|
2013WEM 本戦 つばさ54号がZDP5連覇を阻止 |
2013/05/05 15:30 |
|
|
与えられたバッテリーのわずかなエネルギーで、誰が最も遠くまで走ることできるのか?その単純な問いに対して、様々なエンジニアリングで挑むEVエコランレース:ワールド・エコノ・ムーブ(WEM)。WEM GPシリーズ戦の原点でありGP戦最大のイベントである本戦のコースは、大潟村の干拓地を真っ直ぐに貫く大潟村ソーラースポーツラインの南側往復6km。使用できるエネルギーは、主にバイク用に使われる古河電池株式会社製FTX4L-BS(12V3Ah/10HR)4個。この季節、寒風山からの冷たく強い風が吹く直線主体の大潟村ソーラースポーツラインでは、特に空力性能が勝負の決め手となる。今回で19回目の開催となる本大会での優勝者は少なく、特に直近の過去10年、優勝できたのはZDPと東海大の2チームのみであった。
2013年5月5日、2013 ワールド・エコノ・ムーブ決勝。朝に弱い雨があり一時路面が湿ったが、風が路面を乾かしドライのコンディションで2時間の決勝レースが午前11時にスタートした。天候は曇り、気温は昨日と変わらず12度と寒く、風も昨日よりも少し弱い程度。
昨日公式予選トップのfirst step AISIN AW/つばさ54号は、ポールポジションからスタートを切ると、そのままレースをリード。それについていくのは、昨日のパンクにより後方のグリッドからスタートしたZero to Darwin ProjectのTachyon。3周を終えた時点で、8分を切るラップを重ねるつばさ54号の後ろ約一分の2位に、Tachyonが追いつく。
3位争いは混戦で、Team BIZON/GILLES-S、アヒルエコパレーシング東郷/Pursuiter、PROJECT MONO◇TTDC/MONO-X^3、チームスーパーエナジー/GRIFFON、Team ENDLESS/リボンGo!、チームトシヤン/TJ・Rider、MONO-XX、KAI、長野工高が続く。
少し風が弱まってきたスタート後25分頃、コースに軽い雨が降る。4周目を終えたつばさ54号は、この雨による視界不良の為、コントロールライン通過後、ピットイン。スクリーンを清掃した後、コースへと復帰。それに続いていたTachyonも視界不良で、コントロールライン直前のコーナーで遅いバックマーカーをかわす際に外へ膨らみ、パイロンに接触しそうになり速度を落とすが、こちらはピットには入らず、そのままコースへと向かっていった。このアクシデントで、2台の差は30秒まで縮まる。
その後雨は止むが、気温が低く密閉性の高い車はキャノピーが曇る状態が続く。レース開始1時間後、トップを走行するつばさ54号は、ついに3位集団最後方のMONO-XXを周回遅れにする。レース中盤から後半にかけて、トップとTachyonの差は徐々に開き、約1分にまで広がる。
エネルギーマネージメントと言う名のギャンブルの結果が出る終盤、3位集団から遅れ始めたのは、リボンGo!とGRIFFON。逆に順位を上げたのは、このレースがシェイクダウンとなるTJ・Riderは、残り20分で3位に浮上するが、その背後にBIZONの2台とアヒルエコパレーシングがついてくる。最後の優勝争いは、残り約6分前に14周を終えトップを走り続けるつばさ54号と、遅れること約1分でつばさ54号を追ってコースへ向かったTachyonの、2時間終了時点での計測結果での争いとなった。
午後1時、レース終了。コース上での計測の結果、優勝はつばさ54号、20011年にTachyonが出したコースレコードに15周90.472kmには及ばなかっが、14周87.734kmの記録でTachyonの5連覇を阻止し、自身秋田のこのコースでの初優勝となった。2位にZDP Tachyon、スターティンググリッドの差分を含めたその差は、わずか147m。3位はレース終了直前に14周目完了のコントロールラインを通過しトシヤンに追いついたTeam BIZON/KAI。最終周に同チームのGILLES-Sも逆転し、無改造でも表彰台に上がれるミツバモータと、車体のポテンシャルの高さを証明。4位はトシヤン/TJ・Rider。スタート時のグリッド差でKAIに負け表彰台こそ逃したが、3年越しのデビュー戦で、自身が目標としていた14周完走を果たした。
2013 WEM 本戦結果 (モータとタイヤはZDP独自調査結果による)
順位 |
部門 |
No. |
Team名 |
車名 |
周回数 |
走行距離(m) |
モータ |
タイヤ |
1 |
鉛 |
6 |
first step AISIN AW |
つばさ54号 |
14 |
87,734.71 |
特電アモルファス |
14インチIRC |
2 |
鉛 |
1 |
Zero to Darwin Project |
Tachyon |
14 |
87,587.90 |
独自DD |
14インチIRC |
3 |
鉛 |
16 |
Team BIZON |
KAI |
14 |
84.122.04 |
ミツバDD |
14インチIRC |
4 |
鉛 |
7 |
チームトシヤン |
TJ・Rider |
14 |
84,035.13 |
ミツバDD |
14インチIRC |
5 |
鉛 |
15 |
Team BIZON |
GILLES-S |
13 |
83.786.13 |
ミツバDD |
14インチIRC |
6 |
鉛 |
9 |
アヒルエコパレーシング東郷 |
Pursuiter |
13 |
83,337.65 |
ミツバDD |
14インチIRC |
7 |
鉛 |
3 |
PROJECT MONO◇TTDC |
MONO-X^3 |
13 |
81,714.28 |
ミツバDD |
14インチIRC |
8 |
鉛 |
4 |
PROJECT MONO◇TTDC |
MONO-XX |
13 |
81,263.50 |
ミツバDD |
14インチIRC |
9 |
鉛 |
5 |
チームスーパーエナジー |
GRIFFON |
13 |
80,197.70 |
ミツバDD |
14インチIRC |
10 |
鉛 |
2 |
Team ENDLESS |
リボンGo! |
13 |
78,327.43 |
特電アモルファス |
14インチIRC |
2013 WEM 本戦ラップタイム推移
Broadcasting live with Ustream
first step AISIN AW 中村さん
『11年かかって、ついに秋田で優勝できました! これでようやく、情熱で籾井さんに勝てた気がします。』
Zero to Darwin Project 籾井
『昨日のパンクの件といい、今回は準備等でも、いろいろダメ。今日は視界も悪くて、無事最後まで走れただけでも良かったか。』
Team BIZON 房間さん
『最後にKAIがGILLESを抜きました。KAIは市販されているミツバモータを無改造で搭載して、これに負けた車は、車体の完成度が勝負に重要であってモーターをいじるのはまだ早いと言いたかったのですが、それは自分の事でした。』
チームトシヤン 佐藤さん
『やった!14周達成! 新車を今回初めて走らせて、いろいろ問題があることがわかりましたが、この結果には満足。』
PROJECT MONO◇TTDC 山本さん
『MONO-XXは、途中まで弱気に行き過ぎ。終わってみれば、昨日より10Wh程度多めにエネルギーが取り出せた。後半ペースを上げたけど後の祭り。14周いけたかも。』 |
2013WEMGP戦は、2戦を終えた現時点で、PROJECT MONO◇TTDCのMONO-X^3(40P)1位、MONO-XX(34P)2位の順位は変わらず。first step AISIN AW/つばさ54号と、今回6位のアヒルエコパレーシング東郷/Pursuiterが、GPポイント31ポイントで並ぶが、走行距離の差でPursuiterが3位となる。WEMGP戦次戦は、再び袖ヶ浦フォレストレースウェイで6月2日に開催される。(s)
関連リンク:
WEM 大会公式サイト http://www2.ogata.or.jp/wem/emindex.htm
トシヤンのWEM製作記 http://blog.livedoor.jp/toshiyan2/
PROJECT MONO ◇ TTDC ブログ http://ttdc.blog91.fc2.com/
Orange Wary Tech' diary http://ameblo.jp/team-waruihito-ev/
秋工レーシング〜WEMin秋田 - Yahoo!ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/akikoracing/
WEM秋田2013 - 404ecorun blog http://404ecorun.blogspot.jp/2013/05/wem2013.html
K.I.T. エコランプロジェクト 活動日記 http://ecorun.blog.shinobi.jp/
チームはやぶさのブログ http://team8823.blogspot.jp/
2013 ワールド・エコノ・ムーブ - 神奈川県平塚市から アイミーブ・太陽光発電・フレンチブル・エコラン・旅行 http://ameblo.jp/gilles-and-kai/
「ワールド・エコノ・ムーブ」開幕 大潟村 - さきがけonTheWeb http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20130505b
鉛蓄電池部門は愛知のチーム初優勝 エコノ・ムーブ最終日 - さきがけonTheWeb http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20130506d
電気自動車快走 長野工業高 優勝と6位 GP第2戦 - 信濃毎日新聞 http://www.shinmai.co.jp/news/20130508/KT130507SJI090009000.php
|
2013WEM 公式練習 |
2013/05/04 18:00 |
|
|
2013 ワールド・エコノ・ムーブ、公式練習。例年ならばこの時期の大潟村の桜は満開を過ぎているのだが、今年は気温が上がらない日が続いていた為、開花もほぼ1週間遅れで、今は7分咲き程度。
午前中は車検。予報は日中ほぼ雨だったが、昼頃に少しぽつぽつと降った程度で、終日曇りのまま。路面もドライ。気温は朝からほとんど上がらず平年よりも低めの12度。西寄りの風は徐々に強くなり、時より10m/sを超える強めの状況の13時、2時間の公式練習がスタートした。
フロントローから出走し、1周目からトップに立ったのは、本大会5連覇を目指すZero to Darwin ProjectのTachyon。車体は昨年から特に進化は無いが、2周目終了時には後続に1分以上のマージンを築き、そのままレースをリードする。ところが5周目の最終コーナーで右フロントタイヤの経年劣化したチューブが裂け、パンク。コントロールラインを目の前にして停止。最後まで走りきること無く、今日の走行を終えてしまう。
今回2台体制のTeam BIZON。ミツバDDモーター市販品を無改造で搭載し、車体性能の重要性を知らしめようとエントリーしたKAIだったが、3周目途中に左フロントがスローパンクチャーに見舞われる。4周目終了のコントロールラインにはたどり着き通過するが、ここでストップ。
Tachyonが止まった後、トップを走り続けたのはfirst step AISIN AWのつばさ54号。ペースを守り2時間を走り切り、本日唯一14周を終えた85.970kmの記録でトップとなった。足回りをアップデートし、アライメントの精度向上した車体で、明日の本戦でもこの位置でのフィニッシュを狙う。
今回3年越しの新車:TJ・Riderを走らせたチームトシヤンは初レースながら、レース終盤には2位に浮上。レース終了残り8分前に13周を終え、その後ピット前で車を止めての4位という結果。昨日の大会前の試験走行で、新車特有の問題と手応えを感じながら、明日の決勝での結果が期待できる記録となった。
Team BIZONのもう一台、GILLES-Sは、補強による車体剛性の向上とリア周りをアップデート。最終周にピット前で止まっていたチームトシヤンをかわして同一周に追いつくと、時間いっぱいまで走行を続け、2位の走行距離を記録した。
今日の公式練習で3位となったのは、チームスーパーエナジー/GRIFFON。昨年から大きな変更は無いが、安定した記録で、明日も上位勢に何かあれば表彰台を狙う実力があることを証明。アヒルエコパレーシング東郷は、今年のGP戦初戦で新調したカウルによる性能向上を期待して、今日は5位のポジション。
6位MONO-XXはフロントのスカートやリアのフィンで空力を改善。こちらも淡々と自分のペースで走り、余力を残したまま、自ピット前に車を止めての順位。7位のTeam ENDLESSのリボンGo!は、システムの電圧を24Vから12Vに変え、モータも高回転型の仕様に変更。その実力を試すため、今日はオーバー気味のペースで走行するが、こちらもピット前に停止しての記録。この2台の本当の実力は、明日の本戦を見てみないとわからない。
なお、WEM常連のミツバは新車を製作中だが、本戦には間に合わず。ene-1でのデビューが期待される。
明日の本戦は11時スタート予定。グリッド順は本日の公式練習結果の記録順。明日の天気予報は、当初晴れマークも出ていたが、現時点では終日曇り。ただし降水確率は、昨日今日よりも低く、雨の心配はほとんど無く、風も今日程は強くなく気温も少し高め、曇りながらドライでのレースとなる見込み。(s)
2013 WEM 公式練習結果 (モータとタイヤはZDP独自調査結果による)
順位 |
部門 |
No. |
Team名 |
車名 |
周回数 |
走行距離(m) |
モータ |
タイヤ |
1 |
鉛 |
6 |
first step AISIN AW |
つばさ54号 |
14 |
85,970.60 |
特電アモルファス |
14インチIRC |
2 |
鉛 |
15 |
Team BIZON |
GILLES-S |
13 |
80.957.82 |
ミツバDD |
14インチIRC |
3 |
鉛 |
5 |
チームスーパーエナジー |
GRIFFON |
13 |
78,490.46 |
ミツバDD |
14インチIRC |
4 |
鉛 |
7 |
チームトシヤン |
TJ・Rider |
13 |
78,303.10 |
ミツバDD |
14インチIRC |
5 |
鉛 |
9 |
アヒルエコパレーシング東郷 |
Pursuiter |
12 |
76,482.66 |
ミツバDD |
14インチIRC |
6 |
鉛 |
4 |
PROJECT MONO◇TTDC |
MONO-XX |
12 |
72,320.80 |
ミツバDD |
14インチIRC |
7 |
鉛 |
2 |
Team ENDLESS |
リボンGo! |
12 |
72,311.60 |
特電アモルファス |
14インチIRC |
8 |
鉛 |
121 |
長野県長野工業高校
環境システム班 |
S.P.Evolution Ver.X |
11 |
67.746.65 |
ミツバ減速 |
14インチIRC |
... |
40 |
鉛 |
1 |
Zero to Darwin Project |
Tachyon |
4 |
29,942.30 |
独自DD |
14インチIRC |
▲TOPへ戻る
|