なぜ、太陽電池を冷やさないとダメなのか? いきなり難しい話になるかもしれないが、太陽電池は自由電子が少ないp型半導体と自由電子が多いn型半導体が接合することで、自由電子の濃度差の違いが発生し、その濃度差によって自由電子が移動することで電荷のバランスが崩れ、内部電界が発生する。この内部電界は、拡散電位VDを発生させる。この状態で、半導体に光が照射されると価電子帯の電子が伝導体に励起し、電子-正孔対を生成する。このVDは温度が低い方(図左)が大きいが、温度が上昇すると小さくなってしまう(図右)。このことから、太陽電池の温度を下げると、出力される電圧が増加し、発電電力が増加することがわかる。ということで、ほとんどのチームが太陽電池の冷却に力を入れているのである。バッテリ保管解除後の太陽電池による発電を行っている際のモジュール温度を測定することにした。2011年以降は1ヒートのみで勝敗を決めるレースに移行するため、今後はこのような充電風景は見られなくなってしまう。だからこそ今、「ひえひえグランプリFinal」を決行することにした。放射温度計を用いて、太陽電池の温度を測定した結果を下図に示します。
測定した結果、見事優勝に輝いたのはTeam MAXSPEED。2000年の第1回大会優勝は芝浦工大で、34℃、2000年は34℃、2006年の第2回大会は鈴鹿高専が26.5℃と記録を伸ばしてきたが、2010年は、Team MAXSPEEDが、20℃を切る15.7℃の新記録を樹立して初優勝を飾った。一方、発電量的にも余裕がある化合物太陽電池勢3台は冷却作業を行っておらず、高温状態に。オランダのNuonは、ひえひえグランプリの高温側で、史上最高記録(ワースト記録)を達成した。おめでとう?ございます。 |