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EVエコラン入門 2008/06/14 10:00

■なぜ今電気自動車(EV)なのか?

今、地球温暖化の対策として、EV-電気自動車が注目されています。

もともとEVは、1890年代の自動車黎明期には、内燃機関と並ぶ代表的な仕組みとして将来を有望視されていました。しかし、内燃機関のエンジンを搭載する自動車の開発と普及が進むにつれ、自動車史の表舞台からは、その姿を消しつつありました。

ところが最近、地球環境に優しい自動車として、EVが再び注目を集めるようになってきました。

EVは、走行時のエネルギーに電気を使用する為、CO2を直接排出しません。
その電気を生み出す発電所には、CO2を排出する火力発電がありますが、送電線の損失も含めた総合的なエネルギー効率でも、EVの方が内燃機関の自動車よりも効率的です。EVが走行するときに必要な電力はCO2を排出することがない太陽光、風力、水力、原子力等から得られる電気エネルギーが、そのまま利用できることも、大きなメリットといえます。

効率の良い電気自動車が今まで普及していないのには、それなりの理由があります。最大の理由は、航続距離が短いということです。

EVは、走行に必要なエネルギーを、電池に蓄えます。しかしその電池は、内燃機関が使用する化石燃料に比べて、重さの割に蓄えられるエネルギーの量が少なく、電気自動車は現在の技術でも、一般的な自動車と同等の航続距離を確保することが難しい状況です。また、その電池の製造には高いコストがかかることも、普及を妨げる要因となっています。

電気自動車は、将来的には、電池以外のエネルギー源として、CO2排出の無い燃料電池等を組み合わせることで、より実用的な自動車として、発展する可能性を秘めているものの、当面は航続距離を伸ばすための地道な技術開発が必要です。

EVエコランは、その電気自動車の最大の弱点である『航続距離』を、いかにして向上させるかという技術課題に対して、レースを通して挑み、楽しむという頭脳的な競技(ブレインスポーツ)です。

参加者は、EVに興味を持つ、自動車/電機メーカーのエンジニアだけでなく、将来そのような技術に関わる学生も、エンジニアとして技術を競うことができる競技、それが、EVエコランなのです。


■EVエコランの技術トレンド

EVエコランの大会では、規定されたイコールコンディションのバッテリーを使って、いかに効率よくエネルギーを使いスピードを出し、規定時間内に走行する距離を競います。ガソリンのエコランと異なり、同一条件で走行し、最も遠くまで走れた車が、勝者となります。
その距離を向上させる技術として、以下のような技術的要素の改善が競われます。

・空力
自動車が走行するとき、速度が上がれば上がるほど影響するのが、空気抵抗です。EVエコランでは、空気抵抗を減らすために、なめらかな流線型の車体の開発が必要です。

・転がり抵抗(タイヤと軽さ)
自動車が走行するときに、前へ進むための動力を伝える部分がタイヤ。そのタイヤが、燃費に大きく影響するのは、タイヤメーカーのコマーシャルでご存じの通り。EVエコランでも、タイヤの転がり性能が成績に大きく影響します車両全体で転がり抵抗の軽減を考た場合、車重軽い方が有利ですが、タイヤの性能を引き出す為に安定して路面と接触させる為には、シャーシに十分な強度が必要です。重量を抑え必要な強度を持つシャーシの開発が、求められます。

・モーター効率
モーターは、電気エネルギーを直接、前へ進むための推進力に変換するパーツ。一般的にモーターは回転数や電流値によって効率が大きく変動します。そのため、加速から巡航までの幅広い運転領域で効率を改善するための技術が、この競技では求められます。

・キャパシタ(エネルギーの回生機構)
自動車が停止するとき、通常のブレーキは、車体の運動エネルギーをディスクやパッドなどで摩擦熱へ変換し、熱として捨ててしまっています。
このブレーキ時のエネルギー損失を熱として捨てずに、電気エネルギーとして蓄え、再加速に必要なエネルギーとして蓄える仕組みに、電気二重層キャパシタが使用されます。ちなみに、2009年よりF1でも、同様なキャパシタやフライホイールを使用したエネルギー回生機構の搭載が、レギュレーションにより義務づけられる見込みです。

・充電
EVエコランでは、各大会で大会主催者よりイコールコンディションの電池が配布され、それを無改造で競技に使用する必要があります。しかし、大会によっては、充電を各チームで行うことが許されるため、同じ電池に対して、より多くのエネルギーをため込む技術というのも、必要になります。


今日本国内で開催されているEVエコランの代表的な大会は、World Econo Move Grand Prixとしてシリーズ戦として開催されています。WEM GPでは、大会によって競技時間、コースの勾配やバッテリーの量などが異なるため、車名が同じでも各種セッティングを変更して大会に臨みます。
セッティングの範囲は、ギヤ比だけではなく、モーターそのもの、タイヤの種類や足回りの機構、モーター制御や回生機構の装置等、車体シャーシ以外、ほぼすべてが変更可能となっています。

■もっとEVエコランを知りたいというあなたにオススメ

参考図書:
エコ電気自動車のしくみと製作
EVエコラン製作のノウハウが詰まった一冊。興味を持ったら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

各大会情報:
2008 WEM GP 公式サイト http://www2.ogata.or.jp/wem/wemgp/08wemgp/08wemgp.htm
各大会を見学して、実際のレースを見てみよう。

参考サイト:
Zero to Darwin Project http://www.zdp.co.jp/
EVエコランの大会模様を、お伝えします。過去の大会記事も、是非ご覧ください。(s&k)

キムヒデの2003WEMモーターレポート http://www.zdp.co.jp/2003/20030601.html
ファラデーマジック2開発ストーリー http://www.zdp.co.jp/2004/20040517.html
ファラデーマジック2、14周プロジェクト http://www.zdp.co.jp/2005/20050514.html
バーチャル製作講習会 池上エコノムーブ編 http://www.zdp.co.jp/inf/970302_j.html
WSR製作講習会99 総集編 http://www.zdp.co.jp/inf/990402_j.html

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