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 BackNumber〜2010鈴鹿12  

鈴鹿2010 ひえひえグランプリファイナル

2010/08/01 18:00

8月1日(日)9:00、バッテリ解放が行われ太陽電池パネルよる最後のバッテリ充電が開始された。


Dream Cupソーラーカーレース鈴鹿の名物行事といえば、2日目午前中の第2ヒート前に行われるバッテリ充電。太陽光に向けて、ソーラーカーの太陽電池パネルが一斉に向きを合わせる。そんな中で、太陽電池を冷やそうとする人たちがいる。クール・ザ・太陽電池。地球が暖まらないようにするのと同じように?、太陽電池が暖まらないようにすることは大事なことなのだ。

 

なぜ、太陽電池を冷やさないとダメなのか? いきなり難しい話になるかもしれないが、太陽電池は自由電子が少ないp型半導体と自由電子が多いn型半導体が接合することで、自由電子の濃度差の違いが発生し、その濃度差によって自由電子が移動することで電荷のバランスが崩れ、内部電界が発生する。この内部電界は、拡散電位VDを発生させる。この状態で、半導体に光が照射されると価電子帯の電子が伝導体に励起し、電子-正孔対を生成する。このVDは温度が低い方(図左)が大きいが、温度が上昇すると小さくなってしまう(図右)。このことから、太陽電池の温度を下げると、出力される電圧が増加し、発電電力が増加することがわかる。ということで、ほとんどのチームが太陽電池の冷却に力を入れているのである。バッテリ保管解除後の太陽電池による発電を行っている際のモジュール温度を測定することにした。2011年以降は1ヒートのみで勝敗を決めるレースに移行するため、今後はこのような充電風景は見られなくなってしまう。だからこそ今、「ひえひえグランプリFinal」を決行することにした。放射温度計を用いて、太陽電池の温度を測定した結果を下図に示します。

測定した結果、見事優勝に輝いたのはTeam MAXSPEED。2000年の第1回大会優勝は芝浦工大で、34℃、2000年は34℃、2006年の第2回大会は鈴鹿高専が26.5℃と記録を伸ばしてきたが、2010年は、Team MAXSPEEDが、20℃を切る15.7℃の新記録を樹立して初優勝を飾った。一方、発電量的にも余裕がある化合物太陽電池勢3台は冷却作業を行っておらず、高温状態に。オランダのNuonは、ひえひえグランプリの高温側で、史上最高記録(ワースト記録)を達成した。おめでとう?ございます。


 

Team MAXSPEEDは、許される限り最大限の体制で冷却に挑む。人海戦術はもちろんのこと、豊富な流水+氷で他チームに大差を付けてのリードを奪った。2位は、なぜか因縁の堺市立高等学校。24.5℃という、本来であれば優勝を狙える記録をたたき出しているにも関わらず、MAXSPEEDに差を開けられてしまった。


 

ただでさえ800Wと出力的に厳しいチャレンジクラスは、ひえひえグランプリでは上位を独占する。3位に輝いたのはバカボンズ。うーん、なぜかチャレンジクラス第1ヒートの順位と同じになってしまいました。ひえひえグランプリを制しなければ、チャレンジクラスは制せず。新しい法則が生み出された瞬間のようです。堺市のエコキャラクター「ザビエコくん」も、クールな青色の葉っぱで、ひえひえグランプリを応援しています。


 

ひえひえグランプリの勝利の元はこれ。MAXSPEEDの貯水槽には、かき氷も作れそうな大きな氷が惜しみなく投入されていました。「おっと、手がすべっ・・・、ジャッボーン」、内海氏は「打ち水師」になってしまいました・・・。ということで、2010年ひえひえグランプリファイナルを終わります。楽しんでもらえましたか? (k)



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