:あの車も今年で3年目ですね。デビュー戦はタイヤ周りのクリアランス不足でパンク。2年目はきちんと走ったけど、作戦的に失敗。さて今年は? 籾井:つばさ54号の、タイヤとカバーのクリアランスは、すごいですよね。3mmぐらいしかない。 池上:走行中に擦っているんじゃないかと思うくらい。でんちくんは今回もモータコントローラの異常。予選は走れず、本戦は記憶にないくらい。過去の自己記録にもおよばなかったんじゃなかな。 S:いまや秋田で、トップ10に入るには80kmを超えなければいけない。 池田:そのトップ10の中で、豊橋JCは特電アモルファスのノーマルで回生機能もキャパシタも何にも付いてない、としやんさんもミツバモータのノーマルのまま。 木村:すごいね、やっぱり車体が成長しているのかな。 籾井:アイシンも、としやんも、製作1年目は走っていない。だからうちも、去年はデビューできずに、今年デビューとなっても、まあいいかと、思っている。 木村:でも、アイシンは見学の後は、パンクだよ。やばいじゃないか。 池上:ちょっとキットカーは、手を抜きすぎたかな。
木村:あれ、剛性無さ過ぎない? 池上:剛性は、無いですよ(笑) 木村:誰かさんから、製作講習会で『ボディー剛性は非常に重要です』とか、聞いた事があるんですけど? 池上:あれは、自分で設計した車で、過去最悪のハンドリングの車です。 木村:東海大のソーラーカー:スピリットに匹敵するくらい、ぐにゃぐにゃだね。まっすぐ走らないんだよ。 池上:まっすぐは走りますよ。でもコーナリングがカチっとしない。ねじれるし、重い。ベニヤ号より重いんだよ、あれで。元々誰にでも作れるように、そういうつもりで作ったんだけど、ついつい欲が。でも、海んちゅは、秋田で40キロ後半の速度で走っていても、剛性不足は気にならないといっていた。ドライバーによっては、気にならないのかも。 池田:キットカーは、まだ良い方で、もっとグニャグニャな車はいくらでもあるよ。ちょっとスティフナーをいれてあげれば、かなりよくなると思うけど。 木村:池上さん、あんまりもたもたしていると、燃料電池積んだベニヤに抜かされますよ。 池上:14インチのベニヤ復活させようかな。 木村:いや、もう素直にカーボンでやりなさいよ。(笑) 池上:真剣に作ったって、皆『なに池上さん中途半端に本気出して』とかいわれるのが落ちだから。新しいネタを出すのは大変なんですから。 木村:うちだって、そろそろ僕が限界を感じています。だから、秋田朝日放送のテレビでは、これで監督を引退ですとかいっちゃったんだけど、今年どの面下げて会場にいこうかと。でもスバルの内田さんも隠居の身だけど、ああして大会に出てきているから、大丈夫か。 籾井:内田さんが隠居なんて、誰も思っていないから。監督引退したといっているわりに、率先して工具もっているし、レース中も、普通にラップタイムも計っているし。 池上:秋田といえば、大同メタルの燃料電池撤退。大同メタルからは正式に発表になっていないんだよな。 S:燃料電池のレースは、WEM GPでは豊橋も影響を受けますね。 木村:燃料電池は、去年、一気に記録を15kmのばして、77kmまでいったのに、今年が最後になってしまうのは残念。最後だから、有終の美の80kmを目指しますよ。 籾井:秋田といえば、僕にも負けないカーボンマニアの子がいましたよね。内側もピカピカに作っていた。 池田:法政大学機械研究会のi藤君だね。 木村:ハンドルなんか、コックピットの天井についていた。 池上:ありえない設計だ。どうしてだろう。 池田:どうしてもやりたかったんじゃないの?その後は、後輪操舵に改造中らしい。 木村:なんていうか、記録よりも、作りとかメカに走っていますね。 籾井:僕には、その気持ち、すごくよくわかりますよ。 池田:そういえば、エコデンにもマシニングセンタでアルミを削り倒してきた、すごい高校生がいたよ。 【豊橋・菅生・山梨】 BackNumber〜2008夏1 http://www.zdp.co.jp/2008/2008summer1.html 池上:豊橋は、予選が雨だった。で、結局予選は無かった事になった。でんちくんは豊橋でも、決勝でモータコントローラが壊れた。 木村:予選が無かった事で、実力上位勢が前半と後半のレースに分かれてしまい、レースのコンディションが勝敗に影響。負けは負けだけど、後半の方が、風がつらかったなぁ。
木村:一番の事件は、古河電池の熊谷さん逃亡事件でしょう。 池上:熊谷さんが本当に来ないとは思わなかった。 木村:せめて、巨人の星の明子お姉さんぐらいののりで、遠くから見てもらえるかと思ったら、本当に来なかったよね。 池上:タイのチームが来ていたね。この次の大会の山梨と2週連続で参加できる、ハッピーウィーク?とかいって。 木村:なにがハッピーなんだかよくわからないけど、仙台第二工業高と仙台電波高専の車を借りて、走っていましたね。 籾井:レースはすごい雨。うちは、おそるおそる1周走らせて、危ないからやめた。 木村:池上さんが車検長、僕が副競技委員長だったけど、大変だった。 池上:レースの仕切りを、全部まかされちゃったからね。 S:優勝はミツバ。溝がしっかりある子供用自転車のタイヤをレインタイヤとして履いて、ベテランドライバーの斉藤さんで優勝。 池上:当日の朝、タイヤを買いに行ったんだっけ。 木村:僕はコントロールタワー3Fでモニターを見ていたんだけど、レースやめた方がいいんじゃないかと思うくらい、すんごい数のスピンがあって。 池上:僕はピットの前にいて、走り回っていたら、木村さんからレース中止にしないか?って電話もらったけど、もう止めようがないからねぇ・・・ 木村:だってあまりのスピンに、救いに行くオフィシャルが足りないんだもの。でも、まあ、さすがサーキットだったので、コース幅も広いからなんとかなって、大きな事故も無く、レースを終える事ができたからよかったけど、自分がドライバーで走りたいとは思えないな、あの状況では。 池上:個人的には、すごく疲れた。 ■山梨 木村:あー、これもつらかったなぁ。連覇をねらったんだけど、コントローラが破損。原因不明だけど、おそらく、回生ブレーキの過電流。 池上:アイシンはパンク。ここもパンク多いんだよね。折り返し地点で、けっこうみんながんばるのと、折り返し中にも、大きな段差があるんだよね。 S:優勝は、またもやミツバ。 池上:ミツバの蛭間君は、ここでデビューtoウィン。おいしいですよね。 【Eco Car Festa・千葉NATS】 BackNumber〜2008秋1 http://www.zdp.co.jp/2008/2008autumn1.html S:Eco Car Festaは、誰も行っていない? 池上:遊びに行きたかったんだけど、その後すぐ、南アフリカだったから行けなかった。 S:WEMGP最終戦千葉で、ミツバはグランプリ戦でファラデーマジック2を逆転。 木村:見てないのでわからない。その頃は南アフリカだったから。とりあえず、私が居ない東海大勝率は、かなり低いです。というか、私が居なくて、東海大が優勝した事は一回も無い。 池上:それが自慢? 木村:いや、自慢じゃないけど、私が居ないと勝てないから、日本に残っていた東海大のメンバーには『くずが集まってもしょうがない』と焚きつけて、かなり燃えていたようだけど、また順位をさらに落とすという失態を犯してしまった。 池田:じゃあ、秋田に監督で復活するいいわけがついたじゃない。 木村:ああ、そうか!自分でいうのも何だけど、運は、すごいですよ。全盛期の池上敦哉を上回る勢いかも。 籾井:本当に運ですか? 木村さん、会場にいたら、携帯で指示を出しているでしょう? 池上:キックーは、NATSではレース中ずっと、にやにやしていたな。スタート直後から、これじゃダメだと思ったんじゃないかな。 池田:キックーにも東海大のメンバーにも、プレッシャーを与える人がいないと、ダメなんじゃないの? 籾井:キックーといえば、今日の座談会も声をかけてみたけど、なんとなくパスみたいな感じだった。去年は忘年会にも来ていないね。 木村:何か怪しいなぁー。 池田:お姉ちゃんでもできたのか? S:この中で結婚しているのは、僕だけですよ。 池上:ヤバイ、記録更新中。 池田:そう、ヤバイ人の輪の中に入りたくないんじゃないの。 【秋田WSR/JISFC】 BackNumber〜2008秋1 http://www.zdp.co.jp/2008/2008summer1.html 木村:台数も少ないし、つまらなかったな。芦屋が圧倒的に勝っちゃう。 池上:色素増感太陽電池があったじゃないですか。 木村:これ、言っちゃっていいのかな? あれ、たぶんほとんど発電していませんよ。 池上:太陽誘電は、すごいスピードで走っていましたよ。人間が歩くくらいのスピードで。 木村:太陽誘電は、あらかじめ発電量が少ない事がわかっていたから、彼らが選んだ戦略は、エコノムーブと一緒ですよ。だから、天気が悪くても、ペースが変わらなかった。 池上:オフィシャルカーで見に行っても、走っているんだか、止まっているんだかわからないくらい。あのスピードでの走行は、ドライバーには、罰ゲームに近いですよ。 木村:まあ、1日4周ペースの、走る展示会のようなものですから。日経エレクトロニクスの記事にもなっていましたしね。 池上:あの太陽電池って、液に浸かっているんですか? 木村:色素増感太陽電池にはヨウ素液入っていて、色素としてルテニウム錯体が入っていて、あの色にみえる。 S:『悪天候でも発電が落ちない』と注釈がありますが? 木村:ああ、それは、感度域の考え方が、アモルファス太陽電池と同じ、という感じですよ。 【鈴鹿】 BackNumber〜2008鈴鹿-車検 http://www.zdp.co.jp/2008/2008suzuka1.html
池上:オリンピア、大活躍・・・ 一同:『・・・・』(その後、大爆笑) 木村:言いたい事はいっぱいあるけど、電池を全取っ替えしたチームが、2位になったんだよ。 池上:それって、どこでしたっけ? S:2011年は、全部あのレギュレーションになるんですよ。 池上:ソーラーカーのレースは、無くなるんじゃないか。 木村:たぶん、無くなりますね。電気自動車レースにしたいみたい。 S:エンジョイも? 木村:エンジョイはちょっと別だけど、チャレンジやドリームは、もう無くしたいんじゃないかな。 籾井:大会のスポンサーは、ホンダがどれくらいの割合で出しているんですか? 木村:殆ど全部じゃないかな。ホンダとしては、今の大会はマンネリ化していてつまらないから、このままじゃダメだと、読売側にいっているらしい。 池上:そういう、浅はかな意図がレギュレーションから感じられるところが、イヤなんですよ。みんな、それに腹を立てている。 籾井:原付というのは、エンジンではなくモータ駆動の、コミュータのような乗り物? 木村:そう電動の原付クラスの4輪のソーラーカーというか、電気自動車だね。でもソーラーカーだと太陽電池代が高くなるから、きっと電気自動車でも良いと、考えているんだろうな。 S:じゃあ、あまり太陽電池パネルは必要ないんだ? 木村:だけど、エコノムーブをやらせるワケではなく、かといって、昔のかっとび電気自動車でもなく・・・ 池上:要は、コミュータのようなものを作らせると、テレビで見たお茶の間の人が喜ぶかなーっていう、短絡的な思いが、このレギュレーションからは、ひしひしと感じられる。 籾井:それ、レースじゃ無いですよね? 木村:ソーラーカーレースの初期にあった、形は変だけどおもしろいよね?というのを増やしたいんじゃないかな? 池上:でも、そうはならないと思う。 木村:レギュレーションを作った人たちは、それがわからないんでしょう。 池上:WSCのチャレンジクラスもそうだけど、シートの角度を言い出しているでしょう? 木村:ソーラーカーレースには、暗雲立ちこめていますね。 S:そして、2年後に終わりか。 池上:コミュータ作らせたいのはレギュレーションからわかるんだけど、そんなもの誰が作るか?という感じだね。 S:百歩譲ってコミュータのレースになったとして、そんな仮装大会のようなものの、何が面白いんだろうか? 木村:レーシングサーキットには、レーシングカーを持ってきたいよね。そこの点が、まず、ずれている。 S:オリンピア導入の理由に、『普通の車(乗用車)に近い形』というくだりがあるけど、 木村:そうなんだよ、じゃあF1のどこが乗用車に近いんだよ?FIA、ちょっと説明しろよ!、といいたい。自己矛盾だよ。 池上:サーキットでレースやっているんだから、サーキットで走る車と考えればいいのに。 S:エンジョイクラスはどうなるんでしょうね? 夏頃のアナウンスでは、昨年中に何らかの発表があるはず、だったけど。 木村:想像ですが、オリンピアに移行可能な480Wですよ。かわいそうだから、FIAのシートや、ヘッドライトを乗せなくて良い、という程度になるんじゃないかと。 池上:安全性を考えたら、何で4mなのか? 籾井:車幅の制限も、従来よりトレッドだって狭くなる。その中でシートを立てたら、重心が高くなって、より危ない車体ができあがってしまうのに。 S:オーストラリアの大会:WSCも、このオリンピアクラスに移行するんですかね? 池上:オーストラリアは、次回の2009年大会までは、WSCのチャレンジクラスのままで行われる。オリンピアクラスで出走しても、いいんだけどね。 S:だとすると、サーキットレースの鈴鹿はオリンピア、公道レースのWSCはチャレンジと、レギュレーションは統一どころか、分断されてしまうのか。 籾井:レギュレーションの件では、芦屋大ドライバーの野村さんが、誰かに直談判しようとしていると聞いたんだけど。 池上:JAFは話を聞いてくれないから、FIAに直談判しようという件ね。オリンピアクラスに関しての意見を直接FIAに送ったらしい。三文楽士さんと協力して、大会参加者の意見を取りまとめてたね。 三文楽士の休日 The Place in the Sun http://solar.inkm.net/ ちなみに、JAFに対して書面として意見書が来たのは、今のところ、2通だけらしい。 籾井:みんなは、なんて要望を出そうとしているんですか? 池上:いろいろあるけど、要は、こんなつまらないもの、誰も作らないよという事。 S:東海大は、新車を考えていますよね?どのレギュレーションで作るつもりですか?やっぱり、オリンピアですか? 木村:鈴鹿で走ろうとすると、選択肢としてはそうなるんだけど、レギュレーションがザルなので、ころころ変わりそうな雰囲気がある。たとえば、トレッドの規定が今はない。ならば、フロントは車幅目一杯とって、リアはダブルタイヤに限りなく近い状態にすると、今のレギュレーション上は問題無いはず。F1やNunaなどがやっているような、足を持ち上げる乗車姿勢も、いまのところ規定がない。でも、JAFの部会関係者は説明会で、『このレギュレーションの精神に、常識的に考えて反するものは、将来的には排除されるだろう。どうか重箱の隅をつつくようなことは謹んでもらいたい。』とか、答えられちゃうんだよな。 S:精神論ですか・・・ 籾井:そんなレギュレーション、無いだろう。 木村:困る。速い車を作ろうと、レギュレーション隙間をつつくというのが普通の常識なので、そういうところが、さらに作りにくさを生んでいる。 池上:オートバイでもあるけど、自動車にもそういう規定はあるね。歩行者保護のため外部突起規制っていうのが。 木村:それはわかるんだけど、どのパーツまで規定するかが曖昧なんだよね。たとえば、ウイングがついている車があったとして、そのウイングの後端を30Rで作れ、なんていわれないでしょう? 籾井:乗用車でいうと、バンパーエリアがそれに該当して、車体上面からみて縁の20mm以内は、5.5R以上とらないといけない。それに比べると、人をはねる事を想定していないレーシングカーとして、30Rはずいぶん大きいですね。 木村:ボディーのエンドとか、困ります。 池上:安全のマージンとしては大きい方が良いけど、根拠がよくわからないね。 S:とにかく、このレギュレーションはいろいろ問題があるようだから、これからもソーラーカーレースを楽しみたいという人は、意見したり行動をした方が良さそうですね。 池上:OSUは、トリプルジャンクションを積んできたけど、第1ヒートでホイールとアップライトをダメにしてしまって、自滅。 籾井:何でだめにしちゃったんですか? 木村:いろいろな説はあるけど、カートのようなドライビングで、足回りに予想以上の荷重が加わってしまい・・・。 池上:入り口で向きを変えておいて、後で帳尻を合わせるようなレーシングカート的なドライビングは、ソーラーカーには向かなかった。ソーラーカーは、だらーっとコーナーリングをするのが基本だから。それに、OSUが使っていた古い設計のカーボンホイールは、最近のに比べて、比較的強度が低かったみたい。 木村:もっとも、昔、GHが図面公表していたハブが、そもそも強そうじゃなかったから。 池上:ああ、あれは大山(早稲田大学OBで池上の後輩。元GHクラフト勤務)の設計だから。そりゃ壊れないけど、剛性足りないよって、当時から言っていた。 籾井:Son of Sunとかも、あれで走っていたじゃないですか。 池田:そりゃオーストラリアの直線コースだったからでしょう。 籾井:でもWSC以外のレースでも、走っていたじゃないですか。 池上:それは、昔だから。現代の鈴鹿におけるタイヤのグリップとコーナーリングスピードには、耐えられないんだよ。 木村:トリプルジャンクションをOSUが積んできたのは、芦屋としては想定外だったらしいね。 池上:OSUの藤田先生はずいぶん前から、トリプルジャンクションを買うと言っていたんだけどね。 木村:芦屋大としては、トリプルジャンクションを欲しいというチームは世界的に結構いるから、OSUにはものが回らないだろうと思っていたのが、間に合ってしまった。 池上:そうですか?OSUは、本来は2007年には間に合わせるようにトリプルジャンクションの手配を進めていたけど、例のオキシライドで1年伸びたと聞いているけど。 S:ああ、あれか、フォーミラカーのような車。 池田:フォーミラ・スズキの車体を流用した奴だね。 S:来年、オリンピアクラスのソーラーカーは、増えるんですかね? 木村:ていうか、増えるしか無いでしょう? 池上:増えるかな? 木村:だって、レギュレーション上、ドリーム/チャレンジクラスの新車は作れないんだから。 【南アフリカ】 BackNumber〜2008南アフリカ http://www.zdp.co.jp/2008/2008sasc.html 池上:木村さんの気持ちを代弁すると、『本当は行くつもりではなかったんだけど、別件で篠塚建次郎氏に講演の依頼をすることになって・・・』 木村:そうなんだよ、東海大学での講演をお願いする事があって、5月末頃篠塚建次郎さんに会った。そのとき、 S:じゃあ東海大が、南アフリカに行ったのは、篠塚さんに、背中を押してもらえた、というわけだ。 木村:まあ、大きな決断の一つにはなったね。背中を、どんと、力強く押された感じ。 池上:ネットで検索すると、半分はネタで書いているんだろうけど、『リアル北斗の拳』だとか書いてある。10歩、歩くと襲われて、身ぐるみはがされるとか。(笑) 木村:大学に南ア常駐経験のある元商社マンがいて、聞いてみたらまあ大丈夫だよというから、いろいろ危ないけど、何とか対策をとって行くか、という事になったんだ。 池上:幸い夏休み明けに職場を移ったのよ。で、行けるじゃん、てね。 木村:でも、行ってみた感じ、よかったね。かなり楽しかった。 池上:久々の海外ソーラーカーレースは、楽しかった。 S:現地ではレポートの通り、殆どレースにはならなかったんですか? 木村:うーん、まぁ、そうだね。 池上:抜きつ抜かれつのレースだったよ。ただし相手は、トレーラー。東海大が走っていると、トレーラーに乗ったソーラーカーが追い抜いて行く。 木村:ただ走るだけでも大変だったんだから。コースクローズドで、本当に道が無い事もあった。 S:何ですかそれ? 木村:ハイジャックって、カージャック、乗っ取りの事だよ。幹線道路にそんな場所があって、看板が立っているんだ。 池上:やっぱ、リアル北斗の拳だな。 S:危ない目には遭わなかったの? 木村:幸い大丈夫だったね。良くも悪くも、パトカーに付け狙われていたから。レースを知らない地元の警察に、止められたりして。 池上:2日目だっけ?警察に囲まれて車を止められた事があったよね。そのとき現地の人も、携帯で写真を撮っていたりしたから、みんなが貧困というわけでも無いようだった。 木村:ちなみにマニュアルでは、現地で住民にソーラーカーを囲まれたら、ソーラーカーを放棄して逃げろ、という事になっていたんだけど、あの時は、警察官もいるから、大丈夫だと判断した。 池上:でも翌日、その止められた場所の近所のガソリンスタンドに寄ったら、商品とカウンターが、すべて鉄格子で囲まれていた。その鉄格子越しに、お金を渡して、商品を受け取らないといけないから、それなりにヤバイところだったんだと思う。マクドナルドすら、鉄格子が標準装備だった。 木村:ヨハネスブルグで止まったホテルも、3万ボルトの高圧線に囲まれていたしね。 池上:あの国で、有刺鉄線と高圧、ガードマンは基本みたい。 木村:南アは、セキュリティサービスが世界で一番進化している国なんですよ。 S:まあ、需要がそれだけ多ければねぇ・・・ 木村:食べ物は、あんまり感動するほどおいしく無かったかな。ロンドンとかと同じ感じ。 池上:物価は日本と同じぐらいだったかな。途中急激な円高で、みるみるレートが下がっていったけど。 S:とにかく、無事でよかったですね。 木村:今年なんだけど、今度は篠塚さんが、WSCにも出場したいともいっているから、国内は捨てて、WSC用の車を作ろうと考えている。 S:あれ?WSCから、いつのまにかPanasonicの冠がとれていますね。 池田:三洋電機を買収するのに、手一杯なんじゃない? 【その他の話題】 S:ヤマハは大丈夫なんですか? 池上:ヤマハはまだそれほど大きな影響はうけていないけど、来年から残業規制が入るとらしいから、これからじわじわ来るんじゃないかな。 木村:ホンダはF1撤退だしね。富士重工もWRC撤退。レース業界は、エネルギー環境の逆風と、自動車産業不況と戦わないといけない。 池上:トヨタもF1はやめないけど、他のレースは見直すようだね。モータースポーツには、厳しい時代になった。 S:部品メーカーは、どうなんでしょう? 池上:ミツバさんとかは、大変なんじゃないかな?北米に工場もあるし。 池田:特電は、一部の工場を金曜休みで、週休3日にすることも考えているらしい。 木村:でも、就職戦線的には、そんな事はないらしい。去年の前半までは、けっこう人材バブル状態だったから、来年は、部品メーカーにすると、特に設計をするような人材は、自動車大手が採用を控えた今、比較的積極的に採るようにして、募集人員も特に減らさないようにして行くらしい。 宴会の後、籾井家1Fの作業場にて。
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