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今年10月6日(日)から13日(日)にかけて、オーストラリアのダーウィンとアデレード間で世界最大級のソーラーカーレース「ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)2013」が開催される。WSCは1987年に第1回大会が開催され、その後当初は3年おきに、1999年からは2年おきに開催となり、今大会が12回目となる。今大会は先月後半に、日本のタイヤメーカーであるブリヂストンが冠スポンサーとして協賛することが発表され、正式名称は『Bridgestone World Solar Challenge 2013』になった。9月10日現在、世界24カ国より43チームが、スタートの地:Darwinへと到着する見込みだ。 2013年大会の中心となるクラスの車両規定は、従来のChallengeクラスからChallengerクラスに改名され、4輪が義務化。車体寸法も、従来の5mから4.5mと短くなり、安全面でも視界・乗員搭載空間の確保が強化され、キャノピーと乗員部が大型化。その為、従来通りの乗員を車体中央に配置し車両を設計した場合、ボディー下部に4本の足回りと乗員スペースの合計5つの突起が出っ張ることにより、空力特性が悪化することが懸念されていた。Challengerクラスには27台がエントリーしている。
2009年2011年大会3位のミシガン大学は今年6月、前大会上位勢としてはもっとも早く乗員を片側に寄せ、空力面で有利となることを狙ったカタマラン(双胴)型ソーラーカー:Generationを発表。地元ミシガン州で本番レースを想定した疑似レース(モックレース)を実施。すでに現地でのテストランも開始しており、万全の準備で大会に臨む。 2009年2011年大会2位の Nuon Solar Team も7月、カタマラン型を採用した新車:Nuna7を発表。ミシガン大や東海大と異なり、乗員が搭載されない側の胴体も、前後輪が一体化された形状となっている。こちらも先発隊がオーストラリアに到着。まもなく車両を受け取り、整備・調整を開始する予定。(追記(10/2):昨日の公式車検で、コンセントレーター/集光器を搭載していることが判明。)
大会三連覇を目指す東海大は既報のとおり、全体会上位勢としては最後発の8月末に新車:Tokai Challenger(2013)を公開。2011年モデルをベースに4輪レギュレーションに対応させたカタマラン型。太陽電池は、本大会他車が軒並みSunpowerを採用する中、前回に続き唯一のPanasonic HIT太陽電池を搭載。HITセルはその構造上、高温時の発電低下が少ないという特性を持つ。車体は東レカーボンマジックが製造しており、仕上がりのクオリティはトップクラス。しかし、空力解析に時間をかけたこともあり、例年以上に製作が押していて車体が熟成されていないことが不安要因と言える。車体はすでにオーストラリアへ空輸中で、先発隊が9月21日にメルボルンで車両を受け取った後、ダーウィンへ陸送。9月27日にトヨタ・ダーウィン・ブランチで本隊と合流し、車体の整備を開始する予定。
そろってカタマラン型を採用した前回表彰台勢に続き、上位争いに加わると予想されるのは、オランダ Solar Team Twente。車体の製作品質は高く、前大会5位の車体は他車に比べて前方投影面積が大きい形状ながら、空力解析が十分にできていたのか、前方投影面積の少ないライバル車と比較しても遜色ない記録を残したことから、今回4輪化した2013年版の車両も、上位に入賞してくる可能性は高い。ベルギー Punch Powertrain Solar Team は、2007年上位入賞経験のあるベルギー Umicore チームの流れをくむベルギー連合チームで、車両はオーソドックスなセンタキャノピーの通常の太陽電池を搭載する堅いパッケージングで、上位入賞を狙う。
スイス Solar Energy Racers は、前大会初出場ながら16位となり、今回さらに上位を目指し、新レギュレーションに対応し、視界確保のためにコックピットを比較的前部に配置した新車SER2での参戦。JU(ヨンショーピング大学) Solar Teamは、2011年に設立したスウェーデン初のソーラーカーチームで、カタマラン型の薄型車両でWSC初参戦となる。
北米勢では、センターコックピットを継承したものの、前大会の超薄型ボディーから新レギュレーション対応し、極力突起を排除した形状に大きく姿を変えたスタンフォード大。カナダトロント大ブルースカイレーシングは、American Solar Challengeでの上位入賞やWSC出場経験があり、公開されている車両を美しいフォルムを持っており、こちらも侮れない。
地元オーストラリアからは、チームとしては初参戦だがメンバーにはWSC経験者を含み、公開されている製作途中の写真等からも手慣れた雰囲気を窺うことができるTeam Arrow(Queensland University of Technology)と、こちらも初参加となるUWS Solar Car Project(University of Western Sydney)が、チャレンジャークラスに挑戦。
トルコで毎年開催されるFormula-Gの大会出場台数は、ソーラーカーレースとしては日本の鈴鹿大会に次いで2番目に多い。そのトルコからは、Formula-Gでの上位常連でWSC出場経験のあるイスタンブール工科大学・アナドル大(9/12出場辞退と判明)と、初出場となるUludag University Mechanical Community(9/24出場辞退と判明)の3チームがエントリー。アジア勢では、マレーシ・セパン・インターナショナル・サーキットで開催された Shell Eco-marathon ASIA 2012のソーラー部門で優勝し来年鈴鹿への出場も計画しているSunSPEC(Singapore Polytechnic)が、Challengerクラスに適合したSunSPEC3で参戦する。
日本からは、チーム結成5年でWSC初参戦となる工学院大。車名:Practice(驍勇)はGHクラフト木村氏の影響を強く受け、以前同氏が製作に関わったサレジオ高専Salesio号の進化型と言える空力デザインの低重心設計のボディー。本大会唯一となるブリヂストン製ラジアルタイヤを履き、どこまで上位に食い込めるかに注目。金沢工業大夢考房は。昨年のソーラーカーレース鈴鹿FIAオリンピアクラスで入賞したKIT Golden Eagle 5をWSC向けにモディファイ。同チームとして12年ぶりのWSCに挑む。国内では秋田大会に参戦している八戸工業大は、2003年2007年に続き、今回WSC3回目の参戦で、自身初の完走なるか?
本大会新設の二人乗り車クラスであるミシュランクルーザークラスには、8台がエントリー。本クラス設立のきっかけともなった、ドイツボーフム大。前回オーストラリア勢最上位のUNSWは、今回クルーザークラスの車両を作成しこのクラスに転向。日本からは2009年アドベンチャークラス出走の呉港高等学校も箱形車両でクルーザークラスに出走するが、当初本クラスで出走予定だったTeam Okinawaは、先月8月に諸般の事情により、今回の出場を断念した。 前回大会までの車両規定で製作した車両が出場できるAdventureクラスには7台。コンセプトモデルを提示しながら、新レギュレーションの車両が準備できなかった豪:Aurora、日本からはChallengerクラス発表後も2011年レギュレーションで新車開発を継続した KAIT Solar Car Projectが出走する。 大会は、10月1日から4日までDarwin show groundsの Foskey Pavilion で公式車検が行われ、10月5日、Hidden Valley Motor Sports Complexのタイムアタックで、出走順が決定。10月6日ダーウィン市街のState Squareから、ダーウィン時間8:15にクルーザークラスが、続いて8:30からチャレンジャ−・アドベンチャークラスがスタートする。(s) 関連リンク: 注目チームリンク一覧: Nuon Solar Team The University of Michigan Solar Car Team Solar Team Twente Punch Powertrain Solar Team Solar Energy Racers JU Solat Team Stanford Soar Car Project Blue Sky solar racing Team Arrow(Queensland University of Technology) UWS Solar Car(University of Western Sydney) Istanbul Technical University Solar Car Team Anadolu Solar Team SunSPEC(Singapore Polytechnic) 工学院大学ソーラーカープロジェクト 金沢工業大学夢考房ソーラーカープロジェクト Hochschule Bochum SolarCar Team UNSW Solar Racing Team Sunswift 呉武田学園呉港高等学校 KAIT Solar Car Project |
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