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Bridgestone World Solar Challenge 2015、8日目最終日。アデレード市街中心部のパレード走行と、表彰式が行われた。表彰式では、クルーザークラスの総合結果が発表されたが、クルーザークラスで、最も早く3022kmを完走した工学院大学ソーラーカープロジェクト/owlは、実用性でのポイントが伸び悩み、総合優勝を逃した。工学院大学ソーラーカープロジェクト/owlは、クルーザークラスの中でも、配点の高いスピード競技での走行性能を重視して開発された車両で、スピード競技で他車に差をつけ、実用性等他のポイント不足を補う戦略でいた。しかし、チームスタッフによると、競技走行時一部の区間でオブザーバより、横風によるふらつきがありスタビリティ不足を指摘され、70km/h以下での走行か、トレーラによる搬送を迫られたのこと。トレーラによる搬送を行った場合完走ができなくなる為、工学院大学ソーラーカープロジェクトは、やむを得ず70km/hでの走行選択。その結果、3022kmをクラストップでゴールしたものの、ライバルに対して十分なポイント差が確保できず、プレゼンテーション等による実用点の判定で逆転されてしまった。 走行中のowlの横風によるスタビリティ不足を、筆者は実際に目撃してはいないが、例えばチャレンジャークラスのミシガン大も比較的車高が高く、レース中に横風にあおられ、対向車線にはみ出すようなふらつきを何度もみせていた。なぜ工学院大学に、オブザーバーからそのような指示があったのか、理解に苦しむ。スピードが大部分のポイントを占める本競技で、最終的に誰の判断でそのような指示が出たのか不明確で、非常に後味の悪い結果となった。(s) 2015 Bridgestone World Solar Challenge
Final results(Challenger Class - Top 10)
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Bridgestone World Solar Challenge 2015、6日目。昨日に続いて、3022kmのゴール:アデレード市街のビクトリアスクエアには、続々と各チームが到着をしている。 昨日は幸運な天候とエネルギーマネージメントで、見事に逆転3位入賞となった東海大学ソーラーカーチーム/Tokai Challangerだが、本来は2大会ぶりの優勝奪回を目指して大会に臨んだものの、結局、優勝したNuon Solar Team/nuna8に、約1時間の差をつけられてしまった。その原因を考察してみたい。 まず最初に上げられるのが、ペナルティだ。ブレインスポーツの競技の敗因として、これを最初に上げるのはなんともやりきれない思いだが、東海大学は、合計25分のペナルティを受け、レース中盤で優勝争いから脱落してしまった。他チームの違反を指摘してペナルティを科してライバルより有利にするという戦略は、北米で開催されている、アメリカン・ソーラー・チャレンジで以前から行われていたようだ。 なぜ、そのような事が行われていたのか? 北米の大会では、競技は公道上での区間毎のスピード競技で行われる。しかし実際は、一日の走行距離が短く、公道で速度制限がある中で、充電時間や車体性能の向上により使用できるエネルギーが多くなった事から、車体の性能差が出にくい状況になってしまっている。その際にライバルと差をつけるのが、ペナルティによる減算だ。この風潮はここ最近、北米大会以外でも南米大会や今年開催されたアブダビ大会でもその傾向がみられ、実際アブダビ大会で、ミシガン大はその手法で優勝している。そのような戦い方に慣れているアメリカ勢が、今回ライバルチームに対してその戦略をとり、東海大学だけでなく、ベルギーのPunch Powertrainもスタンフォード大の指摘により1時間のペナルティをくらっている。過去の東海大学の2度の優勝は、予選で5位からスタートしほぼ独走態勢で走行できたため、このようなデッドヒートに慣れていなかったと考えられる。 第2は、東海大学のチーム体制の弱さ。今大会のチームメンバーは、ソーラーカー大会の初参加する学生が多く、2013年のオーストラリア大会を経験した学生は数名程度と乏しい。開発の遅れにより準備不足で現地での作業が多く発生し、スタート前日まで徹夜作業を行うような状況では、確認不足や作業ミス、体調不良による停車が発生してしまうのは当然だ。このような状況では、現地に1ヶ月前に到着して十分な走り込みなど済ませ万全の準備ができているライバルチームと戦うことは、厳しいだろう。前項のペナルティについても、メンバーの教育、サポートカーの整備、レース走行の練習等の事前準備がしっかり行われていれば、相手にそのような隙をあたえずに済んだ可能性も高い。今回のレース中、東海大学は3回の予定外の停止で、合計7分程度のロスをしている。また、大会初日、充電を優先して競技終了2分前に停車した判断も、賛否が分かれるところだ。 第3の要因は、タイヤのパンク。ZDPの知る限りでは、転がり抵抗はミシュランと遜色がない性能だが、パンクがしやすい傾向がみられた。実際、上位勢でブリヂストンタイヤを採用したハンガリーチームも、複数回のパンクでタイムをロスしている。東海大学も、例年より多い2回のパンクに見舞われ、合計13分ロスをしている。 第4の要因は、セルの発電、もしくは車体の空力性能の差。正直これはどちらかわかりにくいのだが、上位に入賞したNuon、Twente、Punch Powertrainに共通しているのは、SunCatモジューリングのSunPowerセルだ。東海大学が使用しているHITと比較して、Gen3のE60セルの方が出力が大きかった可能性は高い。空力性能に関しても、ボディ形状を詳細に見るとオランダ勢は東海大学よりも、さらに徹底した空力設計を行ったと思われる。また、NuonやTwenteについては、MITSUBA製モータを導入(ただしTwenteは使用せず)したため、東海大学のアドバンテージが、一つ減ってしまっていたのも事実だ。 いずれにしても、上位勢の性能がより拮抗してきている為、些細なことが致命傷となる状況が、今年の大会の結果から計り知ることができる。 厳しい内容を書いてしまったが、筆者は、今、日本で世界と戦うことができるのは、このチーム以外あり得ないと思っている。総監督は引退などと言わずに、次回の大会にもまた、チャレンジを続けてもらいたい。(s)
豪大陸縦断ソーラーカーレース:Bridgestone World Solar Challenge 2015、5日目。 東海大学は、アデレードから276km離れた地点で朝を迎えた。今朝の充電は、雲が多いが切れ間も有り、全くできなかったわけではない。Twitter上の情報によると、上位4チームで今朝多少なりとも充電ができたのは、東海大だけのようだ。現実は厳しいことに変わりはないが、希望だけは捨てずにいたい。 0805、再スタート。90km/hの巡航速度で、南に向かって走る。比較的雲は多いが、切れ間から時折強い日が差す。偵察車より、前を走るミシガン大の巡航速度が70-80km/h程度だという情報が入る。彼らは昨日夕方に、雲の下に突入してしまった為、充電ができていない可能性がある。電池の残量が無く、現在の日射だけで走っていれば、速度はこれ以上あげられないはず。 09:02、東海大学は、日射が回復した為、巡航速度を100km/hにアップする。 10:30、走行車線を走る東海大学先導車の前のトラックが追い越し車線に車線をかえると、そこにミシガン大学が現れた。ペナルティの一件もあり、東海大学は慎重にオーバーテイクのタイミングを見計らう。 10:33、ミシガン大学の隊列をかわすトラックに続いて、Tokai Challengerは、ミシガン大学の隊列を抜き去る。レース走行が終了する計時点までは、あと23kmの事だった。
WSC2015、チャレンジクラス優勝はオランダ:Nuon Solar Team/Nuna8、2位は、計時点の12km手前で追い抜かれたSolar Team Twente/Red one、3位にミシガン大学を逆転した東海大学/Tokai Chllenger。4位のミシガン大とは、昨日夕方及び今朝の充電が、明暗を分けた。 チャレンジャークラスは、本日5日目に上位7チームが、フィニッシュラインに到達している。すべての結果は、公式サイト参照。(s) 関連リンク:
Bridgestone World Solar Challenge 2015、4日目。先頭集団はすでに南オーストラリア州に突入しているが、レースはノーザンテリトリーのダーウィン時間で行われる。 ダーウィン時間08:01、東海大学は昨晩のキャンプ地をスタート。天候は今朝も快晴。巡航速度90km/hで走行し、第7のコントロールストップ:クーバーペディー(2178km)に09:03着。ミシガンとは15分差、後続のPunchiPowerとは10分差。ドライバーを学生の喜多から三瀬に交代。向かい風が強めで消費的には厳しいが、引き続き90km/hで巡航。 第8のコントロールストップ:グレンダンボ(Darwinより2432km)には、12:27到着、ミシガン大は、1210到着で、僅かに差が開いた。上位の2台とは1時間まで差が開いたことから、TwenteとNuonは95km/h平均で走行していると推測される。東海大はドライバーを佐川に交代し、12:57に再出発。東海大の再出発までに、後続のPowerPunchiは、グレンダンボには現れなかった。 最後のコントロールストップ:ポートオーガスタ(2719km)には、16:16到着。ミシガン大との差は20分。30分の義務停車後、ポートオーガスタより再出発。17:05まで走行し、ポートオーガスタから約26km、ダーウィンから2746kmのネクターブルック付近に到達した。 フィニッシュのアドレードまでは、残り276km。特にトラブルがなければ、東海大学は明日昼頃に、アデレード市内のビクトリアスクエアに到着する。(s)
ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ3日目。東海大学ソーラーカーチームは、昨日17時以降の走行時間(オーバタイム)4分を遅らせた、08:04に再スタート。天候は快晴。スタート時に、PunchiPowerに先行を許してしまったが、直後に追いつきオーバーテイク。 レースの中間地点でもある第5のコントロールストップ:アリススプリングス(Darwinより1496km)には、09:08に到着。30分の義務停車時に太陽光からの充電を行い、09:38、再スタート。アリススプリングス市街地を抜け、今回大会での走行は初となる、アリススプリングスの鉄道との立体交差を通過。 09:57、左後輪の内部タイヤカバーが外れ、停止。カバー本体はホイールに巻き込まれ破損したが、幸い他の箇所にダメージはなく、破損したカバーを取り除き、4分のロスで走行再開。 その後1時間程度走行すると、予報通りの雲が空を覆い始めた。しかしこそれほど広範囲な雲ではなく、第6のコントロールストップ:カルゲラに近づく頃には、雲に切れ間が見え始めた。 コントロールストップに向け、一部のサポートカーを先行させはじめた12:15、昨日に続いて、左リヤタイヤが再びパンク。路肩に停車し、タイヤ交換を実施。12:21に再スタートを切るが、この間に後続のPunchPowerに抜かされてしまう。 再出発した東海大学は、12:40に第6のコントロールストップ:カラゲラ(1756km)に到着。ここでオブザーバより、15分のペナルティを言い渡される。 大会側の説明では、東海大学がミシガン大学を追い抜く際に、東海大学のソーラーカーが、ミシガン大学のソーラーカー及び指令車に接近し、ミシガン大学の走行を妨害したとのこと。しかし、実際は東海大のソーラーカーが107km/hで追い抜きをかけた際に、ミシガン大学のソーラーカーと伴走車が、それまでの速度よりも加速し、東海大ソーラーカーの追い抜きを妨害。加速したソーラーカーを追い抜くことができず、対向車が接近した為、やむを得ず元の車線に戻ろうとした際に発生したアクシデントで、事実誤認であるとの抗議を行った。この件について、義務停車の間に結論が出ず、やむを得ず一旦15分のペナルティ分の停車を実施することになった。またこれとは別に、PunchiPowerもメディア車がスタンフォード大の車列を妨害したことで、1時間のペナルティくらい、ここで消化。15分のペナルティによる停車を終え、東海大は4位のポジションで13:25に、カラゲラを出発した。 カラゲラ出発後、まもなく南オーストラリア州へ突入。その後は天候には恵まれたが、向かいが風が比較的強い中、巡航速度100km/h弱で走行を続け、17:01にダーウィンから2091km地点の路肩の空き地で、本日のレースを終了した。 東海大学は、合計25分のペナルティ、2度のパンク、3度の予定外の停止によるタイムロスの合計約40分と、ほぼ同じタイムの差がトップとついてしまい、現時点で、単独での優勝は厳しい状況にある。明日の天気予報は晴れだが、ポートオーガスタ以南で雨となる可能性もある。東海大が受けたペナルティについて、東海大学の抗議により、大会本部側でGPSロガーで事実の確認を行っている。(s)
Bridgestone World Solar Challenge 2015、二日目。東海大学は、朝の充電を終え、ダーウィン時間午前8時丁度に、再スタート。トップ勢5チームは100km/h前後のペースで走行。天候はまさに雲一つ無い快晴。 スタート後2時間のうちに、Twente、Nunaはミシガン大をオーバーテイク。追い抜き禁止区間が多く抜きにくい状況の中、10:20、東海大もミシガン大をかわし、3位に浮上。しかし、その後10:41に、東海大は左後輪のスローパンクチャに見舞われる。 幸いなことにパンク防止剤により空気圧が保たれ、また次のコントロールストップまで距離も短かったことから、そのまま走行を継続。11:34に第3のコントロールストップ:テナントクリーク(ダーウィンから988km)に、到着した。 第4のコントロールポイント:バロークリーク(1211km)では順位は変わらず。1位Twente(14:14着)、2位Nuna(14:18着)、4位ミシガン大(14:26着)、5位PunchiPower(14:34着)、東海大学は、14:38に到着。義務停車後再出発早々、東海大は、PunchiPowerの前に出る。そして午後5時のレース終了の時刻が過ぎ、東海大学はPunchiPowerと同じダーウィンから1401km地点にて、4位のポジションで2日目の競技を終了した。(s)
豪大陸縦断ソーラーカーレース:Bridgestone World Solar Challenge 2015初日。昨日のタイムアタック順で、ダーウィン時間午前8:30からスタート。昨日のタイムアタック8位の東海大学ソーラーカーチーム:Tokai Challangerは、最初にスタートを切った、オランダSolar Team Eindhoven/Stella Luxから遅れること約5分程度で、アデレードまで3000kmの旅にスタートした。 スタート後、太陽電池の発電がされていない為、ダーウィン市街のスチュアートハイウェイ上で一旦停止。MPPTのブレーカー何らかの原因で落ちていた為ブレーカーを上げ再スタートを切った。再スタート後は発電も問題無く、先にスタートを切った各車の追い上げにかかる。 最初のコントロールストップ:キャサリン(ダーウィンから322km地点)までは、比較的カーブや坂の多く、追い越し禁止期間の多い追い抜きの難しい区間。先にスタートした巡航速度の遅い車両をオーバーテイクが可能な区間を確認しながら、慎重に追い抜いていった。 キャサリンに最初に到着したのは、ミシガン大12:14着。続いて東海大12:21。Twenteは東海に遅れること1分で到着。その後も東海大30分の義務停車をしている間に、Punch Power、Nuon、Megalux Hungary、Standford、Arrow1が続々と到着。東海大はにドライバー交代を済ませ、12:51に再スタートを切った キャサリン出発後、3位のTwenteが東海大をオーバーテイク。しかし、追い抜き後は、東海と同じペースで巡航。 14:00頃、東海大は、ドライバーが無線の不調と体調不良を訴えた為、ルーティン外のドライバー交代を実施。これで、東海大は約2分程度のロスとなるが、結局2番目のコントロールストップ:ダンマラ(ダーウィンから633km地点)くまでに逆転し、東海大学は再び2位のポジションで、16:44にダンマラへ到着した。 再スタート後、東海大学はキャンプ地の都合により、少し早めの16:58に、ダンマラから17km離れた地点で停止。背後につけていたTwente、Nuonにかわされ、一日目は4位のポジションで走行を終了した。 なお、東海大学は、ミシガン大学に同行していたオブザーバーの指摘で、サポートカーが他チームの追い抜きの際に、追い越し禁止区間でセンターラインをまたぐ危険な運転をしたことにより、10分停車のペナルティが課せられることになった。ペナルティは次回のコントロールストップで消化する見込み。(s)
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