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BackNumber〜2004鈴鹿3

ZDPチーフエンジニア池上の見た「エンジニアの心」 2004/07/31 23:00

「今年もZDPチーフエンジニア池上がエンジニアの視点から、各車の注目ポイントをチェックしてみましょう。(i)

【宇都宮工業高校/UK-hope80th改】
一見したボディデザインは昨年までの車と同じですが、「運転に慣れない高校生でも鈴鹿を安心して走れるように」(飯野先生)と4輪車の完全に新車です。なかなか手馴れた作りでカーボンモノコックも綺麗に仕上がっています。フロントにはソーラーカーには珍しいスタビライザーも装着され、鈴鹿のコーナリングに対応したマシン作りになっています。ショックユニットはカヤバ製のホンダNS-1用だそうです。


【長野工科短期大学/Fizzer16】
こちらも一見、去年と同じようですが、前輪2輪に自作ホイールインモータを装着したフロントドライブ。トルクステアも無く、コーナリングはしっとり安定して乗りやすいそうです。面白いチャレンジですね。グリップの悪い雨のレースで効果を発揮しそうです。


【エコテック(呉港高校)/咲夢来】
もう1台フロント2輪ドライブの車がありました。モータはなんと東芝のDD洗濯機用ベース!ボディは再輝の兄弟。「このモータは再輝の高崎さんの趣味?」と聞いたら、学生くんにっこり笑ってうなずいていました。


【Team MAXSPEED/Garuda】
やはり今年最高の注目はこの車でしょう。4輪車でリヤは鈴鹿高専DEVelと共通デザインのコンベンシュナルなスイングアーム式ですが、特徴的なのはフロントサスペンションです。ダブルリーディングアームとでも呼ぶのか・・・ダブルウイッシュボーンを前向きにしたタイプを採用しています。各部には翼断面パイプやハニカムパネルなどを奢り、非常に綺麗に作ってありますが、いかんせん各部の設計にムリが有りすぎで、強度的にはとても持ちそうにありません。徹夜に次ぐ徹夜でなんとか完成させ車検に持ち込んだものの、その特徴的なフロントアームが走行前に破損。
設計の基本は、両手両足を広げてしっかり踏ん張れるように構造部材を配置する事と、部材には極力曲げの力をかけずに、引っ張りと圧縮で持たせるようにする事ですが、その基本ができていませんね。他の車には無い独創的なものにしようとする想いが強すぎたのでしょう。革新的なアイデアであっても「設計の基本」に合致しないものは結局軽くはできません。
一方アッパーカウルはスチレンボードを芯材にFPRをオーバーレイして美しく仕上がっていましたので、来年フレームを一新してのリベンジに期待しましょう。(設計者の蔵城くんへ:私が講師の製作講習会をちゃんと聞くように!)


【片持ちリヤアーム】
今年はミツバモータの採用車が増えましたね。ご存知ミツバモータはNGM同様に片持ちマウントが可能です。構造的には両持ちタイプの方がシンプルで軽くできますが、タイヤ交換は片持ちタイプが圧倒的に早くできますので、みなさん苦労しても片持リヤアームを作られています。アルミパイプやスチールパイプを使ってオリジナルで製作するのが一般的で軽く作ることが可能ですが、その中で市販品を上手くつかっているチームもありました。
左の例はホンダのオートバイの純正リヤアームを流用したものです。NSR250かな?肉厚がありますのでそれほど軽くはありませんが見た目のまとまりは良いですね。
右の例は同じくオートバイ用の両持アームの片側を切り落として使用しています。大型のオートバイ用ならば片側にしても強度は十分でしょう。



【ホイール】

鈴鹿ではコーナリングの横Gに対応するため、剛性の高いホイール必要になります。GHクラフト製のカーボンホイールや柏会のアルミ削り出しホイールならは剛性は十分ですが、多くのチームの使う安価なRKエキセル製は平坦路では問題ないものの、コーナーの続く鈴鹿ではセンターディスク部の横方向の剛性が不足気味です。その対応としてディスク部のみ削り出しで作り直しているチームも少なくありません。


【MTB用ショックユニット】

ソーラーカーではオートバイ用のショックユニットを流用するのが一般的ですが、軽量化のためにMTB用ショックユニットを使うチームが増えてきています。値段も2〜3万円程度と安価になってきており、またオプションで硬さ違いのバネが沢山あることが良いですね。ただ、内部のオイルの容量が少ないので使用条件によってはオーバーヒートで気味になるかもしれません。写真は紀北工業高校の[紀北TECH SOLAR]の例です。下端にアルミ製の延長ジョイントをボルトオンして使っているあたり参考にしたい設計です。

 

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