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いよいよ夏のソーラーカーの祭典「Dream Cupソーラーカーレース 2007」がはじまります。8月3日は9:00から公式車検日。さっそく車検を行っている鈴鹿サーキットのピットを歩き回って興味深い情報を探してみよう。 一番の注目は、激戦が予想されるチャレンジクラスの動向である。柏会、紀北工業高校、堺市立工業高校、長野工業高校、Team MAXSPEED、Team SunLakeなどが優勝を狙っている。この中でも昨年優勝した柏会の21:武蔵は、二連覇に意欲を見せる。まず、驚かされたのがSunPower社のセルをモジューリングした高性能モジュール。NET社が取扱い、ISFジャパンが斡旋販売を行っている。SunPower社のA-300型セルの上下を大きくカットし、コーナーの切り欠きによるロスを減らしている。セルをカットする回数が2回と少ないことと、取り出せる面積が大きいことなどから、モジューリングの際のコストを低減する狙いがあるものと予想します。ただし、セルサイズが大きいので取り出せる電流は大きめとなり、MPPTの定格容量を超える場面も出てくる可能性があります。SunPower社のWEBサイトによると20%(20.5%という表記もある)のセルをモジューリングし、18%の変換効率という公称出力であるので、積水樹脂がこれまでOSUや紀北工業高校などに供給していたものよりは、若干であるが(0.5%程度)低めとなっている。モジュール変換効率は高いに越したことはないが、800Wや480Wに太陽電池出力が制限される場合には低めの出力表示の方が有利ではある。 また、2006年に芦屋大学と長野工科短期大学校が試験的に搭載した、コアの引き抜きによる可変界磁機構を搭載したミツバDDモータのプロトタイプと同等な機能をもつDDモータを搭載。油圧によってコアを半抜きにすることで、マグネットとコアの間にあるエアギャップ中の磁束数を変化させることが可能となる。これによって、低速高トルク型から高速低トルク型にモータ特性を変化し、CVTを用いたように特性を無段階で変化させることが可能となる。このような取り組みを行っていることからも、柏会は今年のチャレンジクラスの最有力候補として位置づけられる。 一方、JAFが提唱するソーラーカーJやオーストラリアのWorld Solar Challengeのチャレンジクラスでは、セル面積の合計が6平方メートル以下とされている。そんな背景もあってか、今回はFIAのオフィシャルがセル面積の測定を行っていた。原理は、寸法がわかっているダミーをセルの上に置き、CCDカメラで撮影した画像を処理することでセル面積を求めるというものである。今回は、参考値の取得が目的であったと思われるが、今後、車検の際の検査項目になるかもしれない。
新しい動きとしては、長野工業高校の39:BIG WAVE SONICがミツバの2008年型ミツバDDモータのプロトタイプを搭載していたことが挙げられる。上述した柏会や芦屋大学などのような可変界磁機構は設けられないが、高出力化と軽量化が図られる見込みである。ミツバの関係者によると、おおむね長野工業高校のモータが2008年に登場する新型DDモータの姿になるだろうとのこと。 一方、和歌山大学Solar Cae Projectの55:ラプラシアンは、日本ケミコン製電気二重層キャパシタ2.5V-1400Fを10直列3並列にしたものを搭載していた。これはエコラン用に販売されている2.5V-600Fのものをサイズアップしたものである。ソーラーカー業界にあっては電気二重層キャパシタをバッテリと並列接続する例が多い中で、電気エコランカーのような回生、上乗せ回路を機能を実現している点で、新たな挑戦を行っているといえる。
鈴鹿2007に登場する注目の新型車として、まず初出場の南部工業高校機械技術部の95:Ti-da OKINAWAが目にとまった。沖縄県からフェリーで運ぶなど苦労が多かったのではないかと思われる。ミツバDDモータを搭載するなど意欲的な作品に仕上がっている。 また、激戦区となったチャレンジクラスの中にあって、もはや古参となったTeam MAXSPEEDの28:Flat Outは新調したキャノピーが目立っていた。よく見るとアッパーカウルの形状も進化を遂げ、大改装が実施されていた。「なんやかんやとうるさい割りに、意外と本気?」な一面を見せていた。これでなんとか上位陣にくさびを打ち込みたいところ。
こちらも、初出場で注目されるのは、電気エコランレース界では実績の高い千葉黎明高等学校工学部の77:RMCエンタープライズ周作。ゼッケン番号77とラッキーセブンが並んでいるが、モータの方もミツバの菅生用モータM1048R(減速タイプ)が2機駆けという構成あった。確かにソーラーカー用DDモータ1台よりも電気エコランカーの菅生用2台の方がコスト的には有利である。多くの電気エコランカーをもつ千葉黎明だけに、このモータをそのままエコノ・ムーブ・グランプリの菅生大会に転用し2台を出場させることも視野にあるのかもしれない。 車検が終わるとピットレーンでは、芦屋大学と台湾から来たNational Kaohsiung University of Applied Science(高雄応用科技大学)のスタッフが、ドライバー交代&タイヤ全輪交換の作業を何度も繰り返し行っていた。1分以内は当たり前で30秒から40秒台で、全輪交換とドライバー交代をやってのけるだろう。両チームともトリプルジャンクション太陽電池を搭載するエネルギーリッチな発電量トップグループであり、SunPowerセルを搭載する再輝の2:ENAXや同型車の呉港高等学校の3:夢想心らの発電量第2グループとともにドリームクラスを盛り上げていくものと予想される。(k)
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