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BackNumber〜2007鈴鹿10  

鈴鹿2007 ZDPチーフエンジニア池上の注目ポイント

2007/08/05 12:30

上位チームが持ち込んだエアジャッキ
 
ピットイン時に素早くタイヤ交換を行うために芦屋大学と高雄応用科技大学(台湾)がF-1ばりのエアジャッキを持ち込んでいた。産業用のエアシリンダを用い、コンプレッサーから導いた圧縮空気で一瞬で車体を持ち上げる機能は両チームとも同じだが、芦屋大学のエアジャッキは2本のエアシリンダで前輪用(写真左)と後輪用が別々に用意されているのに対して、高雄大学(写真右)は4本のエアシリンダを車体下中央に挿入して前後輪を一気に持ち上げるタイプと若干の違いを見せる。F-1やオートバイの鈴鹿8耐でもエアジャッキ全盛の時代が有ったが、エアホースの取り回しが邪魔なことや、動作の確実性の問題から再び人力で持ち上げるジャッキに戻ったりと変遷があるので、来年は美しい人力ジャッキを持ち込むチームが出てくるかも?

ミツバ(改)可変界磁モーター
 
昨年、芦屋大学(ドリームクラス)が始めて持ち込んだ可変界磁モーター(通称:コア抜きモーター)だが、今年はさらに柏会(チャレンジクラス)(写真右)と長野工科短大(エンジョイクラス)(写真左)の2チームが実験的に採用してきた。柏会は独自に開発した油圧による動作機構をもっており、ドライバー脇にあるレバーを前後に操作することで無段階に可変できる。芦屋大学や長野工科短大のモーターは可変界磁を自動車用のワイパー用モーター動作させているが、油圧であれば貴重な電気エネルギーを消費しなくて済むのがメリットである。また柏会のモーターは内部にパーキング用のドラムブレーキまで内臓した非常に凝ったモーターになっている。一方、芦屋大学の使用するモーターも昨年仕様からアップグレードされており、昨年は3本のボールねじを用いてコアを引き抜いていたが、今年はボールねじが1本になっており、設計的により洗練されたものになっている。

グラフテック新型データロガー
 
様々なデータ取りのためにデータロガーを搭載しているチームは多いが、No28 Team MAXSPEEDが搭載していたのが今年発売になったグラフテック社の新型データロガーGL200(写真左)。キーエンス社のデータロガーを使っているチームは多いが、このグラフテックのものはさすが新製品だけあって、なかなかのすぐれもの。シャント抵抗を用いて電流を測定する場合には微小な電圧を扱うため、フルスケールは小さく設定できるものが欲しいが、これは電圧測定のフルスケールが20mV〜50Vとワイドレンジに対応しており、しかも絶縁入力。値段も11万円とこの手の製品としては非常にリーズナブルなことからソーラーカーやEVエコランレースのデータ取りには最適なデータロガーと言える。またTeam MAXSPEEDはショックアブソーバと同軸にストロークセンサーを取り付けて、走行中のサスペンションの動きも測定したり(写真右)、GlobalSat社のGPSデータロガーを搭載したり、ストップウォッチと自作回路を組み合わせてラップタイムモニターを搭載したりとマニアックな装備が充実していた。

助っ人派遣制度
今年から、新規に参加する大学、高専、高校チームに、永年参加しているチームのベテランメンバーを「1日講師」として派遣して車体製作のアドバイスを行う「助っ人制度」が始まりました。レース全体のレベルが上がってる中で、なかなか新規参加の勇気を出せないチームにとっては非常にうれしい制度です。今年はエンジョイクラスに参加する千葉黎明高校がその対象校に選ばれました。チームメンバーの高校性達が一生懸命作業している様子が印象的なチームです。
 
この「助っ人制度」が早速効果を発揮したのか、今年はチャレンジクラスで2チーム、エンジョイクラスで6チームの初参加チームが増え、レースの盛り上がりとしては嬉しい限りです。ただ、その一方で新規チームや参加経験の浅いチームの車体では、フリー走行から多くトラブルが今年も見られました。ソーラーカーに参加しているチームはどこも親切ですから、もしわからないことがあればどんどん質問してアドバイスをもらうと良いです。


 
片持ちリヤアームの強度不足
No91大分工業高校。3回目の参加で今年は新車を含めて2台エントリーですが、新車の方のリヤアームがフリー走行で曲がってしまいました。建材用のスチール角パイプと鉄板の溶接で製作されていて、フレームに取り付ける部分とモーターを取り付ける部分はしっかりしていますが、その途中は断面サイズの小さな角パイプ1本で、走行中のコーナリング横荷重でそのパイプを捻る力が作用するので、見るからに強度不足です。もしかすると縦方向の荷重は考慮したが、横方向の荷重を考えていなかったのかもしれません。ソーラーカーで足周りが壊れるのはほとんどの場合横方向の荷重ですので注意です。簡単な強度計算をしてみるか、もしくは実物で体重をかけてテストしても良いでしょう。
  左ホイールナットのゆるみ注意
初参加のNo67大正工業若葉会。フリー走行で左前輪のナットが緩んでホイールが脱落し、レッカーされてピットまでもどってきました。ホイール廻りは、走行中の横方向の荷重を受けながら回転しますので、ホイールにはいわゆる味噌擦り運動の荷重がかかります。ホイールナットのめネジのハブ側のおネジには微小なすきまがあり、さらにホイールやハブも微小な弾性変形をしますので、ここに味噌擦り運動の力が加わることによって、左ホイールナットの走行中にゆるみ易く、右ホイールは逆に締まり方向になります。安全のために左側のホイールナットにはワイヤーロック、ロックピン等の緩み止めの処置を取るか、もしくは逆ネジにするのも解決方法の一つです。

 
配線の保護は確実に
No38 OIT Team Regaliaは初参加にもかからわずボディにアルミ材を用いて綺麗な車体を作ってきました。ただ、車体内部は配線がむき出しのままゴチャゴチャでアルミの角部に当たっている所もあります。このままでは長時間の走行では配線の被覆が破れてショート、発火の危険性があります。配線を保護するためのコルゲートチューブ、スパイラルチューブなどがホームセンターで購入できますので、確実な保護と固定をしましょう。
  車検で消えた車
車検段階で車が完成せず出場を断念したチームもありました。空力を考慮したボディで、スクリーンも綺麗に成形されていたのに非常に残念です。この機会に他のチームの車を十分観察して来年に活かせると良いですね。無事決勝に出走できたチームも、手の空いたメンバーは他の車を積極的に見に行くことをお勧めします。これだけ沢山のソーラーカーが一度に見れるのはレース期間中だけなのですから。

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