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キムヒデの2005鈴鹿試走会、緊急レポート 2005/07/03 18:00

はじめに
Dream Cupソーラーカーレース鈴鹿の試走会が2005年6月27日に行われた。昨年はWSR/JISCと同日開催となったため、キムヒデにとってはほぼ2年ぶりの鈴鹿サーキット。ひさしぶりだなぁ。とにかく2005年の鈴鹿はすごいことになりそうなので、予定には無かったけど緊急レポートします。鈴鹿のメインスタンドは工事中。F-1までに建て替える予定らしい。今年のソーラーカーレースには間に合いそうにないので、実況中継はどうなるんだろうと心配していると、左側の白い建物に放送席を移して行うようなので一安心。さて、それではネタを探しにピットを回ってみましょう。まずは、紀北工業高校に行ってみるとNGMのSC-M150が搭載されていました。去年まではユニークのDR086sbを使用していたようですが、今回はNGMコントローラだけが残ったチームとNGMモータだけが残ったチームから、それぞれを持ってきて組み合わせたようです。

 

新型GHカーボンディスクホイール登場
この紀北TECH SOLARに装着されていたのがGHクラフト社の新型CFRPディスクホイール。担当の田村氏によると、大幅なコストダウンを実現したのがポイントで、強度も重さもほとんど変わっていないそうです。14インチはIRC、ダンロップ、ブリヂストン用でかなりワイドなリムである。16インチはミシュラン、ダンロップ用になっている。また、エアバルブは外側に向けて取り付けられているため、モータを装着した状態でも空気が入れやすくなっている。また、それぞれに空気抵抗の低減を狙ったカバー有り仕様と軽量化を重視したカバー無し仕様が設定されている。気になる価格は14インチカバー無し94,500円、14インチカバー有り105,000円、16インチカバー無し98,700円、16インチカバー有り110,300円(いずれも消費税込み価格)となっている。

 

ミツバモータの展示会?
モータは様々なタイプのDDモータが登場し、まるでミツバの展示会のようであった。コンセプトをキープしたまま、毎年新型車となる長野工科短大のFizzer 17。スキーの板をバネにしたサスも相変わらず健在でした。モータはFFで2輪駆動でした。一方、4輪の宇都宮工業高のUK-Hopeは、後輪2輪駆動となっていました。ツインモータがだんだん増えてきたように感じます。

 

ツインモータといえば、OSU model S'は、EVエコランで登場したステータコイルむき出しの軽量化バージョンを搭載。気合いが違います。東海大翔洋高校は、片持ちサスのねじれが気になることから、両持ちに変更。両持ちだとタイヤ交換に時間がかかるが、モータを外さなくてもタイヤを交換できるような構造になっていた。

 

太陽電池の最終戦争勃発
みなさん、お待たせしました。気になる太陽電池の情報です。これまでも、SunPower社の裏面電極型セルを積水樹脂が封止したモジュールを搭載していたOSUですが、全て新型モジュールに張り替え。このモジュールはSunPowerのおそらくA-300型の新型太陽電池セルを搭載しているのではないかと推測される。A-300型セルの変換効率はミニマムで20%で21.5%まで。周囲の角を部分の切り欠き部分を外すことで面積効率を向上させ、アレイ分割数を稼ぐために小さくカットしてモジューリングした模様。実力からいって1600W位は期待したいところであるが、実際のところは不明。OSUは今年、北京から敦煌までのシルクロードを走破する計画がある。ドライバーはOSUの教員でもある片山右京氏が務めるようである。

芦屋大のTIGAはなにやら怪しげな妖気のようなものを発している。トリプルジャンクション太陽電池だ・・・。トリプルジャンクション太陽電池といえば、オランダのNuna、ドイツ&イギリスのHans Go、アメリカのMIT、カナダのクイーンズ大、オーストラリアのAuroraなど、世界の強豪が採用している太陽電池の最終兵器。一般に変換効率は23%〜27%くらいのものがソーラーカー用に使われているようだが、宇宙グレードのものは30%を越える。国産モジュールの2倍に近い出力だ。トリプルジャンクションセルはEmcore社ATJ (Advanced Triple-Junction)やボーイングの子会社のSpectrolab社UTJ (Ultra Triple Junction)がとトップレベルにある。おそらく芦屋大のセルはSpectrolab社の低グレードセルをモジューリングしたのではないかと推測される。芦屋大の話ではピークで2000Wを観測したとか・・・。ピークということだけなので状況が判断が難しいが、この話が本当であれば、実質的なセル面積が8m^2程度であるとして、2000W / 8m^2 =250W/m^2なので、25%程度の変換効率のセルを使用しているのではないかと予想される。練習走行では4分40秒前後の驚異的なラップタイムで走行しており、タイヤがもたないなど、贅沢ともいえる悩みを持ち始めたようだ。強引にドライバーの野村氏にインタビューしたところ、本番では110周くらいが目標とのこと。芦屋大はこのモジュールで2005 World Solar Challengeのワールドチャンピオンを本気で狙うつもりだ。

 

もはや正攻法は通用しない?!
ひさびさに鈴鹿に復活する東海大ソルスピリッツは、もはや正攻法では勝負にならいと考え、日本ケミコン製の電気二重層キャパシタとミツバ製DDモータを組み合わせたた菅生戦法をソーラーカーに持ち込む計画である。しかし、予想以上に準備に手間取り、試走会会場に来るも浪越エレクトロニクス製のコントローラを故障させてしまい1周も走行することができないままで終わってしまった。先行きに不安を残した。

パンダサンの細川さんも、「もはや発電量が違いすぎるので勝負にならない。来年からはチャレンジクラスで戦うしかないなぁ・・・」とこぼしていました。というわけで、2005年の鈴鹿は破壊的なパワーを手に入れた芦屋大のTIGAに、OSU model S’がどれだけ食らいつけるかという展開になりそうだ。そこにパンダサンやENAXなどのチームが絡めるか・・・という感じになるのではないだろうか。「ソーラーカーレースなんだけど、もはや悪天候を祈るしかない・・・。」細川さんとキムヒデはこの意見で一致した。(k)

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