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南国の台湾で行われているワールド・ソーラー・ラリーは、いよいよ本番。9月17日には、屏東(ピントン)空港の敷地内を臨時サーキット(1周5.8kmの周回コース)にて、サーキットセッションのレースが行われた。 コースの特徴は飛行場なので、当然、直線が多いフラットなコース。ただし、路面は飛行場特有の荒い路面。直線で2kmほどが取れ、折り返す形になるので、イメージとしては秋田の大潟村ソーラースポーツラインに近い感じ。一番近いのはやはりアテネのサーキットセッション。2005年に行われた神戸空港のEVエコランレース会場も近いかな。ということで、アテネのサーキットセッションの記事を読み返すと、パンク、サスペンショントラブル、コントローラ故障、電池破損、横転など、コースの難易度以上に要注意。
8:30〜9:00まで行われた走行練習では、思いのほか、タイヤが滑ることを除けば、摩耗については問題は少なそう。この練習走行の結果を見て、芦屋大学と東海大学はアテネの教訓を生かし、転がり抵抗が大きくなってしまうものの、あえてパンク&グリップ力を重視し、芦屋は全輪、東海はリアタイヤのみにバイク用の市販タイヤを選択。しかし、高雄応用科技大は、IRCのソーラーカー用タイヤを選択。このタイヤチョイスが、この後の勝負の分かれ目のひとつに、なったかも? その後の予選のタイムアタックでは、芦屋大学Sky Ace TIGA、高雄応用科技大学Apollo V、東海大学Falcon、高雄応用科技大学Apollo Plus、南台科技大学Phoenixのアジア勢が、トップグループを形成した。 本戦は第1ヒート、第2ヒートの2つのヒートが各々90分ずつの合計3時間の走行時間で争われた。第1ヒートは10:30〜12:00、第2ヒートは13:10〜14:40であり、昼休みは1時間10分となっている。その為、エネルギーマネージメント的には、10:30〜14:40までに発電できる発電エネルギー+バッテリに蓄えられているエネルギーの合計を1/2にした分を、各々のヒートで使えばよいことになる。各チームとも、この計算で消費電力を決めて決勝がスタート。 第1ヒート早々、高雄応用科技大学のApollo兄弟が、大潟村のチーム潟郎のように飛び出し、芦屋大学を抜き去っていく。ミネソタ大学のBoreals III も、予選で出遅れた順位を、徐々に上げていく展開。Apollo Vは、レース早々首位に出るが、結局Sky Ace TIGAにかわされる。Apollo Vは、その後、パンクに見舞われピットイン。鈴鹿サーキットで見せた超速タイヤ交換でピットアウトするが、さらにパンクに見舞われてしまう。この状況では、さすがにTIGAには追いつけない。これで1、2位の体制は、ほぼ確定。そのあとを走るのはBoreals III、Apollo Plus、Falcon、Ra 6、Phenix。このあたりは、実力的には伯仲していて、気の抜けない展開。
Boreals IIIは、ガリヒ素系太陽電池の発電量にものをいわせ、180kg(ドライバー抜き)と重めの車体をパワーで引っ張っていく。Principaも南台科技大学もひるまず、それについて行く。そうか・・・、よくよく考えてみると、上位の中では東海大学だけが単結晶シリコンで、あとはガリヒ素系じゃないか! しかし、パワーだけでは決まらないのが、ソーラーカーレース。
Apollo Plusはアテネに続いて、またまた転倒してひっくり返り、アッパーカウルを捨てて自走しピットイン。 Ra 6はよくわからないが、リアタイヤカバーが外れたか何かでタイヤと接触しペースダウン。なんとかピットへ自走して戻ってくるもののエネルギーを相当使いこんでしまったようだ。写真をよく見ると相当リアサスがねじれているようなので、もしかするとこれが原因かも。Falconは泥よけカバーがタイヤと接触してピットインしたものの、軽傷ですぐにコースイン。 さらに続いて、Apollo Vも2度目のパンク。またもや超高速タイヤ交換でバイク用タイヤに交換してピットアウトするものの、芦屋大学とは差を開けられてしまう。 昼休み後半から雲が出てきて、雨が降り始める。この影響で第2ヒートは15分遅れの13:25からのスタートと遅れるが、レース終了時刻は変わらないため、第2ヒートは1時間15分の走行に。 第2ヒートでは、レース開始早々、Apollo Plusがこの日2回目の転倒。ドライバーは大事には至っていないようだったが、担架で運ばれ、救急車で病院搬送となってしまう。
プリンシピア大学のRa 6は悪天候のためか、エネルギーが不足しているのか、あるいは折り返しで速度を上げられないのか、ペースを上げられず、南台科技大学のPhoenixにかわされ順位を落とす。 優勝は予想どおり芦屋大学Sky Ace TIGA、2位は高雄応用科技大学Apollo V。レースが終わってみると、当たり前ではあるが、発電量があり、軽くコーナリング性能があり、タイヤやモータなどのチョイスがうまく、運も悪くないチームが表彰台に乗れるものだということを実感できた。
ラリーレースをズバリ予想 優勝候補は、芦屋大学。レースをするのに十分な発電量と、トップスピード180km/hも狙えるミツバ可変界磁DDモータの搭載が、有利。高雄応用科技大学もNGM?に特注をかけて改造した可変エアギャップ付きDDモータを搭載している。こちらもトップスピードは150km/hといわれているが、はたしてそんなに回るのだろうか? 東海大学も120km/h程度まで回るミツバDDモータを使用しているので、トップスピードは稼げるが、多くのSSを翼が折れたような太陽電池で走りきれるかが心配。ミネソタ大やプリンシピア大などのアメリカ勢も気になる存在。(k)
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