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ZDPの歴史

キムヒデの2004WEM秋田レポート 2004/05/13 18:30

 やぁ、みんな元気かい? 湖東や秋田の大会も終わり2004年シーズンもいよいよ本格的に始まってきましたね。さぁ、がんばっていきましょう!! さて、WEMの歴史を振り返ると、やはりこれまで数々の名勝負を見せてくれたのが秋田の大会。各チームとも一番気合いが入っているような気がします。会場となる秋田県大潟村ソーラースポーツラインのコースの特徴についてお復習いすると、「1周約6kmのほぼフラットな長い直線路」、「タイトな折り返しポイント」、「荒れ気味の路面」、「比較的強い風」などが挙げられます。このコースをいかに制するかが、各チームの腕の見せ所と言えるでしょう。残念ながら、今回は雨で本戦が中止となり、予選となる公式練習の順位で勝敗が決まってしまいました。寒冷前線が通過するという天気予報もあったので仕方ないとは思いますが、来年こそは良いコンディションで本戦を戦いたいですね。さて、恒例の大会レポートの方ですが、本戦があいにくの雨で、取材が済まないうちに大会が終わってしました。84台が競った鉛電池部門について、少ないですが解説しましょう。

タイヤ&空力の勝負(14インチ対20インチ)
 2003年から投入されたTGMYの14インチタイヤ。2003年の舞洲の大会で、芦田さんがこっそりと見せてくれてから1年ちょっとが経過しました。14インチタイヤを装着すると、ミラクルでんちくんの場合で約30%も全面投影面積が小さくなります。仮に空気抵抗係数Cd値があまり変わらないとすると、空気抵抗が30%も低減されるのではないか?と期待されます。秋田のエコノムーブでは、上位にいる車体の場合、走行抵抗の約半分が空気抵抗であったので、全体として約15%程度走行抵抗が減少できるのではないかと予想されます。しかし、20インチタイヤに比べて、転がり抵抗がどのくらい増えるのかはよく分かっていない状況でした。やはり仮定の話になりますが、空気抵抗の改善分となる30%以内の転がり抵抗の増加であれば、走行抵抗全体で元がとれる計算になるだろう。2003年の豊田の大会で紀北工業が善戦したり、菅生の大会でミツバが優勝した結果などから、おそらく、転がり抵抗は30%までは悪くないだろうという見込みになり、2004年度に登場した新型車のほとんどは14インチを採用してきたのではないだろうか。この背景には、ホンダエンジニアリングEVERのAquaが20インチタイヤを装着していたのに対し、新型車となるOrcaもIRC製チューブレス16インチタイヤを開発していたことも影響しているのかな。これが2004年の小径化の流れをさらに推し進めたのではないだろうか?!と分析します。けっきょく、20インチから14インチの移籍組として、ZDPのミラクルでんちくん、ヨイショット!ミツバのHyper USO00が、14インチの新型車としてスーパーエナジーのGRIFFON、うにゃにゃん亀吉のエコノ亀吉などが新たに登場しました。昨年から登場していた本家TGMY Ashidaや成蹊大学などをあわせると、14インチが時代のトレンドとなりつつあるように思います。公式練習のスタートシーンを見ても14インチが、目立ちました。

 

 

 これに対して、静観あるいは様子見をしていたのが、ZDPのスーパーモスラ、first step AISIN AWのつばさ52&53号、EPAのステルスなどではないだろうか。踏みとどまった理由として、第1に、これまで小径タイヤでパンクが多かったことに対して不安があったことが挙げられるだろう。14インチタイヤの場合、少しで転がり抵抗の増加を抑えようと、ワイドリムを使用するケースが多く、これもパンクの原因とされていました。(この対応策としてワイド用ウレタンチューブが登場しています。)第2に、悪路における転がり抵抗の悪化について、疑問が残っていました。転がり抵抗を試験する回転ドラムは、アスファルト舗装路よりもフラットで一般に状態が良い場合が多いのです。やはり、実際に車体にタイヤを付けて走行テストをしてみないと結論を出しにくいのです。そこで、ZDPの池上さんは、テスト車両という位置づけ?で14インチ版のミラクルでんちくんを投入してきました。これも、それだけ14インチの可能性が高いことを示していると思います。おそらく、今回は荒れ気味の秋田の路面という条件も重なり、20インチ勢が一歩前に出てきたように感じます。とはいえ、スーパーエナジーの新型車GRIFFONは、匠の技?を使い、20インチミシュランタイヤを14インチへ縮めて投入し、13周を超える記録を出してきた。14インチタイヤの品質向上や、きれいな舗装面のコースでは、14インチ勢が巻き返してくるかもしれません。今後の展開はしばらく目を離せませんね。

 

20インチ勢の動向
 20インチ勢は大きなA(前面投影面積)になってしまうので、空気抵抗を少しでも小さくする努力が必要です。first step AISIN AWのつばさ53、52号の2台は、いずれもAが小さくなるように2輪を採用したり、後輪操舵機構を持っています。一方、ZDPの籾井くんのスーパーモスラは、コーナリング特性を上げるためにフロントタイヤにキャンバーを付けた。ステアリングを切ったときは、タイヤが外にふくれてはみ出してくるのだが、操舵角が大きくなったときだけタイヤハウス部分がが外側に開くメカニズムなどを搭載してきた。これも、空力を大事に考えている現れだろう。今回初めて登場した東海大ファラデーマジック2は、空気抵抗係数Cd値が小さくなるように多少Aが大きくなっても、無理な曲面が出ないようにしている。いずれの車体も、トレッドはけちる方向なので、エコノ亀吉のようなコーナリング性能は持っていません。幸田サーキットのようなコースになった場合、きびしいような感じもします。

 

 

モータの動向
 今年はミツバさんから、DDモータの2004モデルが販売された。トシヤンの達也&翼号は、モータをうまく使いこなし5位につけた。また、スーパーエナジーとミツバは、おそらくスペシャル仕様のプロトタイプDDモータを搭載してきたと想像します。スバルさんやミツバさんのDDモータの直径は14インチ用にしては大きめで、なにか秘密がありそうです。(現物はしっかりと見ているんですが、写真を撮っていません!!)また、今年特殊電装から市販化されたアモルファスモータはfirst step AISIN AWやうにゃにゃん亀吉などに採用された。ミラクルでんちくんとファラデーマジック2は、昨年のプロトタイプをそのまま使用している。スーパーモスラの自作アモルファスDDモータは、ロータの位置検出用マグネットを別にして精度を上げたり、巻き線数を修正してきたようである。しかし、どの程度の性能があるのかは、相変わらずよくわかっていない。このほかにも自作DDを搭載しているチームがあり、技術レベルが高くなってきたなと感じました。

 来週はアテネから、時間的に余裕があればソーラーカーレースの中継に挑戦したいと思います。もし、だめでも帰国後に何とかしたいですね。また、東海大学木村研究室のファラデーマジック2の開発ストーリーも、いずれまとめてみたいですね。

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