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キムヒデの舞洲レポート 2003/04/01 01:00

2003年3月21〜23日にかけて、大阪の舞洲で「Eco Car Festa 2003」が開催され、その中で、2003ワールドエコノムーブグランプリの第1戦となる「ワールドエコノムーブin舞洲・大阪2003」が行われました。今回は、東海大学木村研究室のメンバーとして参加した視点で見たレースとしてお伝えしましょう。

今回の主役は「きっくう」こと菊田剛広君(下写真左)。「EV Ecorun in SUGO」でジュニアクラス優勝を重ねる気仙沼向洋高校出身の大学生だ。彼は高校2年のときに秋田のエコノムーブに参加し、そのとき、徹夜明けで髪がボサボサだった池上さんが、スーパーでんちくんで優勝しするのを目の当たりにした。それ以来、「将来は池上さんみたいになって、自分でエコノムーブを作って大会に出たい」という夢を持って大学に進学してしまった。すごい・・・としか形容しがたい人物である。東海大学入学後は、「東海大学ソーラーカー研究会Solspirits」に所属し、480Wソーラーカー「Trysol」の改良に携わり、全日本学生ソーラーカーチャンピオンシップのハーフサイズクラスでの優勝に貢献したひとりである。ZDPの中では、籾井くんの下でパーツの製作などの修行を積み、モスラの菅生ドライバーを任されている。近年では、「籾井さんって、すごいっすよ」が口癖である。スーパーでんちくん、モスラなどを参考にしながら、ファラデー・マジック(写真右)の製作に着手し、2002年のエコノムーブになんとか出場を果たした。残念ながら、秋田への移動中に積層した樹脂を乾かすというようなスケジュールであったため、順位は総合27位と振るわなかった。「今年は、気合いを入れて行きまっすよ!」

 

さて、事前の情報では舞洲のコースは1周1400mのコースを往復するコース。折り返しの半径は10mということから、秋田の折り返しよりも若干緩いかなという程度か・・・。ドライバー経験をもっと積みたい菊田ドライバーには絶好の機会だ。最低でも1ポイントはもらえるだろうし・・・。舞洲のコースは軽飛行機用の滑走路。滑走路といえば白浜の大会が思い出される。2002年に初めて参加したZDP&東海大勢は苦戦を強いられたところだ。白浜での教訓は、モーターのおいしい回転数からずれた速度で走行するとPWM損失が大きくなって辛いということだった。舞洲では秋田と同じバッテリーで同じ2時間を走行するのだが、短いコースなので折り返しはもっと頻繁に出てくる。加速や減速の際のロスを考えると巡航時の速度は、秋田よりも低い36km/h程度にまで落ちる可能性がある。そこで、伝達効率に優れたDDモーターをあえて採用せず、ギヤ比を変えられる特殊電装製のDCブラスレスモーターを搭載することにした。手近なところで良さそうなモーターは・・・、池上さんが2002WEMで使用した「特電スペシャルモーター」があるぞ。早速事情を説明したところ「ぜったい返してよ」と釘を刺されましたが、なんとか使わせてもらえることになりました。このモーターは特電の筑波仕様と同様にハイパワー側にポイントを合わせたものです。使用するホールICのセットを切り換えることで3段階の進角機能も実現している。こうなったら、ハブもスプロケもバッテリー保温機もまとめて池上さんから借りてしまおう。しかしファラデー・マジックのリアまわりは、もともとミツバのDDモーター用に設計したため、取り付けは苦しさが見える。一方、バッテリの管理は同級生の涼子ちゃんが担当。現地では、ZDP鍋奉行でキャパシタアドバイザーの澁谷さんさんと一緒に充電&保温を担当してくれました。

 

現地でコースを確認すると、コントロールライン側にある折り返しの半径は、大会案内のコース図のものよりもだいぶ小さくなっていました。コース内側の半径だと5mくらいしかない。これだと、秋田並みに減速しないと曲がり切れそうにないな。そこで、作戦としては、折り返し手前で回生用キャパシタにモーターを接続して減速し、再加速時の後半にバッテリーに上乗せして使うことにした。問題はギヤ比をいくつにするかだな・・・。そこで、菅生で行ったエネルギーシミュレーションを応用し、電気君こと辻岡君に計算を行ってもらいました。計算の結果、「手持ちのスプロケの組み合わせでは7.00か7.27です。」とのこと。練習走行中に巡航速度と電流値を見たたところ、だいたい合ってることを確認。そうだな・・・、予選では7.00で行って様子を見て、その結果から本戦のギヤ比を考えることにしよう。回生制動部分のシミュレーションの一例を下に示します。同様に加速の際のシミュレーションも行いました。

他チームの様子はどうだろう? 今回の優勝候補は、2002年のグランドチャンピオンになったヨイショット!ミツバのHyper USO 800かな? あれっ!?、よく見ると秋田用と違う雰囲気のDDモーターがついているぞ。今年から運転手兼監督になった齋藤さんに伺ったところ、秋田用では回転数が合わないため、試作した中で低速だったものを持ってきたそうだ。抜かりはない、さすが・・・。

 

白浜に似たコンディションなので、白浜で優勝したアヒルエコパレーシングのPursuiterもマクソンモーターのセッティングやエネルギーマネージメントがうまいので注目だな。あと、最近好調なチームうにゃにゃん亀吉のエコノ亀吉も怖いな。今回も、特電の筑波仕様モーターで参戦している。かなり手強そうだそうだ。

 

あとは、紀北工業の2台にも痛い目にあわされているので要注意。マクソンモーターを搭載したSpirit of 紀北(イエロー)はセッティングでコースに合わせられるので今回は紀北TECH EV(レッド)よりも上か? 一方、レッドはミツバDDの回転数が合わないため、なんと鉛バッテリーと電気二重層キャパシタをDC-DCコンバータを介してシリーズハイブリッド化したエネルギーシステムを搭載してきた。この方法は2002年の菅生で優勝したスーパーでんちくん強力が採用した方式とまったく同じ。浪越エレクトロニクスのモーターコントローラを降圧モードで使うことでキャパシタに充電し、モーター電圧=キャパシタ電圧をバッテリー電圧よりも下げることで低速化が実現できる。紀北工業高校の藪下先生曰わく、「いいものはなんでも使わせて頂きます。」そう言われると、車体の形にもでんちくんの面影が・・・。

 

昨年好調だった名城大学のNovaも白浜では2位だったので、似たような舞洲のコースコンディションとの相性はきっといいはずだ。

 

さて、本戦の模様です。スタート前には、キャパシタの電荷ゼロチェックがあります。その後、キャパシタに急いでプリチャージだ。1分前・・・、スタート!!

 

まずエコノ亀吉が先頭を走り、その後ろをファラデーマジックが追走する。Hyper USO 800は様子を伺いながらついてくる。ファラデー・マジックは、回生制動を行うためのトグルスイッチが溶着し、途中で回生できなくなる。それでも、回生を行うタイミングで何回かスイッチをカシャカシャ動かし、なんとか元通りに復帰しました。この上位3台の順位に変化が起きたのはレース終盤の1時間30分頃。Hyper USO 800が速度を上げてファラデーマジックを抜き去り、エコノ亀吉を追う。しかし、亀吉も意地を見せ、Hyper USO 800はやっとのことで抜き去り1位となった。2位は平塚工業高校の白澤夫妻が2人だけで参加する、チームうにゃにゃん亀吉のエコノ亀吉だ。おめでとうございます。亀吉の強さについては、特別企画で特集しますね。3位には東海大学木村研究室のファラデー・マジックが入りました。これまでの戦績からいって上出来でしょう。でも、チームEVER、スーパーエナジーそしてZDPなどの強豪が出場していない中での結果だけに、秋田ではもっとがんばらないといけませんね。


とにかく 入賞できて、本当にうれしいっす!!

 

特別企画「エコノ亀吉の速さに迫れ!!」

最近好調な「チームうにゃにゃん亀吉」の「エコノ亀吉」。チーム代表の白澤先生は平塚工業高校の先生ですが、夫婦のプライベートチームで活動するときはこの名前になるようです。チーム名の由来は、飼っているネコが「うにゃにゃん」と鳴き、飼っているカメが「亀吉」。ということから決まった?!らしいです。しかし、上位に食い込むため、この名前を報告書にどう書いてよいものか困るチームが続出。この状況で大会側は、入賞対象に入った場合にはチーム名や車名の適合度チェックを行い「不適切な表現があればマイナス1周にする」というレギュレーションの導入を検討しているほどだ。USO 800なども対象になりそうであり、ヨイショット!ミツバでは新型車の名前を慎重に検討しているらしい。(もちろんウソですヨ。)それはともかく、強さの秘密を少しでも探ろうと、レース後にはエコノ亀吉に見入る人だかりができた。アルミ溶接フレームにカーボンFRPのカウルが付いている。上位車の中では、特に軽い方でもない。やはり、まず車体で注目されるのは、特殊電装のWEM用モーター筑波仕様だ。加速が多い舞洲のコースには相性がいいようだ。

 

トレッド470mm、ホイールベース1400mmという大きさは一般的であるが、足を組むような最近の傾向の中では、トレッドは大きめの部類に入る。さらに、最低地上高は約15mmと低く、指がボディの下に入らないほどだ。この特徴を生かして、舞洲のスタートライン側の折り返しでは、イン-イン-インを突いて半径5mほどのコーナーを33km/hの速度で通過していた。これならば、巡行時の速度から大きく減速する必要がない。うーん、やられた・・・。しかし、耐久性には定評があるIRCのエコラン用タイヤの表面はレース後にはボロボロになっていました。

 

そして、なんといってもドライバーで奥さんの実紀さん(写真左)。コーナーを最速で駆け抜け、安定度も高い。度胸も満点。キムヒデは、あまりにも速い黒いボディのエコノ亀吉を見て思わず「黒い稲妻(ブラック・サンダー)」と呼んでしまいました。(よくよく考ると、見えない?!のですが・・・。)

 

このタイプの形状の先駆者的存在である籾井くんにコメントを求めたところ、「コーナー速度だけでなく、空力の実力も高いのだろう」とのこと。ルーフはソーラーバイシクルにも対応できるよう若干フラットな面があるが、流線型としてはまとまっている。デザインした白澤先生の話よると、フロント下部の形状も工夫したそうで、フロントから底面に入った空気が左右に分かれるように形状を工夫したそうだ。

 

その他の情報

ソーラーカーやガソリンエコランなど多数の競技が行われたエコ・カー・フェスタであるが、この中でエンジンやモーターなどの動力源を持たない車の性能を競う「第1回ツイントライアル選手権 舞洲2003」が行われた。このレースは、決められた坂道を2台同時にスタートして、200m先のコントロールラインを早く通過した方が勝ちというものです。決勝は世ショット!ミツバと飛び入り?のTGMY Ashidaさんで行われました。勝ったのはHyper USO 800の方でした。この競技は転がりや空力の基本性能を比較する上で、わかりやすいレースなのかと感じました。WEMの上位車の性能を調べるために、みんなで出場したいくらいですね・・・。でも、車体重量をどの程度に設定するかなどの、ノウハウがありそうです・・・。

いつもなにか変わったものをもってくる芦田さん。今回見せてもらったのは、パナレーサーに開発を依頼したという20インチのエコラン用タイヤ。構造は、ミシュラン似ているが、だいぶ薄くできていて、ゴムの材質も新しく開発されたものを使っているということでした。ミシュランやIRCのものよりも性能はいいだろうとのとの強気のコメントも。これ以外にも、今回はお見せできませんが、複数の種類のタイヤの開発が進められているそうで、そろそろ販売できるようになるのではないでしょうか。昨年登場したIRCに続き注目の一品ですね。

ZDPの池上です。今回は出番なしです・・・。でも、金も、根性も、もはや情熱もないけど秋田には出ます。(筆者注:情熱も無い人が、わざわざエコラン車を作って、GWに秋田まで持っていくとは思えないんだけどなぁ・・・)

関連リンク:WEMGP第1回リザルト http://www2.ogata.or.jp/wem/wemgp/03wemgp/no1/03gp1.htm


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