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キムヒデの2004WEM in とよたレポート |
2004/09/07 01:30 |
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まずは「とよた」の復習から
やぁ、みんな元気かい? 菅生から2週間しか経っていないけど、WEM GP戦の第4戦となる「World Econo Move in とよた」が始まりました。この「WEM in とよた」は、2005年に愛知県で開催される愛知万博「愛・地球博」のパートナーシップ事業ということで盛り上がってきていますね。(愛知県の「あいち」が「愛・地」になっていたことに不覚ながら、今回はじめて気が付きました。)ことしもレポートしちゃいますが、その前に「復習はここ」でやっておくように!!
次に予習
会場となる豊田スタジアムのコースは、競技場のまわりを走る1周が約760mの周回コース。昨年、ミラクルでんちくんが悩まされた路面の段差は、でんちくんのアゴ下を削りスピードダウンさせていた難所である。このポイントは、ミラクルでんちくんと同様なフロア形状のファラデーマジック2にとっても心配のタネ。しかたないので、キムヒデは事前に現地調査を行うことにした。昨年問題だった場所は、なんとスロープが緩やかに改修され問題なし(写真左)。さらに確認のため、1周を歩いてみると、スタート地点付近の仮設歩道橋の先にあったデコボコゾーンは、なんとなく段差が大ききなった感じがします(写真右)。巨大建造物の重みで沈んでいるのか、あるいは反対に基礎工事をしっかりやった部分が沈まないのかはわかりませんが、豊田スタジアムの周辺は数センチくらいの段差が発生しているようです。ということで、ファラデーマジック2では、車高を上げる対策を取ることにしたのでした。
池上さんも、ことしはミラクルでんちくんのノーズをキュッと持ち上げ、アゴが引っかからないように対策を施してきました(写真左)。あと、心配なのは荒い路面。転がり抵抗が増えるだけなら良いのですが、今年は路面から剥がれた小石も多く気になります。エコラン用タイヤは、転がり抵抗を低くするために非常に薄くつくられていて、空気圧も高めなので、通常よりもパンクしやすいのです(写真右)。なんで、こういう構造になっているのかというと、タイヤのゴムはひずんで元に戻るときに熱が出ます。摩擦の影響もありますが、接地部付近が変形する際にタイヤから熱が出るのです。模型のゴム動力の飛行機がありますが、あれも巻くのに使うエネルギーよりも取り出せるエネルギーの方が少ないんですね。さらにゴムにもいろいろあって、弾まないゴム(発熱が多い)から、よく弾む(発熱が少ない)ものまであります。同じ材質であれば、空気圧を高めにしてタイヤが変形しないようにしておいて、さらに変形する部分の体積を減らすためにタイヤを薄くすると、転がりがよくなるといわれています。
波乱の予選
9月4日に行われたGPクラス予選では、first step AISIN AWのつばさ52号、ヨイショット!ミツバのHyper USO800、東海大木村研のファラデーマジック2が揃ってパンク。強運バリアが強いキムヒデも、池上さんに背後から近づかれると厳しいらしい。そんなことはさておき、路面の状態は転がり抵抗を小さくするために開発されたエコラン用タイヤには厳しいのだろう。つばさ53号も段差の影響でドライバーの清水さんの頭がシェイクされ辛いようだ。53号も、早々にレースを終えてしまった。
予選上位を占めたZDPのスーパーモスラ、ミラクルでんちくん、そしてEPAのSTEALTH 03 ver4.4。スーパーモスラは、籾井基之自らがハンドルを握る。今回、ミラクルでんちくんを運転するのは、自称「流しのエコランドライバー」の横山泰子(姉)。小堀義明(弟)とともに、ガソリンエコランからEVエコランまで、様々なチームを渡り歩いている。泰子姉は、ミラクルでんちくんに乗車。弟の義明君は、房間さん引きいるEPAのSTEALTH 03 ver.4.4に乗車。姉弟で予選の2,3位になった。
これらの予選上位車に対して、予選リタイヤ組が本戦でどのような巻き返しをはかるかがレースの見所となるだろう。路面状況が悪いためパンクも心配だし、翌日の決勝戦の降雨確率は50%なので天候も気になる。そして、怨念をはじき飛ばす自信があるキムヒデも、今回ばかりは池上さんに背後に近づれるのは、さすがに無防備すぎるので、決勝戦は2m以上横に離れるようにしようと心に決めた。
決勝戦がスタート
レース序盤は雨も降らず、順調な滑り出しとなった。前日の予選で首位となったなかよしZDPのスーパーモスラは、1LAPのリードを保ちながら首位を独走していた。東海大学木村研究室ファラデーマジック2とfirst step AISIN AWのつばさ52号、53号は1分4〜5秒台の早いラップタイムで追い上げを狙う。しかし、スーパーモスラは、スタート直後のダンゴ状態に巻き込まれたパンク組にまもなく追いつき、目視圏内に入れ1周差を保ったまま首位を独走。トップの座を譲らない。それでも、ファラデーマジック2やアイシン勢がスーパーモスラの後を追いつづけた結果、前日2位のなかよしZDPミラクルでんちくんや3位のEPAステルスをオーバーテイクしていった。
とりあえず、池上さんの近くで背後を取られるのは危険なので、となりのピットにポジションを取っていると、ヨイショット!ミツバの充電担当、蓼沼ッチが池上さんの近くに何も気にせずに近寄ってきた。「よし、この蓼沼ッチを池上さんと木村研メンバーの間に入れて、池上怨念パワーを一身に受けてもらい、我々のパンクを防ぐことにしよう!!」(現場では冗談ながらも、いちおう気にしてるんですよ・・・。)
ところが・・・、1時間が経過した頃、ミラクルでんちくんの左フロントタイヤがパンクして、まさかのスローダウン。(蓼沼ッチ、恐るべし。)車体を地面にこすりつけながらも、なんとかピットレーンにたどり着く。チューブを交換して再スタートするが、だいぶ順位を下げてしまった。さらに最悪なことに、1時間10分を経過した頃、豊田スタジアムに強い雨が振り出し、これが「当たりが多いロシアンルーレット」=「とよたんルーレット?」の引き金をひいてしまったようだ。これだけコース上に小石が多いとパンクするかどうかは時の運。エコラン用タイヤをあきらめて、通常の自転車用タイヤを選択するとい手もあるが、それでは記録がガタ落ちするので優勝することは難しい。さらにスピードが速いチームほど、タイヤが受ける衝撃が大きくなりパンクする確率が上がってしまうので始末が悪い。
先ず、2輪(補助輪付きで一応は3輪)のつばさ53号が雨で滑りやすくなった路面でスリップし転倒、即リタイヤ。52号も昨日に続きパンクし、ピットイン。雨で視界が悪くなったったことから、フロント部分のスクリーンをカットしてピットアウト。しかし、カウルが外れたり電装系のトラブルも発生し、レースを終える。さらに、雨足が強くなり、池上さんから遠ざかっていたスーパーモスラ担当の澁谷さんも、雨を避けるためにやむを得ずピットテントに戻ってくる。しかし、その直後、首位を走行していたスーパーモスラも、ミラクルでんちくんと同じく左フロントがパンクしピットイン。(今年は身内のつぶし合いか?)その上、修理を終えて、スタートしようとしたところで、交換したはずのチューブが破裂してしまう。気を取り直して再スタートして追い上げるものの、レース終了間際にまたもやリアタイヤがパンク。そのタイヤもまたまたパンクして、一気に順位を下げる。何かに取り憑かれたかのようだ。けっきょく、昨日3位だったステルスもパンクし、上位争いに絡むほとんどのチームは何らかのアクシデントに巻き込まれた感じだ。ミラクルでんちくんも、リアタイヤをさらにもう1回パンクさせたように記憶していますが、何しろパンクの数が多くて覚え切れません。
ファラデーマジック2が優勝
車高を上げるために外注で製作し直したアップライトの材質が指定と違ったため?か、ファラデーマジック2のアップライトは、豊田スタジアムのコース上の段差を乗り越えるときに変形し、アライメントが狂いやすい状況でした。さらに、前夜の充電時にミスをしてしまい、バッテリーのコンディションもベストでは無かったと思われます。決勝は、消費電力の増加と、バッテリ電圧の予想以上の降下のため、残り30分ころからペースダウン。しかし、この日はパンクも無く、ねばり強い走行の末、優勝を飾ることができました。これで、ファラデーマジック2は5月の秋田に引き続き2連勝。ドライバーのきっくう(菊田剛広)は、第3戦の菅生でもモスラで優勝しているので、なんと3連勝!! もはや言葉がありません。しかし・・・、大会から戻った翌日にファラデーマジック2を見ると、なんとっ!!リアタイヤがつぶれていました!? よく調べてみると小石がタイヤに刺さったままでした。石が抜けずにスローパンクで済んだので、決勝でもなんとかなっていただけのようです。いやー、ほんとうに危なかった・・・。(パンクの影響はレース中には出なかったと思いますが、今から思うと消費電力増加の原因にもしかしたらなっていたかもしれません。)
ギヤ比のセッティングを間違えたチームうにゃなん亀吉のエコノ亀吉2.5号も苦戦の末に2位。大阪府立淀川工業高校自動車部のYUSS 03Mは、ジュニアクラスでありながら見事に総合3位に食い込んだ。パンクの影響ZDPのスーパーモスラは4位、ミラクルでんちくんは6位。
ということでライバルとの熱き戦いというよりも、雨やパンクで自分自身との戦いになってしまった感じがするのが今年の「とよた」でした。来年の2005年は、愛知県では環境博といわれる愛知万博「愛・地球博」が開催されます。マスコットキャラのキッコロ(右)とモリゾー(左)も応援してくれると言っているので、すばらしい大会になることを期待しています。(文kimuhide、写真:佐川)
WEM in とよた GPレース結果
順位 |
チーム |
車名 |
記録 |
1 |
東海大学木村研究室 |
ファラデーマジック2 |
95周 |
2 |
チームうにゃにゃん亀吉 |
エコノ亀吉2.5号 |
92周 |
3 |
大阪府立淀川工業高校自動車部 |
YUSS 03M |
90周 |
4 |
なかよしZDP |
スーパーモスラ |
90周 |
5 |
千葉黎明高等学校工学部 |
RMCエンタープライズ千葉黎明2004β |
90周 |
6 |
なかよしZDP |
ミラクルでんちくん |
89周 |
7 |
長野工業高等学校 |
S.P.Evolution ver.5.5 |
89周 |
8 |
チーム”ヨイショット!”ミツバ |
Hyper USO800 |
88周 |
9 |
team E・P・A |
STEALTH 03 Ver,4.4 |
88周 |
10 |
チームぷりん |
でんきプリン |
88周 |
追記:大会の後で起きた地震の影響で豊田スタジアムの路面の段差が成長していないかが気になります。
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